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Posted by ブクログ
絶望がドレスコード。そう語る、ネグレクト家庭で育ち「死にたい歴=年齢」のナナと、同人エロ漫画を読んで育ったビックリ箱入り娘の静は毎週「ことばぁ」の元へ通う。そこに駅前でサイファーする男=ビルEも加わり、絶望で泳ぐ三人にことばぁによって糸が垂らされるーーー
最高だった。
希望が人間の骨格とするならば、折り畳み傘のようにバキバキに折れたナナ、小指程度が折れたビルE、そして無駄に一本骨が生えてきそうな静。それぞれがそれぞれの絶望を育て上げてなお生きている様は受け手としても何やら動かされるものがある。
人が絶望に溺れている時、藁でも掴み、生を求める。三人もまた、ことばぁが垂らした一本の細い糸によって、数秒先を考えられる。どんな人でもそれは当てはまり、何が自分の生きる希望となるかは分からない。自分だけの特別な物かも知れないし、ありふれ、使い古された物や言葉かも知れない。それでも救ってくれるならそれでいい。いま自分が好きな物は小説で、文章で、言葉。人からなんと言われようと自分には言葉があるし、絶望の中でも、言葉の輝きを見つけ、縋りたい。
日比野コレコさんの小説がずっと気になっていて、遂に読んだのだけれど、すっごい好きかもしれない。言葉のセンスが好みで、「たたみかけるパンチラインで描かれる」と紹介されているように、強く響かせられる言葉が文章に溢れている。
Posted by ブクログ
大好き!大好き!大好き!
オモコロチャンネルで紹介されてたから読んだけどドンピシャで大好きな作品だった。
うねるように次々登場するパンチラインの数々、どれも好きすぎて悶えた。
生きたいとか死にたいとか愛するとか信じるとか殺すとか色んな感情が心の中で日々渦巻く中で人と関わり合うことで生まれる感情の矢印を追うことに億劫になって自分から自分に向ける矢印が死にたい、しかなくなってしまう私はナナや静やビルEの存在に痛いほど勝手に共感したし救われた。
惰性でも結局生きるしかなくて私にとっての地獄は他人にとってはどうでも良くて。
道化を演じ続けるナナの切実さも分かるし自己肯定感の低さが原因なのかは分からないけど正解を追い求めてしまって絶対的な誰かに着いていくことしか出来ないビルEの気持ちも無邪気に誰かの感情を弄んで本当の真っ直ぐさは伝わらなくて空虚さしか心に残らない静の気持ちも、私は全部分かるよ、分かるって言わせて欲しい。
誰よりも強い矛盾を抱えて今日も生きなきゃいけないけど、正しいとか間違ってるとか無いから。
誰かにとっての正しいは誰かにとっての間違いだから。
だから、せめて少しは生きやすいように目の前にいるあなたの正しいに合わせて私は生きようと思う。
そして、美しさだけは正誤も善悪も全部飛び越える力があるから、美しく生きようと思う。
関わる人によって顔色を変える私はずっと美しく在りたい誰と話しても美しく、ビューティフルからビューティフルへと。
抽象的にしか掴めなかったけど本当に大好きで堪らない作品だった……。
日比野コレコさんの他の作品も読みたいな。
Posted by ブクログ
とてつもない才能を感じた。文体が自由奔放で、予想外の表現が畳み掛けられていくのが面白かった。
「希望は人間の骨格だって言うけど、ダイの困った顔を見るのが好きで好きでたまらなくて、骨がいっぽん無駄に生えてきそうだった。」という箇所が好きだった。恋心をこんな風に表現する作家は、これまで見たことがない。
文体についてもう1つ良いなと思ったのが、「意味を認識することができない箇所」が、静が語るパートにいくつかあったこと。
たしかに日本語が羅列されていて、読点で区切られている一文ずつの意味はわかるのに、その一文を全てつなぐと意味がわからない。
とても不思議な感覚だった。
そこに静の自由奔放さが現れているような気がした。言葉を伝えるための道具として使うのではなくて、言葉を粘土にたとえるなら、言葉が静の思うままにいろんな形にこねくり回されて、その結果できたぐちゃぐちゃした粘土の塊が読者に提示されているみたいな。
言葉遊びの最上級がここにある、そんな感じがした。
「生きていくなかで、心をここになら置いておけるという場所がないから、負の感情を全部受け取って溜め込んでしまう」、溜め込んだ負の感情が汚い言葉として口から出てきてしまう、そういう人間の醜い性みたいな部分が描かれているのも良かった。
「この世でいちばん意味のないものは、確実に、確実に恥じらいだ。だから最短距離でダイが好き。」
という箇所も良かった。
綿矢りささんの小説に出てくる主人公のように、恋する相手に対して周囲を憚らず一直線に突き進んでいく感じがよかった。
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小説・文芸