【感想・ネタバレ】カタニア先生は、キモい生きものに夢中!のレビュー

あらすじ

鋭い感覚の鼻をもつホシバナモグラから獲物を麻痺させるデンキウナギまで、生きものたちはユニークで並外れた能力をもっている。本書でカタニア先生は自然界で最も注目すべき「キモい」生きものを面白おかしく、そして魅力的に描く。触手のあるヘビ、小さなトガリネズミ、ゾンビをつくる“宝石バチ”などの行動の背後にある謎に光を当てる。これらの動物を研究することで、生命がどのように進化してきたかについて、深い洞察が得られるだけでなく、科学的発見がいかにワクワクして冒険と楽しみに満ちたものかを本書で示している。中学生・高校生から一般まで「研究すること」に興味のある人はぜひ読んでほしい。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ面白かった!
マッカーサーフェロー受賞している神経科学者で、ホシバナモグラの研究者。内容がわかりやすく、写真、図などが効果的、ところどころにQRコードで動画などにアクセスできる。特に序盤のホシバナモグラの星と脳マップの章はめちゃめちゃ面白い。ホシバナモグラ、ヒゲミズヘビ、ワームグランティング、トウブモグラ、トガリネズミ、ミズベトガリネズミ、デンキウナギ、エメラルドゴキブリバチ。

ただ、ものすごく難がある
面白かったが、邦題が酷い。
とても損をしていると感じる。

"Great Adaptations"
Star-nosed Moles, Electric Eels, and Other tails of Evolutions Mysteries Solved
by Kenneth Catania 2020

Great Adaptationsがなんでそうなるんよ?なんか、素晴らしく面白い本なのに、ガッカリ感ただようわ(主観)。
この邦題だと、今流行の読むところ少ない、面白図鑑的な(先日読んだ”毛”ぇのやつ的な)雰囲気。アレを期待した小学生が手にとって、かなり読むのにてこずるのではないかと思う。そして、自然科学に苦手意識を持たれたりすると、ほんと悲しい(どこまでも妄想が進む)。
そういえば、、私が小学生低学年の頃、『猫と魚の出会い』という文庫本を買って、ものすんごく読むのにてこずった(なんなら当時半分ぐらい理解できてなかった)のを思い出した。食生態の研究書だった。その文庫本、実家に置いてあるんだが、猫と魚のとっても可愛い装丁。今、南米河で検索したら、29980円だった!!さんまんえん!なにそれ怖い。

0
2022年10月16日

Posted by ブクログ

朝起きて、顔からイソギンチャクのようにうねうねした触手が生えていたらどうしよう。

本書に登場する「キモい生きもの」と呼ばれるホシバナモグラはそんな顔だ。確かにキモい。しかし「キモいと感じる生物がいる」という事実は、この世界が人間に都合よく、人間だけのために存在するものではない事の証明にもなるかも知れない。

とにかく、キモい触手じゃなくて良かった。私の目鼻は、ヒトという種においては大差のない目鼻だ。我々はその形で生まれ、続いてきた。片方は土の中での世界を把握するために、片方の我々は、開かれた空間を視界で把握するために。更に、匂いを嗅ぎ、空気の振動を感じ、手触りで相手を理解する事もできる。

キモくない、与えられた贅沢な身体機能。

キモいかキモくないかは、生存と繁栄に関わる。個体と種のレベルによっても異なり、残酷なことだが、個体間では同じ種でも生殖を拒むようなキモいという感覚を持ち合わせておかねばならない。不衛生でだらしない見た目をそうして拒絶することで、自他にケアできる個体を優先的に選ぶ。キモさは、また、触手や目で感じ取った一次面接としての「安全性」の後の「二次面接」の基準である。

敵でなければ、餌かも知れない。仲間になれるかも。もしかしたら、生殖相手かも。
(日本の女が戦争で日本の男に守ってもらわないほうが、敵のもっと「いい男」と出会えるかも by 上野先生の迷言)

微弱な電場でそれを探る生きものもいる。エコーロケーションのような音波の跳ね返りで知覚する生きものもいる。典型的なヒトの手にある触覚神経繊維の数はおよそ17000本だが、ホシバナモグラの星には、ヒトの爪ひとつくらいの面積に、その6倍の数が密集している。ホシバナモグラは地球上でもっとも高感度かつ高解像度な触覚系をもつ動物かも知れない。

この世界を、自分なりに知覚する。
「自分なり」とは人間に与えられた身体機能の常識の範囲内。キモさと魅力を評価するスペクトラムの中で、恋をして、掛け合わせ、多様性を演じていく。

0
2025年10月04日

「学術・語学」ランキング