あらすじ
平城京に置かれ、占い・天文・時・暦にたずさわる部署、陰陽寮。天文博士のもとで星図をかく星読みの青年、言祝にはとくべつの秘めた務めがあった。
大化の改新がはじまる直前まで、飛鳥の地には、『日本書紀』をまとめるために欠かせない書物があったという。蘇我氏が滅びる乙巳の変によって、一族とともに焼失したそれを探しだし、炎にまかれる直前に持ちかえってくるようにとの命を受けた言祝。ありかをつきとめるため、蘇我の邸にまぎれこませる女の子として、言祝が見こんだ少女、沙々。
平城京と飛鳥、およそ70年離れた時をこえて過去わたりをする二人に訪れた結末は……。
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Posted by ブクログ
日本史を【物語】で知りたいと思って手に取った『六四五年への過去わたり: 平城の氷と飛鳥の炎』(牧野礼)。
『夢見の猫 風の犬宮』に引き続き、本書を読む事にしたのですが、この著者が書くお話はやっぱり面白い。
【飛鳥時代】【史書編纂】に関するお話を読んだのは初めてです。
それまでは「聖徳太子と蘇我入鹿、中大兄皇子がいて〜…」っていう歴史ぐらいしか知らなかった。
物語っていうのは、読んでる間半ばこの世界の中に身を置くような形になる感じがして、
【読書体験】とは、よく表された言葉だよなってホント思いますね。
読んでてハラハラなんて久々だったなぁー。
最近はもっぱらノンフィクションばっかり読んでたから、「ふーん、こういう出来事があるんだ、へぇ〜」っていう……なんていうか感情の波が一定の感じで、たまに「ブッッッッ」って笑うくらい。
「お話は、最初から最後まで通して読まないと、その臨場感がわからない」という事をまた改めて思ったなぁ。
Posted by ブクログ
成長と我慢して理不尽な事に耐えるのではなく闘う強さを教えている気がする。
こういった迷いながら、どん底から這い上がる強さの本をたくさん読んでいたと思うけど本を読む事は現実逃避でしかなかった自分は今になって本の大切さや学ぶことはたくさんある事を知る。
Posted by ブクログ
70年前の飛鳥の地にある史書を持ち帰る使命を受けた言祝(コトホキ)と、姉を救うために言祝を手伝う沙々。2人は氷室からタイムスリップを繰り返し情報を集めるのだが、過去に干渉してはならないと言われていたのに、沙々はある女の子と知り合ってしまう。
壮大な話だが、身近な縁も描かれていて読みやすい。挿絵もいい。解説も巻末にあるので、この時代の歴史がよくわかる。