【感想・ネタバレ】ビューティフルからビューティフルへのレビュー

あらすじ

絶望をドレスコードに生きる高3の静とナナは、「ことばぁ」という老婆の家に毎週通っていて――。たたみかけるパンチラインで語られる高校生たちのモノローグ。第59回文藝賞受賞作。

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ネタバレ

最後まで食えば美味しくなってる

そういう料理みたいに読んだ後は魅了された。

 私は全然登場人物に共感もしなければ同情もしなかった。それはいい意味で文体や言葉選びに集中できたからだろうと思う。

 内容としては最初のページから生々しくて、重苦しくて、青臭くて、重たいようなこの本のことを最後まで読めるか不安だった。でも私は自分が終えた学生時代というものを濾過して、美化をしていたことに気づかされた。人生は思ったより汚くて、学生時代だって信じられないほどグロテスクな人間関係があって、自分は何を平気なふりをして生きてるんだと震えた。無料の同人エロ漫画を読み漁って夜を更かして、女だって全然そうでもいいだろと正気になった。

 私は綺麗な言葉や物語に毒されて、部屋も汚せなくなっていた。生きてもないのに死んでたまるか。精一杯生きたいです。素敵な物語でした。

 はじめての本のレビューを書きました。日比野さんの作品を楽しみに星は全部つけます。大好きです。

#アガる

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2023年01月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごいものを読んでしまった!!という感覚。今までに体験したことないような読書体験だった。

まさにパンチラインの連続。時折心にクリーンヒットする。ぐわぐわと揺さぶられて、共感できてしまうことが苦しくて、フラッシュバックのような感覚もあった。車のナンバーの描写は私自身の経験とも重なって苦しかった。でも文章は読みやすく、淡々と進む。スラスラと読み進み、一気読みだった。主人公達が高校生というのも良いなと個人的には感じた。他の作品をオマージュした文章が多く、文章を楽しむことも出来る作品でもある。暗いものを抱えた主人公達だが、読後感もさっぱりとした気持ちだった。

『育ててくれて超ありがとう。でも、私と血縁関係のあるらしいあの男女が死んだら、せいいっぱい死体蹴りしたい。』
この読書体験でしか救われない心の部分が、確かにある、と思った。

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2023年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ネグレクトを受けて育ったナナ、自己破滅願望がありそうな静、スネオ的ポジションで生きてこれたビルEを中心とする高校生の私小説。

穂村弘さんが書いてある「作者以外は誰も全貌がわからない。」の通りである。
作者が感じた、言葉にできない感情を、言葉を介して表現したらこうなったのだろう。詩的であった。
(穂村弘さんの短歌集を見たときと同じ感覚)

表紙のはっきりとした色使い、そして頭から青のペンキをかける描写が印象的だった。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

言葉に勢いがあり、独特で面白い小説だった。いろんな文学的技法が使われていそうだが、自分に知識がないのでうまく説明することができない。ただ、こういう表現をする小説は読んだことがなかった、とは言える。「絶望をドレスコードにして」とか、「性根の腐敗は、腐ったリンゴ方式で舌の根にまで及んでいた」とか、言葉遊び的な表現が最初から最後まで続く。間違いなくこれは自分には書けない文章なので、ただただ凄いと思う。ポンポン飛び出すフレーズのような言葉、それらを最初から最後まで盛り込んでいる。作者のコレコさんは自然とこういった文章を書ける人なんだと思うし、そういった意味ですでにご自身の作家としての個性を確立されているのかもしれない。

ではなぜ星3にしたのか。
ストーリーの展開があまりなく、表現は面白かったが自分には作者が何を伝えたいのかがちゃんと理解できなかったからだ。この『ビューティフルからビューティフル』は高校生3人の独白という形をとっている。3人の独白がテンポ良く切り替わるのと、軽快で詩的な表現のため、どこかポップな感じを受ける。『ビューティフルからビューティフルへ』を読んで、思春期の高校生ってこんな感じなのかもしれないと思った。でもそれだけだった、というしかない。

自分が物語から受け取りたいのは普遍的な哲学だったり思想だったりするのかもしれない。それなら哲学書読めよといわれそうだが、物語のなかに落とし込まれたものを読みたいのだ。『ビューティフルからビューティフルへ』には「ビューティフルからビューティフルへ」というタイトルそのままの言葉が出てくる。これは主人公三人に共通する考え方とでもいうべきもので、僕はよく理解できたわけではないが、もしかしたら美意識のことを言っているのかもしれない。多感な思春期、死にたい、疎外されたくない、自分の個性がないなどいろいろな悩みを抱える高校生たちにとって、唯一誰にも譲れない自分だけの美の感性、価値観、判断基準、これに最後にすがるということなのだろうか。ことばぁという老婆の家に3人は集まるのだが、老婆が言った言葉が、最後は「ビューティフル」で締めろというものだった。長年生きてきたことばぁが人生から得た教訓を若者に伝授したとも考えられる。だけれどもこの「ビューティフルからビューティフルへ」の哲学がいかんせん僕には、物語にとってつけたものにしか感じられなかった。ことばぁもそうだがその存在にもっと意味を持たせて、肉付けして、読者を納得させる必要があるのではと思った。もしくは僕の読者としての理解度の低さというか限界なのかもしれない。

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2023年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

過去の短歌や漫画、小説などから本歌取り?をされてるとのこと。わかる人にはわかるらしいけど、私には全然わからなかった…
たくさんのジャンルのたくさんの作品に触れて、吸収して、それを自分の言葉で吐き出したのがこの作品なのかな、それを10代で出せてしまうと言うのがすごい…
知識が足りなすぎて理解しきれなかったけど、とんでもなくエネルギッシュだな、とは思った!!

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2023年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校3年のナナ、静、ビルEがラッパーの様なノリで織りなす群像劇。ひとりひとりの抱える問題は違っても死にたい、生きにくい状況は同じ。巫女として存在する「ことばぁ」に導かれビューティフルはビューティフルに帰結する。

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2023年01月06日

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