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Posted by ブクログ
面白い。
ゲーテの「魔王」、シャンソンの名曲「聞かせてよ愛の言葉」を巧みに挟み込む印象操作、構成の妙で綴られるこれぞフレンチミステリの傑作。
自分の中では「魔王」はシューベルトの曲へ、「聞かせてよ愛の言葉を」はZAZの「Je veux」へ比較的馴染みあるものへと変換されはしたものの、不穏さ以外の何物でもない「魔王」と、一見甘やかで情熱的、けれども裏にある悲哀を含んだシャンソンの曲がこの物語の深層を形造り、最初に語られる表面的な物語とは全く異なる物語を浮かび上がらせてくる。
フレンチミステリの展開で唸らされた思い出深い作品というとピエール・ルメートルの『その女、アレックス』だが、それに並ぶほどの「おおぅ」という展開(似ているわけではありません)。
ギヨーム・ミュッソ『ブルックリンの少女』を彷彿とさせるいたたまれない事案。
あらすじは書かない。
もし未読でこれから読もうとするのならば是非”無”から楽しんで欲しい作品。
これがこのミス2023年度版の10位だものなぁ。
『第八の探偵』といい10位との相性が良いようだ。
Posted by ブクログ
ずっと不穏な違和感はあって、それが何なのか真相を知りたくて、あっという間に読み終えました!何重にもなっている構造がとても面白かった。
Posted by ブクログ
ストーリーの大半が、娘を失った登場人物が自我を守るために作った作り話で、そのことが最後に分かるようなっている(逆に言うと最後まで分からなかった)
別の小説で、ストーリーの大半が加害者の書いた小説だった、というのがあって、この時は、ちょっとそれはないよ、と思わないでもなかったが、
「魔王の島」は、よく出来ていて、納得感があった
アイデアとして凄いと思ったのが、
作り話の中の架空人物が更に作り話を作っているという、2重の構造になっていることで、
小説の中盤で、前半部分が作り話であることが明かされるが、
このことで、後半部分は虚構ではないと思わせるようになっている。
でも、最後まで読むと、逆に、後半も虚構であること示唆していたことが分かるという作りになっている。
Posted by ブクログ
これまでの常識を覆してくれる作品(^◇^;)
いろいろな意味でこうした作品が発表されるのは、ミステリファンとしては大歓迎!
ですが、これ以上のことが書けないことが……。
興味があったら一読を!
Posted by ブクログ
2023.1.26
後半は展開読めちゃって萎えたけど全体的には満足。
ずっと不穏な感じが漂ってて好みだった。
サンドリーヌの島での描写もっと欲しかった。
あと、サンドリーヌの現実世界に島の住民が地域住民として出てくるけど、シモンいたっけ…?彼は架空の人物…?
最初からもう一度読んだ方がハマれそうだな、、
Posted by ブクログ
あの最後のエピローグで完全にやられました。心の避難所。それが「誰の」避難所だったのか。冒頭からヒントがいくつかありましたが(サンドリーヌが感じる数々の違和感や不快感)、まさかここまでもがほとんど虚構だったのか!結局、彼は避難所に棲んだままなんだけど、ある種の生きる希望を得た架空の現実を生きるのは幸せなことなのかもしれない。精神の異常の描き方は秀逸でした。
好みの問題かもしれませんが、感動のストーリーをウリにしたあからさまな話より、こういう話の方がずしりと来ます。面白かった!
Posted by ブクログ
着想や構成を楽しんだ人勝ちなんだろうけれど、うーん。
正直私は、◯◯物も、女性や子どもが嫌な目に会うのも辛過ぎてダメなので、それほどページターナーではなく、むしろ重い気持ちで難儀した。ダ◯◯◯が出てきたあたりで、そうかもなーと思ったら、やはりそういう結末に。
入れ子のような、層のような構成は、感覚的に面白かった。
まあちょっと苦しい読書だったな。