あらすじ
気がついたら好きだった。ただ、それだけ――。20歳も年上の写真家に振り回され苦悩する、高校写真部の部長・都。彼女が新たな被写体に選んだラグビー部の同級生・隆之は、同性のチームメイトに密かな恋心を抱き、葛藤していた。傷ついた心をいたわり合うふたり。やがて、それぞれに決断の時が訪れ……。愛に悩み、性に戸惑いながらピュアに生きる18歳の等身大の青春像を瑞々しく描く、不朽の青春小説、待望の新装版(重複購入にご注意ください)。
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Posted by ブクログ
大好き!!
私まじで都と隆之と同い年だから余計に「今」!!読めて良かった。大好き。
この人の本を読むのは初めてだったけど、すごく良かった。
正直本屋であらすじと装丁見て衝動買いしただけだったから、ここまで良いお話だとは思わなかった ありがとう。
胸が痛い。
マジで胸が痛い。
私が彼らと同い年なのもあって、すごい……他人事とは思えないくらい感情移入してしまった。
なんか静かで素敵な文章とか雰囲気なんだけど、だからこそかなしさがひしひしと伝わってくるというか、言葉を尽くして語ったりはしないのにすごく伝わってくるというか。
めちゃくちゃ入り込んじゃう感じがある。
なんか「浸透」してくる作品だった
隆之と都の関係性がいい。
それなりにやることはやってるんだけど、すごくフラットで、お互いを思いやっている感じ。
性愛とは違うけど、お互い大切な存在で、愛なんだなと思う。二人が過ごしてる時間ってそんなにたくさんあるわけじゃないと思うけど、関係性の濃密さみたいなものがちゃんと伝わってくるのすごいな。
最後のほう、隆之が宏樹に嘘つくのマジで泣けた。
ここでも相手のことを思いやるなんて優しすぎるだろ……隆之……隆之が今までどんな気持ちでいたのかわかってんのかよ……。宏樹のこと「おおらか」って評する隆之どんだけ優しいんだよ。
「おおらか」っていうか鈍感だろ。友達って思ってるのお前だけだよ宏樹!!!!おい!!!
いけない、感情的になってしまった。
「俺がいるじゃないか。お前のこと一番よくわかってんのは俺だろ?」
ここつらい。
一番わかってるのに、なんでほかの女のことしか見てないんだろう。おれじゃだめなのか?っていう……。
だめなんだよなぁ。
だめなんだよ……。
北崎とかいう男。ひどい。ずるい。
なんでそんな人をかき回すようなことばかり言うんだろう?
けど結局好きでいるのやめられないのもわかる。
あんな男に振り回される自分がバカみたいなこともわかってるけど、やっぱりどうしても体レベルで勝手に反応しちゃうんだろうな。
北崎も都に惹かれてるってこと、隆之はわかってたけど都はわかるわけないよね?
あんな意地悪な態度とられてさ!
これからどうなるんだろう。
北崎、本当にずるい男だよ。
けどいるんだよなあこういう人。
光輝さんも良かった。やさしい。読んでる最中、彼のピアノが聴こえてくるような気がしました。
けど彼の恋人嫉妬深すぎて笑う。
情熱の国スペイン。
フェルナンド・バンデスだっけ?
サブキャラも面白みがあって可愛いのが魅力やね。
最後の終わり方もめちゃくちゃ良かったな。
ピアノの音で静かにやさしく物語が終わるのが良かった。その空間が目に浮かぶような、まるでそこの空気が流れ込んでくるような、とにかく素敵な場面で、なんだかたまらない気持ちになった。
最後の終わり方だけで100点満点から200点満点に加点してしまう小説だったな。本当に大好きな結末。
この結末、冷静になったら都の子供とかの問題がなにも解決してないんだけどやっぱりすごく好きだ。
傷つくこともあったしこれからのことはわからないけど、今はとりあえず穏やかに眠っててね、みたいなやさしさを感じるラスト。
シビアな悩みを抱えてる子供たちに対しての、実にこの物語らしいアンサーだったように感じた。
読み終わった後、ベートーヴェンの悲愴を聴きながらちょっと泣いた。うまく言えないけど、読めてよかった。本当に好きだ。
Posted by ブクログ
確かに瑞々しい!ピアノの曲全部調べちゃったし、なんなら聴きながら読んで捗ったな。どうなる北崎。柔らかくて、穏やかな愛情みたいなのを感じられる関係性でよかったな。
Posted by ブクログ
ふわふわ浮遊するみたいな不思議な読後感だった。
それは多分結末めいた結末が描かれていないからだと思う。
これから都のお腹の中の子はどうなるのか北崎は帰ってくるのか、隆之と宏樹の関係はどう変わっていくのかわからないけれど、都と隆之の間にある穏やかな空気がたまらなく愛しかった。
当人以外の人々には愛だ恋だと揶揄されてしまう2人の関係は本当に綺麗だと思う。
私も誰かと一つのアメーバになりたい。ただそれだけ。