あらすじ
『神様の御用人』浅葉なつ による新シリーズ『神と王』第二巻!
丈国の建国十年を祝う式典への招待状が斯城国王・琉劔のもとに届いた。
名代として丈国へ赴いたのは、琉劔の若き叔母・飛揚。
記念日に沸く民の様子を目にした彼女は、ふと違和感を抱く。
「世界のはじまり」の謎を追う琉劔は、歴史学者の慈空とともに
畏怖の森「闇戸」へ。そこに暮らす一族・日樹の祖父母から、
杜人に伝わる不思議な物語を聞かせてもらう。
だがそんな時、丈国には恐ろしい災厄が襲い掛かっていた――
危機に陥ったこの小国を支配する女神と、民から忌避される王。
闇戸の一族にのみ伝わる深い知識と伝説は、何を示唆しているのか?
古事記からインスピレーションを得たという壮大な世界観が提示された
第一巻『神と王 亡国の書』に続く、待望の第二巻。
壮大なテーマ「神とはなにか」をリアルに追いつつ、この世界の行方から目が離せない!
ますます熱い神話ファンタジーです。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
神に選ばれなかった謀りの王。
丹内仙女(にないせんにょ)という女神への信仰心が強い丈国では、王は神託で選ばれます。しかし王候補者の二人に神託がおりることはありませんでした。
翌年も神託はおりず、このままでは国が立ち行かなくなると思った牟西(むさい)は神託がおりたことにし王になりました。
しかし、神に選ばれなかったして牟西を王だと認めない民もいて ―― 。
「私にとっては、神に選ばれるかどうかが問題だったのではない」「この国には王が必要だった。それだけのことだ」
牟西は淡々と民のために政を行います。
牟西のことを認めたいと思っていても、神が選ばなかった王を認めることは女神に背くことだと、表立って牟西に味方する者は少ないのです。
神を信じることとはどういうことか。
王とは何か。
このシリーズのテーマが濃密な物語で紡がれます。
牟西と同じく王の候補だった初代王の娘や初代王に心酔していた者たち、彼らにとって神とは ―― 。
闇戸(くらど)に住む杜人(どじん)に助けられた初代王の娘、栄那は細(ささめ)として杜人と共に暮らしていて自分を見つめ直しました。
琉劔(りゅうけん)や慈空たちも丈国を訪れていて、偶然牟西に会います。
その後、流行り病が広がって大変なことになるのですが、細や牟西や彼らの活躍にページを捲る手が止まりませんでした。
まだシリーズ2巻目ですが、もっと巻数を読んでいるような気がします。
とても面白かったです。
世界観がしっかりしたファンタジー好みの方、おすすめです。
Posted by ブクログ
科学が発展する以前は、病気や災害、その他人の力ではどうすることもできないものは神の仕業だと片付けられていたと思うのですが…
そうすることで人は立ち直って先に進むことができる反面、自分の力でどうにかしようとすることを諦めてしまう、そんな一面もあったと思います。
そこに立ち向かおうとする2人の王。
闇戸の謎も明らかになり一巻よりも世界観がよく分かるようになりました。
スメラの謎は相変わらずですが。笑
きっと巻を重ねるごとに明らかになるはず。
慈空がたくましくなってたのが個人的には嬉しかったです(^^)
Posted by ブクログ
前巻よりさらに好みだー!
