あらすじ
絶望をドレスコードに生きる高3の静とナナは、「ことばぁ」という老婆の家に毎週通っていて――。たたみかけるパンチラインで語られる高校生たちのモノローグ。第59回文藝賞受賞作。
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Posted by ブクログ
大好き!大好き!大好き!
オモコロチャンネルで紹介されてたから読んだけどドンピシャで大好きな作品だった。
うねるように次々登場するパンチラインの数々、どれも好きすぎて悶えた。
生きたいとか死にたいとか愛するとか信じるとか殺すとか色んな感情が心の中で日々渦巻く中で人と関わり合うことで生まれる感情の矢印を追うことに億劫になって自分から自分に向ける矢印が死にたい、しかなくなってしまう私はナナや静やビルEの存在に痛いほど勝手に共感したし救われた。
惰性でも結局生きるしかなくて私にとっての地獄は他人にとってはどうでも良くて。
道化を演じ続けるナナの切実さも分かるし自己肯定感の低さが原因なのかは分からないけど正解を追い求めてしまって絶対的な誰かに着いていくことしか出来ないビルEの気持ちも無邪気に誰かの感情を弄んで本当の真っ直ぐさは伝わらなくて空虚さしか心に残らない静の気持ちも、私は全部分かるよ、分かるって言わせて欲しい。
誰よりも強い矛盾を抱えて今日も生きなきゃいけないけど、正しいとか間違ってるとか無いから。
誰かにとっての正しいは誰かにとっての間違いだから。
だから、せめて少しは生きやすいように目の前にいるあなたの正しいに合わせて私は生きようと思う。
そして、美しさだけは正誤も善悪も全部飛び越える力があるから、美しく生きようと思う。
関わる人によって顔色を変える私はずっと美しく在りたい誰と話しても美しく、ビューティフルからビューティフルへと。
抽象的にしか掴めなかったけど本当に大好きで堪らない作品だった……。
日比野コレコさんの他の作品も読みたいな。
唯一無二
強い言葉から若さとエネルギーが伝わります。
気だるい日常を、勢いだけで乗り切る映画みたいに、ビューティフルに駆け抜けていくような作品。
読む者に確実に影響を与える一冊、それが良いものなのか悪いものなのかは読み手次第。
Posted by ブクログ
全行おもしろかった。
世間にウケてるのかウケてないのか知らないけど、評価とか全く気にならないおもしろさだった。
この流れでもう一回読もうと初めて思った。
芥川賞とって欲しい。
Posted by ブクログ
言葉選びが秀逸でなんども読み返したくなったり読み返してもよくわからなかったり、小説というよりは詩集を読んでいるような気持ちになる。これがデビュー作であり文藝賞を取っており当時作者さんが19歳というのだから末恐ろしい、範馬勇次郎に殺されるのをコンマ数秒遅らせられるなんて私にはひっくりかえってもできないし一生出てこない言葉過ぎて良かった。現代的な感覚で尖った文章で書かれる先生の作品がこれからも楽しみです。ビューティフル
Posted by ブクログ
分からないけど、分かる感覚が、気持ちいい。
こんな文章を書ける人には、どんな世界が見えているんだろうか。
自分も気持ち悪いままでいいんだと思った。
Posted by ブクログ
ティーンエイジャー自らが刻んだ痕跡のような生々しさがある。
しかし決して重くはなく、爽快感が勝る。
今後の作品にも大いに期待してしまうが(モモ100%未読)、ルクジオのデビュー作『調書』が成しえたように、今だから書けた奇跡のような作品なのかもしれない。
※余談ですが、読みずらい、合わないと言って途中下車してしまった方々はある意味正しい読み方をしています。その訳は、最後まで読んだ人にしか分かりません。
Posted by ブクログ
ここに本物の絶望があるのに、読んでいて「死にたく」ならないテンポ感。
自分は恵まれていて悩みのない人間なんだと思った。
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18歳の新星が放つ、一段飛ばしの言語感覚!
