あらすじ
『ルドルフとイッパイアッテナ』シリーズでおなじみ斉藤洋が贈る、「翔の四季」シリーズの第二作。少年・翔の四季を通して描かれる目に見えるものと目に見えないもの、見えるものと聞こえるものの交差点。
翔の家の近くで、明け方に火事が起こった。しかしそれは、犯人がつかまらないまま不審火として処理されてしまう。
同じ時期に、同級生が学校に持ってきていたレアカードがなくなる事件が起こる。その犯人は意外な人で……。
翔は、「目に見えるものだけが真実とはかぎらない」ことを知り、明け方の火事に思いをめぐらせる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「翔の四季」シリーズ 秋
もの思う少年・翔をとりまく1年間〜夏を読んでから少し間が空いてしまったが、読みだしてから翔の家族や涼のことを思いだした。
今回は、翔がスポーツカーを見たあとで、その音が何十秒かずれて聞こえることに気がつく。
近所で起きた不審火は、カラスが線香を咥えて飛んでいたことに関係するのか…
学校内での同級生が持ってきたレアカードの盗難事件は、友だちの涼が犯人を見つけるが…
前作は、「見えていないこと」にきづいた翔だったが、今回は「きこえていないこと」に思いがむく。
小学生にしては、涼の考え方が大人で盗難犯を公にすることもなくおさめたことは、正しいこととは何かを考えさせられたように思う。
少し納得いかなかったのでは…と思う翔も父親の話を聞いて分かったのだろう。
Posted by ブクログ
小学生にしてはちょっと冷静すぎる翔。友だちの涼も大人っぽく冷静。
二人の日常にちょっとした事件が起こり、二人で解決していく。
翔には最近、時間差で音や声が聞こえる現象が起こるが、このことが事件解決のきっかけにもなるの。
視覚と聴覚の時間差、人には聞こえないことが聞こえるということか。
事件解決後に翔の父親が動物園で語った言葉が印象に残った。
「正義っていうのは、守るものがあってこそで、何を守るかによって、正義はかわってくる。」
同じ事象でも見る側によって全く反対になってしまうこともある。
何が正義かなんて軽々しく言えないと改めて考えさせられた。
こういうことを子どもに語れる大人って大事だ。
翔のこれからの成長をずっとみてみたい。