あらすじ
1985年、御巣鷹山で日航機が墜落。その日、北関東新聞の古参記者・悠木は同僚の元クライマー・安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑むはずだった。未曾有の事故。全権デスクを命じられ、約束を違えた悠木だが、ひとり出発したはずの安西はなぜか山と無関係の歓楽街で倒れ、意識が戻らない。「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残して――。若き日、新聞記者として現場を取材した著者みずからの実体験を昇華しきった、感動あふれる壮大な長編小説。
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完全なる『傑作』!
今から15年程前に成りますか、NHKのスペシャルドラマと、劇場版映画でほぼ同時期にリリースされたんですよね。
そんな情報を聞き、テーマが「日航機墜落事故」でしたので、当時まだ中学生で夏休み中の事故で深夜まで報道番組に齧り付いて見ていたり、色々と想い出の多い悲しい事故でしたから、直ぐに原作を手に取りました。
「こんなドキュメンタリーみたいな生々しい、火傷しそうに熱い物語が有ったのか」と読後、ブルッと震えた記憶が未だに残っています。
ただ単にあの悲惨な事故を描くのではなく、あの事故でスクープをスッパ抜いてやろうと云う地元新聞社が舞台の、男たちが熱くぶつかるひと夏のお話と、主人公の親友の死と云う対極的な事故を上手~く絡み合わせた、著者の作品の中では一番好きな小説です。それ以上は、本書を読んで体感してください。
ところで最初に触れた映像化の話ですが、確かTVドラマ版の方がOAが先だったのですが、そのドラマの出来が恐ろしく良くて、劇場版を観に行った時に「ドラマの方が良かったなぁ」と思わず呟いたのも、懐かしい記憶です。
本書を読み終えたら、その映像2作品を観てみることもお奨めします。原作の何処を端折ったのか、何処に力を入れたのか、作り手の考え方が分かって面白いですよ。まだまだ若手だった滝藤賢一さんが良い芝居をしています。
Posted by ブクログ
日航ジャンボ機墜落事故から40年の報道を見て、今が読むタイミングかと思って読んだ。
横山秀夫の著作を読むのは2冊目。前作もそうだったけど本作も組織のなかの人間関係を描くのが上手い。元新聞記者が描いているのも説得力がある。
実話がもとになっているから、読んでいて苦しくなるところもあったけど、報道のあり方、命の重さについて考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ
実際に起きた事件をもとに描かれているので、リアルな描写が多かった。登場人物の苗字が多くて混乱しながら読んだ。
この前に読んだのが、そしてバトンは渡された。だったので、家族とうまく行かない主人公に切なくなった。アナログな業種は人間関係のドロドロが多いように感じた。弊社でも社長vs専務のようなドロドロはあるのだろうか。
ずっと辛い気持ちになるストーリーだったが、最後はハッピーエンドになってよかった。
Posted by ブクログ
御巣鷹山の日航機墜落事故を受けた、地元新聞社を舞台にしたフィクション。
事故のデスクとなる主人公を取り巻く人間模様なハラハラしました。
事故当時と現在を行き来する構成で、現在は亡くなった同僚の息子と登山をする場面が描かれていて、そこで登山と御巣鷹山がかけ合わされています。
現場雑観と隔壁のシーンは特にドキドキしてバーッと読んでしまいました。
ですが、すぐ怒鳴る、手が出る、会社組織なのに荒っぽすぎる気がして辟易はしました。