あらすじ
「書く」ことは「編む」ことと似ている――。学校になじめなかった自分と父との関係、おもしろいことが大好きだった母、人生の道標となった叔父のこと、アルバイト先で出会った夫との恋。傷つきながらも一歩ずつ進み、ニットデザイナーとなった著者。その半生を追ううちに、読者それぞれの「あの頃」が蘇る極上のエッセイ集。
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Posted by ブクログ
ほんとに編み物作家さんなんだろうか、って何度も何度も驚嘆したよ。
お会いしたことも、お話したこともないのに失礼かもだけど「らしい文章」だと思った。そういうのが書けるってすごい。
だからほぼ日さんと仲良しなのも、ストンと落ちた。エッセイだけど、思想みたいな哲学みたいなことを書かれてますもんね。
これだけ有名だと、華やかなことばかり想像してうらやましく思う自分もいたのだけど、なじめなかった学校のことやお父さんとのこと、いい具合に助けてくれる叔父さんとのナナメの関係など、傷ついたり起き上がったりしながら、歩まれてきた道を読ませてもらって、共感が膨らんだよ。
どんなデザインをして、どんなモノを編みたいかを持ってるって素敵です。そしてなかしましほさんのお姉さま!
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ブルータスかポパイで紹介されていて、興味を持った本。
筆者は編み物作家なのだけど、エッセイが本業なのではないかというくらい、あっさりと深いエッセイを書いている。
なんでもない様な話で、さらさらと書いているんだけど、切り取った描写以上の行間から情緒が感じられる。
最初の「三國さん」とか、なんでかわからないけど、最後のフレーズで、涙ぐんでしまった。
瞬間と永遠が一瞬で切り替わったような、奇跡をみたような。
普段から、自分の感性でよく観察されてるから、ここまで書けるのだろう。
あとはやはり文学的な素養が元々深い方なのだと思った。
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読みたいと思っていた本です。
想像以上に文章も内容も良く、心にスッと入ってきたエッセイでした。
子供の頃、大人になってから…その時の思いと家族達との思い出が綴られています。
特にひろしおじ・早退癖・23歳が好きです。共感もしたし、そういう道もアリなんだなぁとか。
ままごとも味わい深くとてもよかったです。
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文章がすごく好き!自分のちからで生きてきた真っ当な大人が書いたのだなという安心感のある、魅力的なエッセイ。地に足がついていて、実感がこもっていて、魅力的でおもしろかった。
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ラジオの「高橋源一郎の飛ぶ教室」で紹介されていた本。文章がうまい。経歴を見てもずっと編み物作家として活動してきたらしいのに、すごく読みやすい。余韻の残る文章。
「へびこさん」と名付けられた腕時計、「うさぎん」と名付けられた指輪のお話と写真を見て、私もアンティークの素敵なものを手に入れたくなりました。
子どもの頃転校をして人間関係が難しいと感じたあたりは私もよく分かる。
「不思議なことに、仕事を始めてから仲良くなる人たちは、転校を経験してきた人達が多いよ。なんでだろうね。もう転校生の匂いなんて、わたしたちの体から消えてしまったはずだけど。」
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不思議な人
どう生まれ育ったらこの感性になるのだ
編み物したいなあ…
うおお、なんかすごく大事なことが書いてある
「赤ん坊という無垢なものの要求に応え続ける、ということの幸せを初めて知ったけれど、それと引き換えに、わたしの個性の部分、ずっと一緒に育ってきた、自分の中のわがままな子供が無視され、弱っていくような感覚があった。」
23歳
この人の感じているシンとした静けさを私も感じたいと思
う
ナメクジ
子供を持つとこんなにいじらしくて泣けちゃうのかなあ
それこそ知りたいよ…でも自分の手を離れたら私可愛く思えるかなあ
不幸の手紙
不幸のメール何も考えずに回してたわ…罪悪感とか一切感じたことないな…
なんか出会えてよかった本だ!