絶望をドレスコードに生きる高3の静とナナ。生と死の両極に振り切れ乱反射する、高校生たちのモノローグ。
第59回文藝賞受賞作。
最後まで食えば美味しくなってる
そういう料理みたいに読んだ後は魅了された。
私は全然登場人物に共感もしなければ同情もしなかった。それはいい意味で文体や言葉選びに集中できたからだろうと思う。
内容としては最初のページから生々しくて、重苦しくて、青臭くて、重たいようなこの本のことを最後まで読めるか不安だった。でも私は自分が終えた学生時代というものを濾過して、美化をしていたことに気づかされた。人生は思ったより汚くて、学生時代だって信じられないほどグロテスクな人間関係があって、自分は何を平気なふりをして生きてるんだと震えた。無料の同人エロ漫画を読み漁って夜を更かして、女だって全然そうでもいいだろと正気になった。
私は綺麗な言葉や物語に毒されて、部屋も汚せなくなっていた。生きてもないのに死んでたまるか。精一杯生きたいです。素敵な物語でした。
はじめての本のレビューを書きました。日比野さんの作品を楽しみに星は全部つけます。大好きです。
Posted by ブクログ
色彩豊かな言葉が乱立していて、初めて小説を読んで、酔いました。でも、この酔い方は、中毒性があって、文学の新たな形なんだと、あらためて感じました。この作品の中心になるのが、ナナ、静、ビルEの3人の高校生の日々の生きづらさ、思春期という、一番憂鬱になる時期をリズミカルな文体で描いてる作品です。一つ一つの文章が、ラップのリリックみたいで、頭に残りやすい印象でした。
最近の若者という言葉で、一括りにしたくないが、最近の若者の感受性はとっても繊細で、ナイーブで、脆くなりやすいんだなと、客観的に見てそう感じました。言葉って大事だなと再認識しました。
第59回文藝賞受賞作。
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高校生のナナさん静さんビルEさんと老女ことばぁさんとのお話(?)。
学生時代にあるそれぞれ抱える悩み、不思議な言葉を連ねることばぁさんにより、それぞれの言葉もまた変化していく、ということかぁ。特に何も起きてないけども。
物語として何か大きな出来事があるわけではなく、青春の日常(?)が描かれる。様々な表現のしかた、読みにくくはあったけれども、豊かな表現は興味深かった。特に濡れるとか自慰とか性交渉とか。
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青年期にしか味わえない青さ苦しさエモさイタさがヒシヒシと伝わってくるような。不安定で絶望的なパンクビューティーがリズム感のある文に凝縮されていて一気読み。野狐禅やブルーハーツを筆頭に有名曲やその他小説の一節が出てくるのも、自分の青春時代を思い起こせて読んでて楽しかった。この本、トー横周辺で布教したい。
そして、町田康さんの帯コメントは納得でした。
ー極度な自己否定を極度の自己肯定に反転させ、その両極を繋げることによって、束の間、魂を生き延びさせる、その方法を描いた小説である。
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アニメや漫画を用いた比喩やちりばめられた言葉遊びが面白かった。「死にたい」を抱えて生きるヤケクソ感が好きだった。「死にたさ」を重く捉えず綴った小説が珍しかったからすごく気に入った!!
笑顔は感情の終着点で希望はコートのように羽織るもので人生は死ぬための準備だという言葉に共感しつた。ナナが言っていた希死念慮には負けたことがないというのは私も同じだなと思った。
青春の裏側感にワクワクしながら読めた作品。
Posted by ブクログ
かなり面白かった。けど、作者の意図したことをどれだけ理解できているか自信がないのも確か。それでも溢れる比喩の波に気持ちよさを感じる。理解を超えた気持ちよさなのかも。賛否あって当然な作品。
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すごいものを読んでしまった!!という感覚。今までに体験したことないような読書体験だった。
まさにパンチラインの連続。時折心にクリーンヒットする。ぐわぐわと揺さぶられて、共感できてしまうことが苦しくて、フラッシュバックのような感覚もあった。車のナンバーの描写は私自身の経験とも重なって苦しかった。でも文章は読みやすく、淡々と進む。スラスラと読み進み、一気読みだった。主人公達が高校生というのも良いなと個人的には感じた。他の作品をオマージュした文章が多く、文章を楽しむことも出来る作品でもある。暗いものを抱えた主人公達だが、読後感もさっぱりとした気持ちだった。
