【感想・ネタバレ】魔王の島のレビュー

あらすじ

――彼女のはなしは信じるな。

2019年度コニャック・ミステリ大賞受賞、
幾重もの罠を張り巡らせた真のサイコ・ミステリー。

祖母の訃報を受け、彼女は孤島に渡った。終戦直後に祖母とここで働き始めた者たちだけが住む島。本土への船が来る日までを島で過ごす彼女は、やがてこの島に漂う不吉な影に気づきはじめる。ここには何か忌まわしい過去がある。そして若き日の祖母の手記にも謎の「魔王」の影が……。

島で行われていたというナチスの実験。
この島に逗留し、やがて海で死んだ子供たち。
何かを封じた開かずの扉。
すべての核心となる「サンドリーヌの避難所」事件。

積み重なる謎。高まりゆく不安と恐怖。

誰かが誰かを欺こうとしている。
誰が誰を欺こうとしているのか?
いったい何が真実なのか?

読めば読むほど深まる謎また謎。曲折しながら突進する行先不明のストーリー。反則スレスレの大驚愕。――この種の不敵なミステリーの名産地といえばフランス。そこから新たな鬼才が登場しました。不吉なイメージの乱舞と恐ろしい出来事の連打の中に編み込まれた幾重もの罠!

『その女アレックス』のルメートル、『黒い睡蓮』のビュッシ、『パリのアパルトマン』のミュッソに続くフランスの刺客、ジェローム・ルブリ。その大胆不敵な怪技をご体験ください。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2作目?が出るからようやく読んだ。
そんなに調べてないのにラストがねぇーみたいな感想をチラッとみて構えてたけどこの終わりかた好きでした。

脳内で多層化した妄想ミステリーは映画ではよくあるよね〜
アイデンティティーみたいな感じ?って思いながら読んでたし。

島の話、監禁の話どれも興味をひくし、フリだけの面白くない話になってないのがいい。


主人公ダミアンの設定がいいですね。
何かを失い、それに取り憑かれた人生を生きてる人が出てくるだけで面白く感じちゃう。
ラストはメメントみたいでいいですね。メメントに近いなって感じたらもう満足するようになってる。
救われない終わりかたもいいなあ、2作目も期待大!

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い。
ゲーテの「魔王」、シャンソンの名曲「聞かせてよ愛の言葉」を巧みに挟み込む印象操作、構成の妙で綴られるこれぞフレンチミステリの傑作。

自分の中では「魔王」はシューベルトの曲へ、「聞かせてよ愛の言葉を」はZAZの「Je veux」へ比較的馴染みあるものへと変換されはしたものの、不穏さ以外の何物でもない「魔王」と、一見甘やかで情熱的、けれども裏にある悲哀を含んだシャンソンの曲がこの物語の深層を形造り、最初に語られる表面的な物語とは全く異なる物語を浮かび上がらせてくる。

フレンチミステリの展開で唸らされた思い出深い作品というとピエール・ルメートルの『その女、アレックス』だが、それに並ぶほどの「おおぅ」という展開(似ているわけではありません)。
ギヨーム・ミュッソ『ブルックリンの少女』を彷彿とさせるいたたまれない事案。

あらすじは書かない。
もし未読でこれから読もうとするのならば是非”無”から楽しんで欲しい作品。

これがこのミス2023年度版の10位だものなぁ。
『第八の探偵』といい10位との相性が良いようだ。

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2023年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと不穏な違和感はあって、それが何なのか真相を知りたくて、あっという間に読み終えました!何重にもなっている構造がとても面白かった。

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2022年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人生って、ときにはその人にふさわしくないこともあるから
118ページ
なかなか面白い表現だと感心したものだが。

面白い!この話。でも、猫好き、ドイツ好きな人には思い切り嫌な話だからご注意。最後まで読めば良かった、になるけれど。

思い切りネタバレなうえに書き殴りなので、ご了承ください



はじまりは2019年現在の大学の講義。1949年の事件と1986年の出来事が交互に語られ、物語の真相に迫っていくと思いきや。
中盤くらいでなんだありきたりの実験かい、と一気に詰まらなくなった、と感じたのだが、その後また怒涛の展開に。
胸糞悪い。
10人の罪なき子供が殺されても、あ、そうなのへー、だけれど罪な
猫たちが殺されるのはダメダメだろう。
余すところ3分の1だけれど、このまま終わったら許さないぞ作者。
あと、悪いこと全部ドイツのせいにするなフランス人。自分たちも同じくらい悪いことやってきたろう。

最後まで読んで、そうだったのか!そう来たか、と感心。
猫たちは死んでなかった。そもそも存在しなかったのだし。
めでたしめでたし、猫好きとしては。
最初のほうに出てきて、以後触れられない地図にあるのに存在しない建物の場所にある干上がった沼。作者これ忘れてない?なんて思っていたらどうしてどうして。偉いよあなた。
子供を持つ親(そして失った親)としてはなんとも哀切な話であるが、そんなこと私には関係ないし縁もない話なので、良かった良かった猫たちが犠牲にならず良かった。あれ?ええと、では10人の子供たちの死もなかった、んだよね。たぶん。ま、それは私にとってどうでも良いことで。
ええと、そうすると不幸だったのは少女ひとりとその父(あとたぶん母)と言うわけで、数はぐっと減ったけれど、その打撃から永久に立ち直れない人がこの物語を作り出したということね。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

