あらすじ
殺人犯が少年だとわかるたびに,報道と世間は実名・匿名,社会・個人の責任,加害・被害の間で揺れ,「少年」像は戦後から現在まで大きくシフトした.白昼テロ犯・山口二矢から,永山則夫,サカキバラへ,そして「少年」が消えた現在までをたどり,成人年齢引き下げの中,大人と少年の境の揺らぎが示す社会のひずみを見つめる.
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Posted by ブクログ
大学生の時、『兵士たちの連合赤軍』という本を読んだ。浅間山荘に立て篭もった植垣康博氏の書いた本。リンチの詳細も書かれていて、イラストも鮮烈だった。今はもうあんな残酷な描写は読めないと思う。体力があったんだと思う。後は、共感能力が不足してたのかも。
この少年事件史も、それほど強烈な描写はされてないのに、今回は読むのがしんどかった。
しかし、不思議なことに、時系列に書かれている事件を追うごとに、しんどさが減ってくる。
少年事件についてのマスコミの報道の仕方が年々変化しているというのがこの本の趣旨だが、それが関係しているんだろうか。
かつては少年事件は加害者の親の立場から報道されていて、それが匿名報道の現れだったが、被害者遺族への配慮や「自己責任」の波の中で流れが変わった。
神戸の(少年A)事件より前は、『政治テロリストでも、ツッパリでも「反社会」型だった。だが、それ以後は、いきなり事件を起こす「非社会」型の少年だ。歳月を経て「少年」像は、大きく変わった。」
山口二矢のドキュメンタリーは面白く読んだし、小松川事件もしんどいけれど興味が湧く。永山則夫の本も何冊か持っている。
でも光市の事件や神戸の事件はできれば避けて通りたい。
理由はなかなか説明できないけれど、この本にヒントがあるのかもしれないと思った。