【感想・ネタバレ】完全犯罪の恋のレビュー

あらすじ

「すごい小説を読んでしまった。
私はこの先も、何度も自分の血を辿るように
この作品を読み返すと思う」
――紗倉まな

「人は恋すると、罪を犯す。
運命でも必然でもなく、独りよがりの果てに。
その罪を明かさないのが、何よりの罰」
ーー中江有里

「私の顔、見覚えありませんか」
突然現れたのは、初めて恋仲になった女性の娘だった。

芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る四十男である「田中」。
編集者と待ち合わせていた新宿で、女子大生とおぼしき若い女性から声を掛けられる。
「教えてください。どうして母と別れたんですか」
下関の高校で、自分ほど読書をする人間はいないと思っていた。
その自意識をあっさり打ち破った才女・真木山緑に、田中は恋をした。
ドストエフスキー、川端康成、三島由紀夫……。
本の話を重ねながら進んでいく関係に夢中になった田中だったが……。

芥川賞受賞後ますます飛躍する田中慎弥が、過去と現在、下関と東京を往還しながら描く、初の恋愛小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白かった。
あまりにも文章が上手い。その上で思っていたよりもストーリーがしっかりしていて、面白かった。
川端康成も三島由紀夫も一冊も読まずにこの本を読んでしまったことは失敗だった。せめて『仮面の告白』『雪国』くらいは読まねば。
緑が一時期、田中と森戸の両属状態にあったという点は普通にクズだと思った。
透明な罪悪感。

0
2024年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本好きで繋がる田中と緑の関係は、甘酸っぱくていいなと思う。そこに三年生の先輩森戸の影がちらつき…
キスまでしておいて友人認定だったの?と思うけど、結局どちらだったのだろう。好きな作家と同じ死に方をすべき、というのがキーワードになってくる。
二男一女の三角関係は死人が出るのが文学のお決まり。
「こころ」のお嬢さんも名前「静」だったな。
男なんだから、という育てられ方をした田中に対し、静はジェンダーに過敏な反応をするけど、その静自身が田中を「男性」「作家」という枠組みでレッテルを貼っているという解説の指摘に、なるほどなと思った。

0
2023年01月04日

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