『育ててくれて超ありがとう。でも、私と血縁関係のあるらしいあの男女が死んだら、せいいっぱい死体蹴りしたい。』
この読書体験でしか救われない心の部分が、確かにある、と思った。
Posted by ブクログ
ネグレクトを受けて育ったナナ、自己破滅願望がありそうな静、スネオ的ポジションで生きてこれたビルEを中心とする高校生の私小説。
穂村弘さんが書いてある「作者以外は誰も全貌がわからない。」の通りである。
作者が感じた、言葉にできない感情を、言葉を介して表現したらこうなったのだろう。詩的であった。
(穂村弘さんの短歌集を見たときと同じ感覚)
表紙のはっきりとした色使い、そして頭から青のペンキをかける描写が印象的だった。
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SNSでとある方が絶賛していたので読んでみましたが、私の感性では咀嚼しきれませんでした。言い回しや比喩の独特さで読んでいて飽きはしませんでしたが、内容の方は???という感じでした。
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パンチラインの奔流。そう書かれている通りという感じ。
意味わかんないけど意味わかんなくない。
一気にすべての文字が読まさる。
大丈夫だ、高校生。世界は広いし思っているより人生は長い。
Posted by ブクログ
面白かった。
配信者の方が薦めていたことから読んでみた。
パンチラインと評されるそれぞれの表現は、このようなものを書けるひとはいるよね、という印象。短文SNSで日々、名も知らぬ一般人が名言を生み出す世の中では。
我々は、140字の中で足し引きし、主述をぶっ飛ばし、語尾で畳み掛け、書き言葉と話し言葉のバランスをせめぎ合い、最も良い語を最も良い順番で並べるための、特殊な訓練を受けてきた。
作者はもう一つ二つ若い世代のはずだが、どこでそれをやってきたのかしら。
というわけで、言葉遣いが巧みですね!という点よりは、捻れたままのそれらを積み重ねて、全体で像を形づくれる方に技量を感じた。
狂気と正常。本当にくるっていたら、商業作家にはなれない。
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原宿さんの紹介で読んでみた。けっこう好き。
裏表紙には「軽やかなことば遊び」「たたみかけるようなパンチライン」とあるけど、もっとだらだら滴るゆるんだ蛇口みたいな印象だった。
静のターンがすごく好き。
ビルEがダイに依存してるのはそうだけど、ダイも実は関西弁を使ってたり、ビルEを意識?している感じがなんか可愛いなーって思った。
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言葉に勢いがあり、独特で面白い小説だった。いろんな文学的技法が使われていそうだが、自分に知識がないのでうまく説明することができない。ただ、こういう表現をする小説は読んだことがなかった、とは言える。「絶望をドレスコードにして」とか、「性根の腐敗は、腐ったリンゴ方式で舌の根にまで及んでいた」とか、言葉遊び的な表現が最初から最後まで続く。間違いなくこれは自分には書けない文章なので、ただただ凄いと思う。ポンポン飛び出すフレーズのような言葉、それらを最初から最後まで盛り込んでいる。作者のコレコさんは自然とこういった文章を書ける人なんだと思うし、そういった意味ですでにご自身の作家としての個性を確立されているのかもしれない。
ではなぜ星3にしたのか。
ストーリーの展開があまりなく、表現は面白かったが自分には作者が何を伝えたいのかがちゃんと理解できなかったからだ。この『ビューティフルからビューティフル』は高校生3人の独白という形をとっている。3人の独白がテンポ良く切り替わるのと、軽快で詩的な表現のため、どこかポップな感じを受ける。『ビューティフルからビューティフルへ』を読んで、思春期の高校生ってこんな感じなのかもしれないと思った。でもそれだけだった、というしかない。
自分が物語から受け取りたいのは普遍的な哲学だったり思想だったりするのかもしれない。それなら哲学書読めよといわれそうだが、物語のなかに落とし込まれたものを読みたいのだ。『ビューティフルからビューティフルへ』には「ビューティフルからビューティフルへ」というタイトルそのままの言葉が出てくる。これは主人公三人に共通する考え方とでもいうべきもので、僕はよく理解できたわけではないが、もしかしたら美意識のことを言っているのかもしれない。多感な思春期、死にたい、疎外されたくない、自分の個性がないなどいろいろな悩みを抱える高校生たちにとって、唯一誰にも譲れない自分だけの美の感性、価値観、判断基準、これに最後にすがるということなのだろうか。ことばぁという老婆の家に3人は集まるのだが、老婆が言った言葉が、最後は「ビューティフル」で締めろというものだった。長年生きてきたことばぁが人生から得た教訓を若者に伝授したとも考えられる。だけれどもこの「ビューティフルからビューティフルへ」の哲学がいかんせん僕には、物語にとってつけたものにしか感じられなかった。ことばぁもそうだがその存在にもっと意味を持たせて、肉付けして、読者を納得させる必要があるのではと思った。もしくは僕の読者としての理解度の低さというか限界なのかもしれない。
