【感想・ネタバレ】ひこうき雲のレビュー

あらすじ

韓国文学の新シリーズ〈キム・エランの本〉刊行スタート!

《第一弾は、BTSのRMさんも愛読、韓国で17万部の大ベストセラー小説集》

--------------------------------------

タクシー運転手のヨンデは、車内で、中国語のテープを聴いている。
数ヶ国語を話せた、死んだ妻が吹き込んでくれたものだ。

何をしても長続きせず、「家族の恥」と周囲に疎まれ、三十六歳で逃げるように上京した彼は、中国の地方から出稼ぎに来ていた親切な女ミンファと出会い、結婚し、貧しいながらも肩を寄せ合うように暮らしていた。

だが、やがて彼女はがんを患って……(「かの地に夜、ここに歌」)。


裏切り。罪。喪失。悲しみ。
韓国文学の旗手が贈る、哀切な8つの物語。

——この空の向こうに、幸せはきっとある。

--------------------------------------

【目次】
■日本の読者の皆さんへ

■そっちの夏はどう?
■虫
■水中のゴリアテ
■かの地に夜、ここに歌
■一日の軸
■キューティクル
■ホテル ネアックター
■三十歳

■あとがき
■訳者あとがき

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

最終話の「三十歳」が強く印象に残る。必死に努力しているのに報われず、どうしようもなくなって最後にたどり着くネットワークビジネスの販売員という、過酷な仕事。そこでは人間性が奪われ、人間関係が壊れ、主人公は深い深い傷を負う。どうにかしてその状況を抜け出したものの、大きな罪悪感を抱えて生きる主人公が懐かしい「先輩」へ宛てた手紙で淡々と語る形式だが、その物語はとても胸を打つ強烈なものだった。
実際の社会問題を題材にして、短編小説として鮮やかに切り取り、しかもあの結末は…とあれこれ考えずにいられない深い余韻を残す、印象深い物語だった。

0
2023年03月25日

「小説」ランキング