あらすじ
大学・大学院など高等教育機関における理系分野の女性学生の割合は、OECD諸国で日本が最下位。女子生徒の理科・数学の成績は世界でもトップクラスなのに、なぜ理系を選択しないのか。そこには本人の意志以外の、何かほかの要因が働いているのではないか――緻密なデータ分析から明らかになったのは、「男女平等意識」の低さや「女性は知的でないほうがいい」という社会風土が「見えない壁」となって、女性の理系選択を阻んでいるという現実だった。日本の男女格差の一側面を浮彫りにして一石を投じる、注目の研究報告。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
筆者と似たような学歴をおくっていたので興味をもった。
女子の数理に対する自己効力感が低いことに驚いた。大学の理数系に進むのには周りの環境が左右する。また、周りが数理に対してどのようなイメージをもっているかにも左右される。
これを払拭するのは日本の教育の課題だと思う。
Posted by ブクログ
中学生の頃、理科の定期テストでクラスのトップの成績を取ったことがあった。その時に先生は言った。「女の子でも、これくらいの点数が取れるのに(男子は何をやっているんだ)」
高校生の頃、今で言う物理基礎の定期テストで満点を取ったことがあった。その時は男子も満点の子がいたが、他の男子からチラチラと私の方を見ながら、ひそひそと何か言われていたのを覚えている。
結局私は文系に進み、それを後悔したことは、あまりないが、そのまま理系に進んでいたら、どうなっていたかな、と思うことはある。
中学の頃の先生の発言は今ではアウトだと思うが、社会風土のようなもの、みんなが思っているだろうと人が想像することは、あまり変わらないのではないかと思う。
私が中学生の頃に人気があったアイドルグループは女性に求めるものとして、はっきりと「男を立てる女」と言っていた。結婚するときにも家庭円満にするには「女性がうまく男性を動かすようにすればいい」、育児の時も協力させるように「夫を育てる」。
女性は対等なパートナーである、苦楽を共にするという意識があれば、上記のような言葉は出ないんじゃないかな、と思う。男性が家族を養って当たり前という意識もおかしい。
女性が理系に進まない理由に中学生の理科離れが原因としてあるようだと、本書に紹介されたデータが示している。本書ではたくさんのデータが提示されており、非常に興味深い。データを解き明かすことはまだ先になりそうではあるが、女性だから理科が出来ない、ということはないのだから、理科が好きな女性は、その好きだという気持ちと学び続けたいという気持ちを他の何物にも邪魔されずに突き進む道筋がもっともっと示されてもいいと思う。