あらすじ
バブル崩壊から自殺者3万人時代、ネット心中、コロナ禍の中の若者・女性の自殺、理由なき自殺……長年、自殺問題を取材してきたジャーナリストが迫る、この国の「生きづらさ」の真実。
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Posted by ブクログ
多くのケースが紹介されていて、自殺の実態の一端を知れる。また自殺を防ぐ難しさもよく伝わってくる。
印象的だったのは、ネット心中で複数人で集まったものの色々な理由で場所を変えていったケース。葛藤の現れだったのかも知れない。
「おわりに」で「遺族は家族だけじゃない」としているが、その通りと思う。著書の取材対象で既遂となった方は40名に上るとある。著者ご自身の精神的負担も相当なものであろうに、これからも取材は続けると宣言されており、頭が下がる思いだ。大変重要な仕事をしておられるが、くれぐれもご自身の心身の健康も大切になさって頂きたい。
最後に、個人的に強く共感した箇所を引用する。
「当初、私は、言語化できる相手がいれば自殺しないのではないか、という仮説を立てていたが、正しくなかった。今となっては当たり前のことだ(中略)具体的なソーシャルワークにつなげても、メンタルヘルスのケアやサポートがなければ、自殺のリスクは低減しない(p.17)」