【感想・ネタバレ】ナスカ 砂の王国 地上絵の謎を追ったマリア・ライヘの生涯のレビュー

あらすじ

南米ペルーのナスカには、世界遺産に指定された壮大な地上絵がある。サル、クモ、ハチドリ、渦巻き模様……1930年代、まだ20代のドイツ人女性が、このふしぎな地上絵に魅了され、その生涯を地上絵の研究と保存にささげた。彼女、マリア・ライヘの数奇な人生に惹きつけられた楠田枝里子が、政情不安なペルー、そして統一前夜の東ドイツ・ドレスデンへ、何度も取材を重ねた、渾身の人物ノンフィクション。日本での「世界遺産ナスカ展」を機に、貴重な写真を多数収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 著者の苦労話がダラダラと続くところはつまらないのだけれど、今や大変な観光資源になっているであろう、ナスカの地上絵が世に出るのに、マリア・ライヘという女性が重要な役割を果たしていることを知ることが出来たのはとても良かった。
 全てをなげうって情熱を注ぎ続けた彼女を動かしたものは何だったのだろう?

 ナスカの地上絵を守り続けた一人の数学者、マリア・ライへの著者の取材記。マリア・ライへは、ナスカの地上絵発見当初からその価値を訴え続け、現在の地位を築くのに貢献した人物。自分の衣食にも事欠きながら、地上絵の研究・保護に一生を捧げた。著者は、マリアが如何に偉大な人物かを主張したいのだと思うが、主な内容は自分の取材の苦労談に尽きる。もっとマリアの人生の物語があったほうが良かったのでは、と思う。
 最後の方で、著者はマリアが自分の人生が幸せだったと言うのを信じられないと言う。彼女が失ったものは、得た栄光よりもずっと多いというのがその理由。しかし、ボクは彼女は本当に幸せだったと思う。普通の人物は、自分の一生を捧げたもよいと思えるものに出会えるのはまれだし、仮に出会えたとしても、生活などを考えて、その道を選択できないことも多い。この障壁を乗り越えられる人間は、幸せな人間だろう。

 もしまだ著者が彼女を偉大な人間だと考えているのならば、もう一冊書いて欲しい。今度は、マリアの物語を中心にすえて。

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2012年02月02日

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