3章の飛べない杜人の細さんの人生が特に良かった…
杜人は野蛮であるという固定観念の中、杜人に命を救われる
けれど差別的な価値観で彼らのことを見てしまう
助けてくれたこと、家をくれたこと、食べ物をくれたこと
それらをしてくれたにも関わらず彼女は何もしない
そんな中彼女は杜人の子に言われる『なんで礼を言わないのだ』と
そこからの彼女の変化が好ましい
自分から知恵を乞い、嫌われようがめげずに挨拶をし、生きる術を学んでいく
そうしていつしか、少しづつ少しづつ彼女は受け入れられていく
友として、仲間として
ずっと抱き続けた価値観はそうそう変わるものではなく変えることも難しいことだろう
それでもまずは知っていくこと
知った上で嫌うか、それとも受け入れるかはその人の自由だ
躓きながら 嫌悪しながら それでも最終的には大切だと思える場所までのし上がった彼女は凄いと思う
3章は、個人的には凄く人として道徳としての学びになったなって思うのだ
今作の大きな題としては、神と人間のどちらを優先するか…だろうか
盲目的に神を信じる国と、神に選ばれることのなかった王
王は神の采配で選ばれる
しかし私からしたらただの『運』だ
神を自称し全ての事柄を運で決めているように感じる
でも盲目的な信仰であれば、全てを神の采配と決めつけてしまうのも分かる
それが生まれた時からの決まりだから、そして当たり前のことだから
それしか知らないって、ある意味恐ろしいなと思う
神ではなく天皇として置き換えたらより分かりやすい
天皇の言葉は絶対という時代なら、天皇の言葉に反することをしたら周囲からの批判は凄そうだ…
でも実際のところは皆分かってるのだろう
何が正しいか、何が間違っているのか
そういった部分でも多くを考えさせられる物語だったなと思う
神信じる国に抗い国を導こうとする賢王に救われた民は多いことだろう
賢王に導かれた国がどうなったか、また読むことができたら良いなと思う
Posted by ブクログ
古事記を参考にした世界観で、神と王を語る物語ですが、今回ほどその本質を描いている作品はないかと。
人を救うのは人であり、神ではない。神にすべてを押し付けてられたら、楽だろうなと思っていた時期もありましたので、私にこれからも分からないことなのかもしれません。(日本人としての宗教感覚は持っていますが、それを優先にすることはないです)
祈ることは尊いことなのかもしれないですが、祈っただけでは願いが叶うわけでもないしなぁと思ったりもしました。
今後の続きも楽しみです。
Posted by ブクログ
1巻から連続して読んだがなかなか良かった。
全体的に、キャラクターの背景や性格が明瞭になったことも大きいだろう。なにより牟西が良い。助けてくれるか分からぬ神に縋るよりも自らの手で立ち上がり生きていく、自分たちの生き様、人生には自分たちで責任を取る、それが一貫して力強く示されているように思う。
しかし肝心な、物語りの中核を成す謎についてはほんのわずかに前進したようだが、まだ謎は謎のままである。いやこれは一体なんなのか?
次巻も楽しみである。
Posted by ブクログ
読み終わるまで随分とかかってしまったけど、なんとなーく毎回どんな世界設定か書いてくれているおかげで読みやすかった。
まだまだ続くような終わり方で何巻行くのか楽しみ。あと確定2巻はありそうな感じ。新刊が楽しみですね。
終わりがけは伏線がたっぷりで、どう回収されるのかな〜
信仰について、何でも神に縋っていたら考えない人間になるってあった(そこまで否定的には書かれていない)が、それについては未知への恐怖、無力感に対しての防衛だよなぁと思ったり。もっと上手くまとめたいが、言葉にできないのでまた改めて。
Posted by ブクログ
丈国の牟西王の神を頼らない王の治世の実現の物語に、スメラを探す琉劒、日樹、慈空たちが出会い助ける。杜人の社会が興味深く三実の深い知識や思いやりに心惹かれた。
Posted by ブクログ
ある小国から招待状が届き、琉劔の叔母が赴くが民の様子に違和感を覚えた。女神の神託によって重要な決定がされるその国には、不吉な噂があり…
女神の神託が全ての国で病が蔓延し、誰もが女神の神託にすがっていた。そこから逃げ出してきた「細」は、蛮族が暮らす土地へ流れ着いた。そこで人や神に感謝する事を学び、次第に薬師としての知識を覚えて行く。
無意識に下位に見ていた闇戸の子供に言われた「感謝の言葉」がかなり応えました。そこから変わった細が後に祖国を救おうと立ち向かう姿に成長を感じました。
次はどんな出会いがあるのか、楽しみです。