あらすじ
帝国主義の時代に“逆回転”する世界――。
日本は戦争の当事国となる覚悟はあるのか?
ロシアによる侵略行為によって始まったウクライナ戦争は、すでに両国あわせて10万人を超える死者を出したという報道も出ている。
開戦当初こそ軍事大国・ロシアが圧倒的優位と見られていたが、戦況は一進一退の膠着状態が続いており停戦への道筋は一向に見えない。
9月の終わりには、ロシアのプーチン大統領が30万人規模の兵士を戦線に追加投入するため部分的動員礼を発令。銃を携えたロシア軍兵士の監視のもと行われた住民投票を根拠に、ウクライナ東部と南部4州のロシア編入を一方的に宣言するなど、ここにきてなりふり構わず戦争を継続させる姿勢を見せている。
なぜ、プーチンは苛烈な経済制裁を受け、国際社会から孤立してまで、侵略戦争という暴挙に出たのか?
その答えは、ロシアとウクライナのナショナリズムの歴史に深くかかわっている。この先、プーチンが「ロシア劣勢」と判断したら、そのとき世界は核のリスクと真剣に向き合うことになるはずだ。そして、ウクライナがロシアに屈したら、次は強権国家・中国によって台湾が主戦場になるだろう。そうなれば、日本は戦争の当事国にならざるを得ない。いま、世界は大きな歴史の転換点に立たされており、日本人は覚悟を求められているのだ。
1990年代終わりに、国論を二分する大論争を巻き起こした90万部突破のベストセラー『戦争論』から25年――。「国家」とは何か? 「正義」とは何か? 漫画家・小林よしのりが「お花畑国家」・日本に再び警告する。
序 章 終わりなき日常は来ない
第1章 ウクライナ戦争と生命至上主義
第2章 ロシアの悪を知らんのか? その1
第3章 ロシアの悪を知らんのか? その2
第4章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史1
第5章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史2
第6章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史3
第7章 戦時国際法を破壊するプーチン
第8章 国際法無視は人類に対する攻撃
第9章 免疫の軍事訓練は国防と同じ
第10章 レイプ軍の伝統 その1
第11章 レイプ軍の伝統 その2
第12章 W徹の妄言
第13章 ドンバス・ロシア支配のカオス
最終章 占守島の戦い
『ゴーマニズム宣言SPECIAL ウクライナ戦争論』目次より
感情タグBEST3
待ちに待ったウクライナ論
出してくれないかなと思ってたらちゃと書いてくれた。小林よしのりの解説は過去の歴史から国際情勢まで説明してくれるので分かりやすくていい。
Posted by ブクログ
小林よしのりが、ロシアのウクライナ侵略について、どう描くのか、興味があり、購入しました。印象に残ったのは、ロシア軍のウクライナでのさまざまな戦争犯罪と、ソ連軍の樺太や千島列島での戦争犯罪についてのところです。知識として知っている部分もありましたが、絵で見せられると、より強烈に伝わってきます。今のウクライナ情勢を見て、77年前は日本も同じ目に合わされたことを、今の日本人には、記憶として残っていないのか、と情けなく思いました。そして、知らなかったことは、占守島の戦いです。この戦いで、旧日本軍が命がけで戦ったおかげで、北海道をソ連に占領されずにすんだことは知りませんでした。母親が、何回か、昔は北海道がソ連に占領されるところだったんだよと言う事がありましたが、このことだったんだと伝聞と知識が繋がりました。筆者は、同盟国のアメリカにもかなり厳しい批判をしていたので、今回のことはアメリカにも責任があると、批判を展開するのかなと思っていましたが、それはなく、概ね筆者の主張には賛同しました。筆者の言うように、日本人、特に大人は、ソ連軍の日本での残虐非道な振る舞いと、旧日本軍の占守島の戦いで見せた勇敢な戦いの記憶を喪失することなく、未来永劫語りついでいかなければならないと強く思いました。ウクライナ情勢について関心がある人におすすめです。
