あらすじ
不慮の交通事故で崖から転落し、瀕死の重症を負って車内に閉じ込められた男女。助けを求める彼らの必死の願いをのらりくらりとはぐらかしていく男の“無関心”という恐怖を描く表題作。引きこもりの果てに家庭内暴力に走った息子の殺害を企てる初老の夫婦の絶望(『倅解体』)。孤独に暮らす女性にふりかかる理不尽な災禍(『仔猫と天然ガス』)。定年を迎えたその日、同僚たちに手のひら返しの仕打ちを受ける男のおののき(『定年忌』)ほか、理解不能な他人たちに囲まれているという日常的不安が生み出す悪夢を描く14編。――鬼才が紡ぐ悪夢と狂気の世界
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
グロ・暴力・屍体。もう清々しいくらいに真っ黒な一冊。間違っても人には薦められない。
切れ味鋭く無駄な描写のない展開。この本を面白いと思ってしまった自分は頭がおかしいのかと疑ってしまう14の短編集。
■他人事:開幕早々この話でやられた。崖からの自動車転落事故。他人にお願いをするときは、それなりの態度が必要。
■倅解体:これまたやられた。解体ってタイトルからして...やむ無しの事情は分かる。
■たったひとくちで:誘拐犯と料理人と評論家。誘拐にもいろんな動機がある。
■おふくろと歯車:クソ親成敗
■仔猫と天然ガス:老女とプロレス。理不尽の押し付け。あっけない幕切れが逆にすごい。
■定年忌:筒井康隆先生の話っぽい感じ。定年退職者への御礼参り。
■恐怖症召還:これは印象薄い。
■伝書猫:チサとサチって分かりづらい。オカルトチック。
■しょっぱいBBQ:他人の屍体より私のバーベキュー。
■れざれはおそろしい:こんな学校はイヤだ。
■クレイジーハニー:まさかのSFテイスト。消毒って単語でお察し。こんなキューティーハニーはイヤだ。そして誰もいなくなった。
■ダーウィンとべとなむの西瓜:ダーウィン賞に不覚にも笑う。飲み込んだ携帯電話が大腸の刺激でリダイヤルし続ける状況って。
■人間失格:自殺の名所で自殺志願者の若い男女が出会う。まさかの恋愛モノ?と思うと...。これまた秀逸。
■虎の肉球は消音器:自動車工場のプレス機が登場するってところでお察し。一寸先は闇。