【感想・ネタバレ】クライマーズ・ハイのレビュー

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新聞社のゴタゴタ感がリアルで良かった。汗とか泥の入り混じった匂いがした気がするぐらい。時折はいる登山のシーンでほどよく心が凪いで、最後まで苦痛なく読み進められた。

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2024年03月12日

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ネタバレ

横山秀夫3作目
評価高いけど映画先に見ちゃってるしなぁ~と思っていたが、読んでよかった…
今年読んだ中でベスト。ドはまりです。
睡眠時間を削ってでも読みたくなる小説に会うために読んでます。

■熱
熱い、とにかく熱い。
昭和体質のサラリーマンしか出てこないのに。
登場人物も会社の体制も派閥争いも昭和臭プンプン。
でも皆奥底に人情があったり何か抱えてたりしていて憎めない。
貸し借りがあってもその場で礼を言わずに借りを返すところ大好きです。
映画の影響で脳内の悠木は堤真一だし佐山は堺雅人だし神崎は滝藤賢一だし(映画見た頃は名前も知らなかったけどこの人の演技は印象に残りすぎている)
全員カッコよすぎるやろ

■紙媒体
輪転機やトラックのタイムリミットを計算したギリギリでの戦い
トラックの鍵盗む原始的な攻防戦
子供のケンカみたいだけど皆必死だ
紙はこれからどんどん廃れていく媒体だけど、早さを求めた結果、表面的な何の根拠もないペラペラの電子媒体の情報が溢れ返ってる
裏取りをするのにあれほど拘ってた悠木は間違っていない。
情報を発信する責任をしっかりわかってる証拠だ。
ネットが発達したのは素晴らしいけど結局は使う人の頭次第。無責任な情報が無数に飛び交ってるから取捨選択の仕方は子供に教えてあげないと。

■命の重さ
ボランティアでは無いから新聞も売れなきゃ続けられない。親族にとっては大きな死でも世間から注目されるものとそうでないものがある。
当事者にならないと気持ちはわからない


ハラハラドキドキがいっぱいあってついページ数をメモってしまった
       ↓
『五百二十四人 部屋が一瞬、静まり返った。』
フロアの全員が事の重大さを把握する緊迫感がすごい

『生きていた。少女が、~ これだけ局内が喜びに沸き返った瞬間を悠木は知らない。』
ドライな人達だと思ったが全員が心の底から喜んでいることに感動

『刺激に麻痺することは罪とはみなされない。』
戦地でも言えることかもだけど、普通は人の死なんて間近で見てないから重大なことと感じてるけど、日常の中で常に死に触れてたら誰しも麻痺するか壊れると思う

『お前を調子づかせるために五百二十人死んだんじゃないんだ』
映画でも言ってた記憶。悠木かっこよ。

『「局長と次長には話したのか」「いえ」レンズの奥の目が微かに揺れた。昼間の借りは返した。』
これ以降の等々力もいざとなるとカッコよい。憎めん



他にも山ほど心に刺さる、感動する、カッコいい言葉ばかりだった。
気持ちが溢れて語りきれん
今度は半落ち読もうかなぁ~

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2023年10月27日

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2023.10.14
心とか、気持ちとかが、人のすべてを司っているのだと、こんな時に思う。

だったらまた書けばいい。

下りるために登るんさー。
安西の言葉は今も耳にある。だが、下りずに過ごす人生だって捨てたものではないと思う。生まれてから死ぬまで懸命に走り続ける。転んでも、傷ついても、たとえ敗北を喫しようとも、また立ち上がり走り続ける。人の幸せとは、案外そんな道々出会うものではないだろうか。クライマーズ・ハイ。一心に上を見上げ、脇目も振らずにただひたすら登り続ける。そんな一生を送れたらいいと思うようになった。


昔読んだ時も、昔映画を見た時も、抜きネタをポシャった所、苦悩の末スクープを落としたところしか印象になかったけど、久しぶりに映画を観た時のあの感触は確かだった。物語の中心はそのあと。久々に見た映画でもそうだったけど、白河社長が乗り込んできてからの応酬が熱い。まさに『本当に今迄は幸せな人生だったと感謝している。』そして題名のクライマーズ・ハイ。そうか、そういうことかとストンと胸に落ちた。

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2023年10月15日

ネタバレ 購入済み

完全なる『傑作』!