Posted by ブクログ
2022年から始まったロシアの侵攻、はっきりNOだが、本書は背景や理由を整理し明確にしてくれた。
ロシアは「国際法を無視しすぎている。軍事目標以外への攻撃、必要性を超える以上の破壊や殺戮」
力の支配を許していれば、力の支配→核保有国の優位になる。仮にロシアの行為を見過ごし、国際法が無力になったら、次は中国が台湾に侵攻するだろうし、次々と領土を広くすることが予想される。
国際法が効力を持つかは、軍事力が弱い日本にとって死活問題。それをロシアは崩そうとしている。他の国と連携して、侵攻を止めさせる大切さを再認識。気候変動や環境問題で取り組むべき地球規模の問題は沢山あるのに、何面倒起こしてくれてんだよ感。
Posted by ブクログ
ロシアによるウクライナ侵攻2022年2月から8月までの様子のゴー宣
ウクライナ戦争のことを描きながら、
日本の防衛や価値相対主義の批判も
占守島の話は国民全員が知るべきと思わせられる
Posted by ブクログ
国家は戦争から逃れられない。自衛と、仲間作りが必要。国連は即効性を持たない解決策。
ロシアが日ソ中立条約を一方的に破ったことを忘れてはいけない。
明確な侵略であり、ここは善悪二元論で対応していい。
Posted by ブクログ
「侵略されるとはどういうことか」「国を守るとはどういうことか」について、現在のウクライナ侵攻に合わせて書かれた本です。
強い主張および攻撃性と独特の絵柄は確かに読む人を選ぶのですが、国防という点において色々な情報や示唆を与え、リアルな戦争を知る上で読むべき一冊であると思います。
Posted by ブクログ
これを書いている時点でロシアによるウクライナ侵略から半年とちょっとが経過している。
開戦当初ははロシアが数日で首都キーウを陥落させるだろうと言われていたのに、ウクライナ軍の大健闘によって、今では完全にロシア劣勢、侵略された地域の奪還が進んでいるというニュースが毎日流れている状況だ。
いい意味で大方の戦局予測が外れた理由は色々あるんだろうけど、やっぱり一番大きいのはウクライナの予想以上の士気の高さだと思う。
士気の高さはもちろんナショナリズムに由来しているのだけど、本書ではウクライナでそのナショナリズムが芽生えた経緯、根底にあった数百年にわたるロシアとの対峙の歴史が詳しく描かれており、やっぱり国家を守るためには歴史を知ることが大事なんだということがよく分かった。
またロシアという国家およびロシア軍についての分析もよくできており、彼らの非道さ・残虐さに怒りを覚える読者も多いだろう。
製作者が勉強不足なのか圧力を恐れて深入りしないスタンスなのかよく分からないけど、こういうことをテレビのニュースではやらないんだよね。そういった明日は我が身という意識が全くない日本人に対して痛烈な批判を行っているのも印象深い。
核も十分な戦力も持たない日本が国際社会の中で生き抜くためには、国際法の遵守を基盤とした世界秩序を守り抜くことが必要であるという著者の指摘は非常に重要であると思う。
国際法を踏みにじることを厭わず、帝国主義時代のような弱肉強食の論理を振りかざすロシアは国際社会から排除されて然るべきであろう。
それにしても今回の戦争?はロシアのデタラメっぷりが際立っており、分かりやすい善悪二元論の形に落とし込めるので、ゴー宣の風刺が最大限に生きた作品になっているように思う。
後半の特別鼎談に関しては深い内容が語られていて勉強になったけど、漫画部分の連続性が損なわれるような感じがしたのでここは唯一のマイナスポイントかな。「別冊」とか「副読本」のような形で本編とは別の書籍として出したほうが良かったように思う。
ところで本作、海外展開はしないのだろうか。
日本人にしか分からない章(W徹の章とか)を除いた形で出版すれば、日本以上に危機が迫っている台湾やヨーロッパでは売れると思うんだけどな。