あらすじ
網野善彦以後の20年、「日本論」の現在と未来を考える――。気鋭の中世史家が歴史から現代を読み解く新たな方向性を導き出す!
「じつは東西南北に広く、その国土も意外と大きい日本列島では、長い歴史のなかで豊かな地域的・文化的多様性が育まれてきた」ことを、中世史を中心に日本史全体の研究最前線からあらためて提示し、「いくつもの日本」の姿を紹介する。
さらに上記の多様性を踏まえつつ、「南北朝」「応仁の乱」など、分裂と統合を繰り返す中世史の実態から、「多様な社会を統合する」契機を提示し、国家における「分裂と統合」の普遍的な意味を探り、現代を考える手段を提示する
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Posted by ブクログ
日本史において最も分裂した時代とされる中世を主題に、地理的人的側面の多様性についての先行研究を紹介し、それでもなお統合を失わなかった背景を探る一冊。民俗学の知見も合わせ整理された研究史についても分かりやすい内容。
Posted by ブクログ
分裂と統合をキーワードに日本史の論点をわかりやすく整理している。
一世を風靡した網野善彦の、日本の概念への疑問、多様性の強調が国家史重視に転換しているというのは初耳。
しかし、グローバル化、地方の重視、中世的な権力の重層と言っていた風潮がコロナによる国境閉鎖で一気に転換したこととも関係あるのか。
所詮未だに現代は近代国家の枠組みを超えていないことがよくわかる。
分裂や多様化は細分化すると個人まで行ってしまうので、どこに線引するかは難しいところ。大きな違い、多様性はもちろん考えるべきだが、日本は比較すればかなり統一性が強いのではないか。