今から15年程前に成りますか、NHKのスペシャルドラマと、劇場版映画でほぼ同時期にリリースされたんですよね。

そんな情報を聞き、テーマが「日航機墜落事故」でしたので、当時まだ中学生で夏休み中の事故で深夜まで報道番組に齧り付いて見ていたり、色々と想い出の多い悲しい事故でしたから、直ぐに原作を手に取りました。
「こんなドキュメンタリーみたいな生々しい、火傷しそうに熱い物語が有ったのか」と読後、ブルッと震えた記憶が未だに残っています。

ただ単にあの悲惨な事故を描くのではなく、あの事故でスクープをスッパ抜いてやろうと云う地元新聞社が舞台の、男たちが熱くぶつかるひと夏のお話と、主人公の親友の死と云う対極的な事故を上手~く絡み合わせた、著者の作品の中では一番好きな小説です。それ以上は、本書を読んで体感してください。

ところで最初に触れた映像化の話ですが、確かTVドラマ版の方がOAが先だったのですが、そのドラマの出来が恐ろしく良くて、劇場版を観に行った時に「ドラマの方が良かったなぁ」と思わず呟いたのも、懐かしい記憶です。

本書を読み終えたら、その映像2作品を観てみることもお奨めします。原作の何処を端折ったのか、何処に力を入れたのか、作り手の考え方が分かって面白いですよ。まだまだ若手だった滝藤賢一さんが良い芝居をしています。

#泣ける #感動する #ドキドキハラハラ

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2022年12月15日

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ネタバレ

 日本航空123便墜落事故を受けて、地元群馬の地方紙の記者である悠木が同事故の全権デスクに任命され、仕事に家庭に翻弄されながら戦う話。並行して、事故から17年後、谷川岳の衝立岩に当時の同僚の息子と挑む話が挿入される。

 この本を読んで抱いた気持ちは、脂身たっぷりのリブロースステーキをドカ食いしたような背徳的満足感。
 荒々しさと義理人情、繊細さ弱さを持つ男性像。仕事に対する凄まじい使命感、熱量。魂をぶつける、と言えば的確な表現だろうか。
 恐らくあらゆる面で「かつての王道」であり、これぞ男の美学!といったものだったのだろうと想像する。今の価値観からすると相容れない面もあり、私自身この小説の舞台(1985年)にはまだ産まれていなかったこともあり、読んでいて頭にノイズが入ることは多少はあった。
 だから、胃もたれによる若干の後悔と、古さもありつつの明快な王道を平らげた静かな満足を得た。
 以下ネタバレ。



 なぜ山に登るのか?という主人公の問いに対し、主人公の同僚は「下りるために登るんさ」と、謎めいた言葉を発する。
 この謎の答えは物語の終盤、会社で馬車馬のように、かつ浅ましい仕事を命ぜられ、新聞社を辞め山の世界に戻るつもりだったのだ、と主人公の口から示される。そして、下りることも下りないこともできない中途半端な状態の主人公にやんわりと生き方の選択を迫っていたのだと。
 そして、下りない選択をした主人公。小説の表題である「クライマーズ・ハイ」のように、「一心に上を見上げ、脇目も振らずにただひたすら登り続ける。そんな一生を送れたらいいと思うようになった。」(p.462)

 そんな生き方は憧れると同時に、燃え尽きた時の圧倒的な虚無への恐ろしさもある。私の周辺にも、周囲に激務から解放された途端にバーンアウトして心を壊した者がいる。人は一度壊れたらそうそう元には戻れない。だから、燃え方は本当に気をつけなければいけないと強く感じているところだ。
 登山も、得てしてどんどん前衛的になってゆくものだし、登山家は死によって完成する感すらある。

 それでも、ひたすら登り続ける一生というのは魅力的な言葉でもある。主人公の生き方は自分の人生観に近いものではなかったけれど、ここ数年で人生のステージが大きく変動した私にとって、生き方について立ち止まって考えるひとつの契機になったとおもっている。