じわじわとしたホラー感を楽しみつつ年号にも気を付け(年号のない段にも気を付け)、急に不条理な展開になったな? と思ったら合理的な説明をつけて一旦納得させておいて……とまあ忙しいお話。「筋の通らない部分のある話を聞かされる話」自体は筋が通っているものだから、まあしっかりと騙されかけた。いくらなんでも都合がよすぎる気がする上に生きていたならどうしてその後何の音沙汰も、と思ったところで最後のオチ。映画「ライフ・オブ・パイ」や何か他作品を思い出す気がするのだが、さてあの作品の名前は何だったか。そもそも本当にそんな作品があったろうか。ドグラ・マグラではないと思うのだが。

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

評判通りの名作だ。とはいえ、ネタバレなしでは紹介が非常に難しい。
というのも、紹介文にあるような「魔王の島」というのは(作品内の)現実ではないから。
キーワードは「心の避難所」。
衝撃体験から逃れるために人間は心に避難所をつくるのだが、その避難所をつくるという精神的治療の行為すらも物語に織り込んだ避難所の構築が、本作で展開される「事件」だった。これが真相。

似たような印象を受けた日本作品として
貫井徳郎「慟哭」
乾緑郎「完全なる首長竜の日」
山田正紀「ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件」
が思い浮かんだ。

エンタメとして申し分なし。

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2024年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
田舎町で新聞記者をしているサンドリーヌは一度も会ったことの無い祖母の訃報を受ける。
祖母が暮らしていたのはノルマンディー付近にある孤島。
その島は世界大戦中はドイツ兵の拠点になっていた島だった。
なぜ祖母はその島から出てこなかったのか、島で起こった凄惨な事件が示す新事実とは?

・感想
なるほど…こういう展開になるのかー。面白かった。
続きが気になりすぎて1日で読み切ってしまった!

1部のサンドリーヌ側の描写は現実味がなく曖昧、読者を不安にさせる描写が続くので何となくこれは夢の中の出来事なのかな?と検討はつく。
そして2部になって地に足ついた現実世界の話かと思いきや…。
ダミアン側の事件であるメラニー失踪事件が終盤まで殆ど展開しないし、当然その事件も関わってくるのは自明の理なので、もう殆どページ数が無い所でメラニーが脱走しちゃって「ここでメラニー脱出しちゃってるけどどう処理するんだろう」と不思議に思ってたんだ。
そして舞台が2019年になり教授の「今までの話を分析」云々のセリフを見た所で、やっとそういう事かとこの作品のトリックを理解した…!

帯に「彼女のはなしは信じるな」とあり信用できない語り手なのはわかっていたので色んなパターンを想像していたんだけどこういう着地点になるとは。
私が予想していた様々なパターンは、作者が望んだような動線を描いていたと思うww
まんまと作者の手のひらの上で転がされた。
くどいほどに物語の主旨は明示してあるので、夢オチとは違うと思うんだけど初見じゃ見抜けない構成だなと思った。

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2023.1.26
後半は展開読めちゃって萎えたけど全体的には満足。
ずっと不穏な感じが漂ってて好みだった。

サンドリーヌの島での描写もっと欲しかった。

あと、サンドリーヌの現実世界に島の住民が地域住民として出てくるけど、シモンいたっけ…?彼は架空の人物…?

最初からもう一度読んだ方がハマれそうだな、、

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2023年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あの最後のエピローグで完全にやられました。心の避難所。それが「誰の」避難所だったのか。冒頭からヒントがいくつかありましたが(サンドリーヌが感じる数々の違和感や不快感)、まさかここまでもがほとんど虚構だったのか!結局、彼は避難所に棲んだままなんだけど、ある種の生きる希望を得た架空の現実を生きるのは幸せなことなのかもしれない。精神の異常の描き方は秀逸でした。

好みの問題かもしれませんが、感動のストーリーをウリにしたあからさまな話より、こういう話の方がずしりと来ます。面白かった!

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

着想や構成を楽しんだ人勝ちなんだろうけれど、うーん。

正直私は、◯◯物も、女性や子どもが嫌な目に会うのも辛過ぎてダメなので、それほどページターナーではなく、むしろ重い気持ちで難儀した。ダ◯◯◯が出てきたあたりで、そうかもなーと思ったら、やはりそういう結末に。
入れ子のような、層のような構成は、感覚的に面白かった。

まあちょっと苦しい読書だったな。

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2022年11月14日

匿名

ネタバレ 購入済み

サイコミステリーだろうか。

はじめはサンドリーニが誰なのか気になって一気読みでしたか、ラストでそんなオチになるのかと、ちょっと意外でした。
愛する娘を失った男の物語。
でも全てが心の避難所として作り上げた物語なら、現実に犯人は捕まったのか、誰だったのか?が残り消化不良な読後感が。

#切ない

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2024年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

構成の素晴らしさと、アイデアはすごいと思います。
が、それを利用してこういう物語しか書けないのだろうか…? うーん、もっと違う方向性もあったのではないかなぁ。

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2023年01月31日

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