あらすじ
「2023年、この戦争は転換点を迎える。そして、ウクライナの勇気と米国の決意が、我われが共有する自由の未来を保障することになるだろう――」
2022年12月21日、ウクライナのゼレンスキー大統領は戦火の最前線から米国まで飛
び、連邦議会の上下両院合同会議でスピーチを行った。オリーブグリーンのスウェットに
身を包んだ雄姿はスタンディング・オベーションで迎えられた……。
欧米各国は2023年に入ってウクライナへの武器支援を加速させている。
英国はNATO製120mm砲弾を搭載した重量級戦車『チャレンジャー2』を、米国も第3.5世代の「戦車の王様」と呼ばれる最新主力戦車『M1エイブラムス』を、そして、ロシアにエネルギーを依存しこれまで支援をためらっていたドイツも、主力戦車『レオパルト2』のウクライナ投入を容認することを決めた。
大ロシア主義を標榜する独裁者の侵略戦争は、長期化することで世界のパワーバランスに大きな歪みをもたらしたが、ここにきてウクライナ軍の装備は大幅にグレードアップし、ロシア包囲網が一気に構築されたことで、プーチンによる核の暴発リスクも一段と高まったと言っていいだろう。
この戦争は一体いつまで続くのか? そして、安全保障環境が激変しつつある日本はこの非情な現実とどう対峙すべきなのか……?
2023年の年明けから始まった通常国会では、防衛力の強化とそれに伴う財源の確保、そして、「反撃能力」の保持についても議論が交わされる見通しだ。
ロシア、中国、北朝鮮という「核」を保有する独裁国家に囲まれた日本は、いざというとき戦う覚悟はあるのか?
1990年代後半、90万部突破のベストセラー『ゴーマニズム宣言SPACIAL 戦争論』で大きな社会現象を巻き起こした漫画家・小林よしのりが、四半世紀のときを越えて再び突きつける戦争の“真実”とは?
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Posted by ブクログ
前作に引き続き、購入しました。前作同様、どっちもどっち論に与せず、どこから見てもロシアが圧倒的に悪いと主張しています。ロシアは現在も、学校、病院、原発など、インフラをミサイル攻撃し、市民を虐殺し、子供を拉致し、市民の財産を強奪しています。理解できないのは、そのロシアを擁護する日本の政治家、知識人がいることです。本書では、平和ボケ日本人を五つに分類しています。親ロ派、反米主義者、平和主義の人々、陰謀論者、操作論的な人です。面白い分析だと思いました。また、NATO加盟を決定したフィンランドについて記述がありました。主要な建物では全て地下シェルターの設置が義務づけられていて、全人口の八割、440万を収容できるとのことです。フィンランドの歴史も丁寧に描かれており、日本の防衛に参考になると感じました。その一方で、共感できない記述もありました。筆者は、武力によらない、外国勢力の権力中枢への浸透を、ステルス侵略と呼び、それをしているのが統一協会だと言っています。これについては、自民党も反省すべきですが、看過できないのは、『山上容疑者の犯行は、私憤による復讐である』『もしも山上容疑者が私憤ではなく、安倍と統一協会の関係を暴き、自民党を恐怖に陥れてやろうという目的のもと、確信をもってテロとして犯行に及んでいたら、同情できるテロであり、反日カルトに侵略を受けていた日本を救った国士だと評価できただろう』と言ってることです。本書に収録されているテロ研究については、理解できます。しかし、安倍さんに、テロ攻撃を受けても仕方ないほど、国家の進路を誤る失政があったのか。私はそう思いません。協会幹部を狙うなら、まだ同情できますが、安倍さんは協会の会員ではありません。選挙の票を差配していたからと言って、殺害してよい理由にはなりません。山上容疑者がやったのは、復讐でもテロでもなく、ただの人殺しです。筆者が統一協会に恨みをもつ理由は理解できますが、だからといって、安倍さんが殺害されたのは安倍さんにも非があるみたいな描き方はしないで欲しかったです。それでも、ロシアの侵略戦争は完全に悪であるという一貫した主張は支持します。ウクライナ情勢に関心がある人におすすめです。