あらすじ
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よかれと思ってやることがなぜ逆効果に? 「自分ならこうする」「こうすればいいんだよ」と解決策を押しつける。「そんなことは放っておけば治る」と問題を軽く捉えて突き放す。「大丈夫?」「今日はどう?」と心配のあまりかまいすぎる。「会社にいかないなら家事をやって」と自分の不満や不安を口にしてしまう。……こんな対応をしていませんか? 家族の初期対応は重要です。自分たちのやりかたが本人を疲れさせていないか、冷静になって振り返りましょう。まず発症の背景を理解し、その背景にある“家族の価値観”を見直して、家庭を休息の場所にし、ほどよく治療に伴走する方法。
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Posted by ブクログ
分かりやすく、読みやすい内容でした。
私の場合は家族ではなく自分自身が適応障害と診断されたのですが、手に取ってみました。
「うつ病」と「適応障害」の違いについての説明が分かりやすかったです。
本人の症状や状況によっては必ずしも休職することがベストではない、という点も印象に残りました。
Posted by ブクログ
生きているだけですばらしいというメッセージを送り続ける
適応障害を起こす人の多くに「〜ができる自分は優秀」という条件的考え方が見られます。うまくいかないことがあると二分思考が働いて「優秀でない自分はだめ」だと自分を否定的に見るようになるのです。
生きることに条件をつけて肯定することはやめる
とくに自殺企図が見られる人では、こうした傾向が強くなっているように感じます。
人は本来、生きていることそのものに価値があります。しかし家族は本人に対して、条件付きの肯定をしてきたのではないでしょうか。
子どもが誕生したときには、生まれてきてくれただけで喜びだったのに、期待はどんどん膨らみます。
初めは「優秀であること」は豊かで楽しい生活を送るための手段だったのに、いつのまにかそれを目的として語るようになります。最終的に「優秀でなければ生きる意味がない」という価値観にすり替わっていくのです。
夫婦間でも同様です。
こうした価値観を持てば、パートナーにも条件付きの肯定をしてしまうものです。
生きていることは無条件にすばらしく、それ以外のすべては「飾り」にすぎないのではないでしょあか。
どこかで価値観が逆転していないかを振り返ることも大事
もし「ーができる人」「優秀である本人」に価値を置き、それを求めてきたのであれば、これを機に(なにもできなくていい」「生きていてくれさえすれば十分」という、人間本来の価値を認めるメッセージを送ってみてください。
子どもが生まれた時の、「元気に育ってくれさえすればいい」という願いや、結婚したときの「ただ一緒にいたい」という思いを振り返ることが大事です。
適応障害という病気は、こうした家族の価値観を見直すよい機会になるはずです。
Posted by ブクログ
この本を読んでいると、大切な家族が「適応障害」と診断されたことを告白しているような感じになるが、別にそうした状況にあるわけではない(恐らく)。そもそも「適応障害」というものを理解できているかという観点で勉強のために読んだ。
― 仕事や学業にとり組んでいると、ときにはがんばって困難を乗り越えていかなければならないこともあるものです。根性論がときにその人が成長するうえで、よい効果をもたらすこともあるかもしれません。しかし本人が耐えられるレベルを超えて根性論がくり返され、その人の限界を超えてがんばるように促し続けると、恒常的な過負担からエネルギーレベルは低下していきます。このような状況下で、病気が起こりやすくなることがあります。こうしたときに普段なら聞き流せた上司の言葉を、深刻に受け止め、立ち直れなくなることがあります。
― 適応障害になる人には特有の思考パターンがあり、ストレスを受けると思考のクセ(スキーマ)が強く現れます。適応障害の最終的な治療には自分のスキーマに気づき、そこから抜け出すことが必要です。家族も強い不安を感じると二分思考が顕著になるスキーマは過去の体験や思い込みによって形成され、認知のゆがみを生じさせます。たとえば「自分はダメな奴だ」など否定的なスキーマがあると、他人の何気ない行為でも「ばかにされた」と受け止めがちになります。スキーマはいくつかありますが、「全か無か」とすべてを二極化する二分思考が適応障害のベースに比較的よく認められます。
― 精神科医は患者さんの悩みを聞く立場にあります。ときに患者さんは、親などの過去の重要人物に対して、心のなかにしまっていた思いを吐露することがあります。それが医師自体に向けられることも。本来、親に求めていた愛情を医師に求めたり、親に対する憎悪を医師に向けたりするケースが見られます。ポジティブな感情の場合を陽性転移、ネガティブな感情の場合を陰性転移と呼びます。陽性転移が生じると、医師と話をするのが楽しくなります。診察中はとても機嫌がよく、ネガティブな話をしようとしません。すると、いま抱えている問題を伝えることができなくなります。
身に着けておくべき基本的な態度を学べた。通常は問題が無くても、強いストレスで「思考の癖」が浮き彫りになる。また、乗り越えられるはずのハードルが次第に対処不能になっていく。心も疲労するという事を意識しておきたい。