【感想・ネタバレ】ユングと心理療法 心理療法の本(上)のレビュー

あらすじ

カウンセリングや心理療法が注目を集めているいま、日本の第一人者が、その原点にあるユングの考えを紹介しながら、心理療法とは何かを、わかりやすく説く。心はなぜ病むのか、どうすれば癒えるのか……から、夢分析とは、箱庭療法とはどういうものか……まで、心の問題についてはもちろん、生き方を考えるヒントもちりばめられている。「たましいの医者」ユングがめざした心の手当てとは!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

長年私の書棚では「積読本」となっていた。第1刷は1999年となっていたので、四半世紀前の本だ。だけれども、本質的なものはあまり変わらないだろうと思い読み始めた。

読んでみようと思ったきっかけは、たぶん、岸政彦先生の「生活史の方法」を先日読んだからだと思う。岸先生の「生活史」が、ある一人のリアルな人生に関わって、本人の思いを丁寧に聞き取り、一つのアウトプットにする行為であるのに対し、河合隼雄先生のほうは、リアルな人生が対象ではなく、聞き取りの対象が本人の夢であり、無意識であり、意識と無意識との関係であり、つまり対象は「現実の生活」と「夢」という点で異なるけれども、その聞き取りは丁寧で、対象者を尊重(尊敬)し、「語り手」が主役という点で、共通していると感じたから。

河合先生は、「まえがき」のところで、本書の構成を大まかに述べている。

第一章:ユング派の心理療法の実際について

第二章:①夢分析の事例、②治療者とクライエントの関係、治療者の在り方、③夢の中のクライエント像について

第三章:箱庭療法について

第四章:①日本人に合わせた心理療法、②イニシエーション(通過儀礼)について

そして、同じく「まえがき」に、「心理療法の専門家になるつもりでない人でも、このことに深い関心があるが、人間の生き方について深く考えようとする人にとっては、いろいろと考えるヒントを提供するものになるであろう。本書を通じて、心理療法が生半可な経験や知識できるものではなことをわかっていただけると幸いである」と述べていた。

この本には、夢の解釈など、プロにしかできないことが記されているように思う。そういう意味では、対象読者は、セラピストか、もしくはセラピストになることを目指している人だろうか。

ユングの理論の軸となると思われる部分の抜粋として、「われわれの心の中心は自我ではなく、自我と無意識との両者を連結するものでなければならない。自我がわれわれの意識の中心であるのに対して、この新しい、意識と無意識とを含めた心全体の中心を、ユングはself(セルフ)と呼んだ。この意味において、ユングの自己(self)は自我(ego)を含む概念である。」「この自分の自己を経験し、実現してゆくことが、取りも直さず、人間としての目的、すなわち心理療法における究極の目的である。この自己実現の過程を、ユングはまた、『個性発展の過程』と呼んでいる。」という部分が思い当たる。

そうすると、無意識が夢として訴えることを考えると、素人の読者が、自分の見た夢を、下手に解釈してみても、おそらく技術や資質が及ばないだろうし、それで間違った自己治療を行っては本末転倒のように思う。

河合先生が、「専門家になるつもりでない人でも、深い関心があって、人間の生きたかについて深く考えようとする人」というのは、ユングはのセラピーを受けているクライエントか、これから受けようとしている人のことを指しているのだろうか?

第三章の「箱庭療法」についても、セラピストとクライエントが一体となって進める治療であるようで、やはり本書の対象読者は、セラピストとして「箱庭療法」を始めようとする人や、それを受けようとしている人であるような気がする。

第四章は、河合先生のお考え、西洋の心理療法の手法を日本人に適用するには、工夫が必要であるということと、セラピストにもクライエントにもイニシエーションが必要で、両者でセラピーを進めることが、このイニシエーションの位置づけになるんだということを言われていたように思う。

本書は、少し難しすぎたのと、自分は対象読者からはずれているのかなと感じた。ただ、河合先生の本を、今後読もうとするための基礎にはなるのかなと感じた。

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2026年10月09日

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