Posted by ブクログ
決してつまらなくはないし、面白いとは感じるんだけど、読解力が足りなく十分に理解できなかった気がする。
でも読む気が失せたりするようなことはなくて惹かれるけど、表層的な意味しかわからない違う言語を読んでる感じ。
個人的にはヒップホップは好きだけど、所々出てくるその要素がどこかあからさまに見えてグッとは来なかった。でもこれも年齢の差による、特定の文化に対する馴染み方の差なのかなと思うと、結局は受け取り方の問題なのかなと。あとそこが本筋ではないし。
でも終盤にかけてのそれぞれの物語の収束の仕方や最後の仕掛けのネタバラシは好きだった。
自分はこの作品が好きなのかそうでもないのか、共感できてるのか理解できないのか、とにかくいろんなことがわからないまま、なにもできないまま目の前を疾走していった感じ。
感想も全然まとまらない。
読んだ人と感想や意図を話し合いたい。
Posted by ブクログ
読後、興味が湧いたので著者さんの名前でググってみました。新人賞受賞後のインタビューや対談などが見つかり、いったいどんな人がこんな小説を書いたのか、という素朴な疑問はとりあえず解消されてスッキリ。
強い言葉や豊かな比喩に溢れたこの小説は、若年層にしかわからない、理解できない内容が少なくないと思うのですが、それでもなにやらスゴイ人が出てきた、という感じは強く受けました。
ことばぁ、のキャラ(というか立ち位置)がいいなあと思います。
Posted by ブクログ
過去の短歌や漫画、小説などから本歌取り?をされてるとのこと。わかる人にはわかるらしいけど、私には全然わからなかった…
たくさんのジャンルのたくさんの作品に触れて、吸収して、それを自分の言葉で吐き出したのがこの作品なのかな、それを10代で出せてしまうと言うのがすごい…
知識が足りなすぎて理解しきれなかったけど、とんでもなくエネルギッシュだな、とは思った!!
Posted by ブクログ
ページも少ないので一気読み。とりあえず初読の感想は「なるほど、わからん」って感じ。何を感想に書いてもネタバレにはならないな。
あらすじにも書かれてる通り、『たたみかけるようなパンチラインの奔流』ではあるが、物語を画として浮かべて読むタイプにとってはやや苦手な分類かもしれない。逆に音や感覚で楽しむタイプには向いているかも。
作中には、様々なものがパンチラインの一部として出てくる。気づいただけで、刃牙、蹴りたい背中、ハリーポッター、アンパンマン、ハイロウズ、マリオカート、住野よる。多分他にもありそうだけど、どこが意識して書かれていて、どこが偶然から生まれたかはわからない。
登場人物の気持ちを理解するには年を取りすぎたなと思った。若いときほど心情が理解できるのかもしれないし、若くても理解できないかもしれない。
Posted by ブクログ
高校3年のナナ、静、ビルEがラッパーの様なノリで織りなす群像劇。ひとりひとりの抱える問題は違っても死にたい、生きにくい状況は同じ。巫女として存在する「ことばぁ」に導かれビューティフルはビューティフルに帰結する。
Posted by ブクログ
レビューのとおり、言い回しや表現力が個性的で、よくこんな比喩や文章が思いつくなと思った。私では理解できない文章もところどころあった。
登場人物達の絶望や生きづらさは、共感できるところはないんだけど、読んでいるうちに、なんとなく登場人物達のキャラクターがわかってくる感じ。ストーリーよりも文章が独特で、最後まで一気に読めてしまった。
「ビューティフルからビューティフルへ」っていう言葉が本文にも出てくるけど、結局どういうことがよくわからない。笑
Posted by ブクログ
うーん、衝撃的にわからん作品だった。
高校3年生のナナ、静、ビルEの3人の視点で話は進む。とは言え、ただ彼ら3人の周囲で起こっているワイワイガヤガヤを書いているだけで、取り立ててストーリーらしきものはない。
著者の日比野さんは2003年生まれだから、これを書いたときは彼ら3人と同じ状況だったのか。言語感覚はすごいなと思った。これまで読んだことのない比喩や擬音がわんさか出てくる。
……純文学で、わけわかんなくて、言語感覚がすごいって、あの人やこの人もそうだったよな。この作家さん、将来やばいかも。
第59回文藝賞受賞作。