あらすじ
編集者・高橋は苛立っていた。一流出版社で文芸書を作るはずだった自分が、今夜もスタジオで水着の女の子を眺めながら青年コミック誌のグラビア撮影を仕切っている。俺はこんな場所にいるはずじゃないんだ……。彼は密かに、挫折した夢を取り戻そうと決意する。夜のスタジオを舞台に、グラビア撮影現場のスタッフたちは自分の居場所を見出そうとしてあがく。彼らの思惑と葛藤を描き出す連作短編集。
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Posted by ブクログ
『私のこと、好きだった?』以上にあっという間に読んでしまった。私にとって、ホントに文章が読みやすいだよね。
この作品は、解説で瀧井朝世氏が書いているように「夢が叶わなくても、人は不幸になるとは限らないのだ。それを教えてくれる本書は、今の時代に必要な“仕事小説”でもある」にハゲドー(=激しく同意)
Posted by ブクログ
雑誌のグラビア撮影現場という同じ場面を、
編集者
スタイリスト
ヘアメイク
カメラマン
芸能マネージャー
グラビアアイドル
と、各視点から描かれている連作集。
つまり、
全て同じ状況という短編集です。
でも読み応えあり。
Posted by ブクログ
グラビアアイドルの世界を舞台にした連作短編集。
それぞれで視点人物(主人公)が変わっていく。編集者、マネージャー、グラビアアイドルなどなど。
前の短編の視点人物を次の視点人物が否定したりするのに読んでるといちいち振り回された。そのあたり、林真理子の真骨頂、という印象。
まあ単に自分の未熟さゆえ振り回されてる面も否めないけど。
ライター瀧井朝世さんによる解説もまた秀逸。(「夢をかなえるよりささやかな幸せ、という現代的価値観に基づいた仕事小説だ」って内容)
Posted by ブクログ
◆あらすじ◆
編集者・高橋は苛立っていた。
一流出版社で文芸書を作るはずだった自分が、今夜もスタジオで水着の女の子を眺めながら青年コミック誌のグラビア撮影を仕切っている。
俺はこんな場所にいるはずじゃないんだ・・・・・・。
彼は密かに、挫折した夢を取り戻そうと決意する。
夜のスタジオを舞台に、グラビア撮影現場のスタッフたちは自分の居場所を見出そうとしてあがく。
彼らの思惑と葛藤を描き出す連作短編集。
Posted by ブクログ
タイトルから受けた印象よりも、かなり落ち着いた仕事小説という印象を受けました。
グラビアの夜に携わる人達それぞれの視点からお話が進んでいくのですが、ただそれだけという感じであまり物語が進行して結末を迎えたという感じがしない。
Posted by ブクログ
買ったはいいものの長いこと部屋の中に埋もれていた小説。
表紙の華やかさと対照的に、非常にフラットなトーンで書かれた小説。
決して一流とはいえない水着グラビアの現場で働く、
編集者、スタイリスト、カメラマン、マネージャー、グラビアアイドル。
それぞれがそれぞれの思惑を持って、仕事をこなす様子がモノローグの形をとって一章ごとに語られていく。
中でも異彩をはなつキャラクターがタイトル『グラビアの夜』を冠した短編の主人公である、新人編集者の高橋である。
彼だけが、この短編集の中で満足していない。
自分が今いる場所は自分に相応しくないと思い、野心を捨てられないまま投げやりな仕事をしている。
他の登場人物たちはみな、「一流ではないにしろ、自分らしい仕事のやり方があり、やりがいがある」と、自分の人生と折り合いをつけているのに、この高橋の青臭さは非常にカンに触る。
大体がして、「就職試験に挫折した時に人生で初めて嫉妬で胸を痛め、戸惑った」というキャラクター設定からして、そうなるよう仕向けられている。
高橋は自分がさまざまなものを得て当然だと思っている。
その若さと思い上がりは暴力的であり、凶悪だと思う。
さてその高橋くんの物語が最初に読者の胸を刺し、身の程を知るキャラクターたちに安堵した読者の眼前に、最後にまた突きつけられる。
ここの展開が、どう表現しようか、陳腐という以外の言葉が見つからない。
こういうことがしたかったなら高橋くんの描写にもっと時間をかけるべきだった。
物語の都合のためにこんなことになったんじゃあさすがの高橋くんでも可哀相だ。
最後に。
ここまで林真理子を何作か読んで、これはあくまでも個人的な意見なのだけれど、林真理子は女というものを憎んでいるんじゃないだろうか。
それくらい彼女による女の描写には容赦がない。
彼女の描く女の若さや美しさというものには常にはかなさと虚飾のイメージがつきまとい、むしろその先にある破滅をこそ思わせる。
ここまで徹底的に余韻を排除してしまうなら、もう「小説」である必要性がないんじゃないのか。
現実の女の肌の質感や醜さなんて、外に出ればいくらだって見れるんだから。
と、思ってしまいます。
合わないんだろうなあ。
Posted by ブクログ
十何年前、林真理子や山田詠美や村上龍や村上春樹や吉本ばななが、
私の中で流行作家的扱いされていた頃、
林真理子と村上龍は、仲が悪かった。
私の思い込みだか事実だったかわからないけど。
私は村上龍派。
林真理子は、なんだかやっぱり、
いつもおもしろそうに見えて全然おもしろくない。
どんな本が今読みたいのかよくわからなくて、
でも活字を読みたい、焦りに近い感じの中で、
とりあえず読めたので、存在として☆3つ。
こんな風に役立つこともある。