あらすじ
愛する者よ、無垢なる日々よ――。生と死のあわいを漂いながら、失われて二度とかえらぬものへの、あふれる惜別の想いを、ノスタルジックにうたい続けた、夭折の天才詩人、中也。哀切で甘美なことばが、胸をうつ調べとなって響きあい、はかない余韻が心に沁みる2冊の詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』に、詩集として編まれなかった作品も併せた140篇の詩篇を収録。(解説・吉田凞生)
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Posted by ブクログ
僕は此の世の果てにゐた。陽は温暖に降り注ぎ、風は花々揺つてゐた。(ゆきてかへらぬ)
地球が二つに割れヽばいい、
そして片方は洋行すればいい、
すれば私はもう片方に腰掛けて
青空をばかり――(この小児)
人間の綺麗な部分も汚い部分も、哀しい部分も、全部を見せてくれる詩人だと思う。
子どもを亡くした悲しみも、恋人への愛も、中也は言の葉に乗せて表現するのだ。
彼の紡ぐ言葉はきっと、たくさんの人への抱擁なのだと。そんな気がするのは私だけではないのではないかと思われる、そんな作品集。
Posted by ブクログ
良かった。とても良かった。
詩集をちゃんと読むのは、2冊目。一冊目が谷川俊太郎だったのでまず、比較してみると。。
谷川俊太郎の詩をことばでたとえると、芸術的なパズル、とか少年の冒険とか、そんな感じなんだけど、
中原中也の詩は、幼い頃への憧憬とか街はずれの叙情とか、そんな感じかな。
正直、最初は旧仮名遣いのせいもあってかなかなか入り込めなかったんだけど、だんだんとその調子とか息遣いが見えるような気がしてきました。世界の認識の仕方が
Posted by ブクログ
読んでる感じは確かにあるんだけど、確かに迫ってくるものはあるんだけど、実質的なものを伴わない、浮遊する感覚がが故に、それを得ようと繰り返し繰り返し読みかえす。なかなか読みすすまない(笑)とりあえず頭じゃなく感じることだけを頼りに読み終わる。で年譜、吉田ヒロオさんの解説を読むと「名辞以前」という中也の詩に脈々と流れる考え方が紹介されており納得。言葉という形をなす前の心象を描くことで心へ直線に語りかけてくるんだから言葉を追って理解しようとしても無理なはずである。
‥そのインパクトとしてある彼岸と此岸を往き来する浮遊感は時にモノクロであり時に色彩ゆたかな天然色だったりする。とても感覚的で、どの詩が良かったか言えるほど読み込めていないけれど、ずっとカバンに忍ばせて何時でも読めるようにしておきたいと思える本でした。