【感想・ネタバレ】脚本力のレビュー

あらすじ

ドラマ史に残る名作『前略おふくろ様』『北の国から』から、老人のリアルを描く新たな挑戦で大ヒットとなった『やすらぎの郷』まで、倉本聰はなぜ60年にわたり、第一線で書き続けられるのか。「構成はおもてなし精神で」「台詞は論理的であってはいけない」「ピカッと光る『へそ』を必ず入れる」「物書きに必要なのは発信力より受信力」――未発表新作『火曜日のオペラ』の企画書から完成台本までの創作過程とともに、名作を生む「手の内」をすべて明かす。87歳の今なお毎日原稿用紙に向かう巨匠の、創造力の源泉に迫る一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『北の国から』などで知られる名脚本家、倉本聰のシナリオ執筆のプロセスがプロットから完成稿まで記されている。

自分も脚本を書いており、書くたびにシナリオ制作の一連の流れに躓くことが多いので勉強になった。
キャラクターのバックグラウンドを住んでる町や、そこでの生活まで考えるというやり方は岸川真の『だれでも書けるシナリオ教室』にも載っていた。
だがこのプロセスを自分は面倒臭くて飛ばしていたのだが、やはりここまでやらないと生きたキャラクターを生み出すのは難しいな、と改めて感じた。

ただ完成稿のドラマは今の感覚だとちょっとどうなんだろう、という面もある。
例えば美麗な女性に対して昔使っていたであろう”マドンナ”という言葉。これはさすがに今はもうほとんど死語で、この言葉から想像するのはアーティストのマドンナくらいだろう。
それに男女の台詞や恋愛の価値観がもう埃が被ってると言っていいくらいに古臭い。そういう部分にはちょっとこの感覚は、と思ってしまう。
ただシナリオのメインのストーリーライン自体はさすがプロのシナリオライターだ。コロナ禍を意識した、はったりを効かせた物語は87歳とは思えない時代感覚だ。

60年以上もシナリオを書き続けてきただけあって、創作に対する独自の考え方、哲学も興味深かった。
普遍的でありながらも新鮮で、創作をしている自分には学ぶことが多い一冊だった。

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2022年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

倉本聰の創作思想や哲学を新作の創作過程をとおして、碓井が聞き手となり明らかにしていく。本書のための新作「火曜日のオペラ」の企画書、全7話のあらすじ、第一話のシナリオが読める。また、随所に過去作品の創作エピソードもあり倉本聰ファンなら楽しめる一冊。

以下、ネタバレ。お気に入りの箇所。

「相手が女優だったら、ほとんど僕、恋愛感情で書いてますよ」「ただ、彼女たちを愛するんだけども、長所が見えただけじゃ、その人を理解したってことにはならないんですよ。欠点が見えないと面白くない。役者って、欠点をきちんと書いてやれば、必ずそれが個性になって出てくる」

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2024年06月08日

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