あらすじ
「この国の岐路を、異国に委ねちゃあならねぇ」――黒船来航によって鎖国から開国へと急展開した幕末。江戸に呼び戻された若者・田辺太一は、幕府が新設した外国局での書物方出役を命ぜられるが、前例のないお役目に四苦八苦。攘夷を叫ぶ世間からは非難され、上役の水野忠徳は気難しい。朝廷が反対する日米修好通商条約を勅許を待たず締結したため、おさまりを知らぬ攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力という、かつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。そんな中、鼻っ柱の強い太一は、強腰の異人たちと渡り合ってゆく――。史実を背景に日本外交の幕開けを描く長編。
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Posted by ブクログ
外国局で働くことになった田辺太一の入局から、幕府解体までの話。
歴史に疎かったが比較的読みやすかった。
※ただし、歴史を知っている方が楽しめると感じた
印象に残ったことは3点
・仕事は言われたことをこなすだけではない。やりようによっては自分のために利用することもできる
→意思に反した仕事をしに渡仏するシーン。自力だけでは絶対に手にできない機会を、意思を貫いて逃すのではなく、自分の糧とするための手段として利用していく。
・どんな仕事も一生懸命やれば、後々生きる
→勘定や小笠原への渡航など、納得いかなかったものも、一生懸命こなすことで経験となり、後々役に立つ。失敗も然り。
・信念を貫き通すことの難しさと重要性
→仕事をしていると、自分の意見が通るとも限らず、信念は次第に忘れ去られていくものだ。その中で、最後まで貫き通す太一に対して尊敬の念を抱いた。また、信念を貫き通したが故に掴んだチャンス(想定問答の仕事や小笠原・パリへの渡航)や、後悔の少ない(やりきったと思う)人生を送った姿を見ると、その重要性を感じざるを得ない。