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2024年05月10日

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日航機墜落事故、毎年夏になると必ず思い出す。

望月彩子が言ったことは、以前私も考えたことがあった。命を落とし、テレビや新聞で報道されて多くの人にその死を知られ悲しまれる人と、そうでない人がいる。この違いはなんなのかと。重い命と、軽い命…。

彩子は、「泣きません」と読者投稿に綴ったが、いざ掲載されると、遺族に申し訳ないと涙を流した。
「肉親を失った人間が、あの娘の気持ちをわからないはずがないだろうが!」
彩子だってそうだろう。怒りや憎しみで強がっていたが、本当は遺族の気持ちを思い、一緒に涙を流したかったのではないか。

仕事、家族、仲間。いろいろな思いが込み上げ、終盤はずっと泣いてた。いい終わり方だった。

事故当時、群馬県で新聞記者をしていた横山秀夫さんだからこそ、描けた作品だと感じた。とてもリアルで、これが当時の新聞業界であり、日航機墜落事故を報道するということなんだろうなと。
また、1985年と2024年、様々な面から時代の変化を感じた。スマホってすごい。

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2024年02月03日

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仕事への熱量がすごい。
悠木もそうだが、佐山が狂気じみたほどの熱量。佐山は映像作品だと堺雅人が演じているらしく、観てみたい。
悠木がスクープ負けしたシーンは失望した。なに慎重になってんだよ、自分なら勝負してたな。個人的なMVPは燐太郎。衝立岩で悠木をリードする燐太郎が頼もしく見えた。

好きなシーン
・佐山の魂の原稿
・配送車の鍵を隠すシーン(他部署との攻防)
・異動前に病室の安西に話しかけるシーン
・最後の娘さんをくださいのシーン

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2023年12月19日

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若手記者の現場雑感を落とされ、スクープも掲載せず、上手くいかないことの方が多い主人公がとても現実的であった。
作者は元々記者でフィクションとノンフィクションの間を行き来するような読み応えがある。

新聞社の各局の攻防や政治、社内政治との関係など内情をよく知ることができた。

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2023年09月20日

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久し振りに重厚な小説を読んだという印象。
筆者が上毛新聞の記者であっただけに描写が深くリアルだ。

自分自身は日本航空123便墜落事故についてあまり深くは知らないが
衝撃を窺い知ることができる。
現場に行った人が、行っていない人にはわからないという感覚になるのも無理は無いし
自覚できないストレスも蓄積したことだろう。

一番好きなキャラクターは佐山だろうか。
大久保連赤世代の社員が邪魔をしてくるところは読んでいて正直イライラしたし、
全権デスクと言いつつちっとも全権が委ねてもらえないところも歯がゆい。
書き得だと思ったのに事故原因を書かなかったのは自分としては意外な判断だった。

良くも悪くも昭和の世界で、正直自分の感覚ではしっくりこないところは多かった。

当時のことだけでなく、現在の主人公の視点も交えて書かれており
登山のシーンはとても良い。
タイトルを聞いて始めに期待したほど登山がメインの話ではないが
作中にあったとおりクライマーズ・ハイは
解けた時にまだ山登りの最中だった時恐怖で足が竦みそうで
色々とタイトルについても考えさせられた。

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2023年09月12日

Posted by ブクログ

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映画化されてその予告がCMに流れるまで、この話はただの「山登りの人たちの話」だと思ってました。
まさか、あの日航機墜落事故の話だったとは…。
あの事故のことはよく覚えています。
あの日、私も羽田空港から飛行機に乗ったからです。
まあ私が乗った飛行機は千歳行きだったし、時間帯も全然違いましたが。
姉と2人で北海道の祖父の家に行き、その翌日にテレビであの事故を知り、とてもショックだったのを覚えています。
だからこの本も、ネットで事故のことをいろいろ調べながら読んだので、とても胸が痛かった。

…私はいつも、本の感想とは全然違うところに方向が向かってしまうな。映画化か。
私の好きな堺雅人さんが出演してるから、見てみたいな。

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2023年08月29日

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