全体に漂うシンとしている静けさが好き
Posted by ブクログ
ずっと息苦しさを感じていた少女が、大人になり、ニットの世界に居場所を見つけるまで。迷い悩み傷つきながらウロウロと、それでも一歩ずつ進んできてようやく今の三國さんがある。だからこの説得力。だからこのありそうでなさそう感。独特のおもしろさ。また読みたいと思わせる文章だった。うん、おもしろかった。
Posted by ブクログ
タイトルほど編み物中心なわけではなかったですが、少し硬質でエッジの立った文章で、豊かな感性を感じるエッセイでした。一番気に入ったのは腕時計を買った話かな。バナナが夜中にひっそり死んだ話はなぜか異様に琴線にふれて泣きました。どうして。
Posted by ブクログ
とてもぜいたくな読書体験だった。言葉の選び方が、ちゃんと自分で経験して腑に落ちたから使っている、という感じで信頼できる。今後も本業だけでなく、文筆業もつづけてほしい。
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すごく素敵な本だった。
作家なのかな、と思うくらい、文章も上手です。
最初の「三國さん」の話が一番好き。
他に印象に残ったのは、風邪くらいでは病院に行かないタイプらしかったけど、息子さんがインフルエンザにかかり、一週間も入院して(そんなことあるんだ…)、その時までゲーム機を与えなかったことが、子どもに負担になっていたのでは…と反省するところ。
パテック・フィリップのアンティーク腕時計の写真も素敵だったし、花見に寿司を持っていくのも真似したいと思いました。
妹のなかしましほさんのエピソードも出てきて、なかしましほさんファンにもオススメ。
Posted by ブクログ
ばななさんも帯で仰っておられたが文章がおそろしく上手い。同年代ということもあり、学生の頃の話や子育ての頃の話などを読みながら自分のその頃の空気が匂い立つ感覚をおぼえた。不思議だった。特に「佐藤くん」「23歳」「ナメクジ」「苺」が好きだ。時系列でないから余計に、あらゆる出来事が混ざり合って「わたしはわたしになっていった」ことがひしひしと伝わってくる。皆そうなのだ。
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静かな人なのだろうな、でも心の中にはとても熱くて強いものを持っているのだろうなと思った。私も自分の気持ちに正直生きていきたいと思った。
「小さいセーターを編む話」は編み物が本当に好きなんだなぁと感じられた。
Posted by ブクログ
すごく面白いエッセイ集。
子供の頃の話から20代、今とどれも楽しかった。
読み返して前向きな気持ちになれるような言葉がたくさんあった。手元に置いておきたい一冊。
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この人ととても話してみたい、そう思った一冊だった。筆者の内面(とそこから見える外の世界)を丁寧に綴った本だ。
ここのところ私は自分の問題で精一杯で、外の世界に興味を持てず本も読めなかった。編み物界で有名な筆者が出したとのことで、目に入ったこの本。外の世界を飛び越えて、心と心で触れ合うような言葉たち。小さな頃から自分の内面で起きたことを丁寧に覚えて言葉に結晶させてきた、そんな文章ばかり。今この本に出会えて良かった。
Posted by ブクログ
編み物はしないが
著者の書く文章に出会う機会が多く、
読むのを楽しみにしていた一冊。
引っ込み思案で
周りの人とじょうずに関係を築けないマリちゃんが、
大人になるにつれて見つけられた
美味しい空気を吸える自分の世界。
ありきたりな日常もこの方の目線で見ると
全く違った世界になる。
気持ちが正直に描かれすぎていて、
ぐさりと刺さったり
胸の奥の方をじんわりあたたかくしてくれる。
手元に置いて見返したい大切な一冊になった。
Posted by ブクログ
私も編み物をするので、編めば編むほどわたしはわたしになっていった、というタイトルにとても共感します。
素敵な本、素敵な生き方。
憧れます。
妹さんもクリエイティブな仕事に就かれたのは、育った環境なのでしょうか。
のびのびと、受容されて育ったのかなあ。
その時々に自分で考え、歩む余裕があったんだなあ。
そんなふうに、正直、羨ましくもなりました。
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ニット作家の三國万里子さんの随筆。専業作家ではないけれど、とても素敵な文章を書かれる。三國さんだけの世界がしっかりと存在していて、そこをこっそりと覗き見させてもらってるような気持ちになった。
息子さんにニンテンドーDSを買ってあげるお話が特に心に残った。息子さんはみんなが持ってるDSをいらないと言っていたそう。母が自分は自分という考え方をしているから影響を受けて、息子が人と同じ遊びをしないという縛りを自分で作ってしまっていたとしたら申し訳ないな、と思い三國さんは入院してしまった息子さんにニンテンドーDSとポケモンを買ってあげる。そんな考え方をできるのがとても素敵だと思う。自身の周りに迎合しないある種アーティスト気質な所を押し付けるでもなく、息子はゲームをやりたがらないからラッキー、でもなく、自分と一緒に暮らす事で少なからず影響を与えていないか省みるというのは、相手をこの上なく尊重していないとできないと思う。
小さな頃から自分の世界をしっかり守って、きっとそのせいで生きにくい事も多々あったと思うが、だからといって簡単に手放してしまわずにしっかりとその世界と一緒に生きていく覚悟を持っている方だと感じた。大人になってするお人形遊びや、アンティークジュエリーとの出会いなど、とても楽しそうに過ごしているのも魅力的。
Posted by ブクログ
なかしましほさんのお姉様
編み物と家族と好きなものと いろんな経験をして上手に引き算して 居場所を掴んですごくすごく素敵な世界に住んでいるひとだなぁって
一気に読んでしまった
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思春期の人物像は、友人が多かったような私とは全く違って「そうか、クラスで『はみ出た』感じがした子はこういうことを感じていて、こういう成長の仕方があったのか」という発見があった。何なら、私より自分の心に正直で、周りに流されず、大人になるとともに自分が何をしたら幸せなのかを自覚するようになって、優しくて、とても素敵な生活を送っておられるようで、羨ましくもあった。
自分で作ったものを知らない人が好きと言ってくれて買ってくれて代金という形になって返ってくる、というプロセスに喜びを覚えているのも、大企業サラリーマンをしている私では感じ得ないこと。ものづくりの人の価値観に触れた一冊。
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ニットデザイナーのエッセイ。
現在の日常生活を書いた部分も面白くはあったのだが、そんな素敵な生活をしていない者としては、やっぱりデザイナーだから、美意識が高いんだなあと感心半分、羨ましさ半分。
しかし、ご自身の子どもの頃や若い頃のことを書いた部分はとても心に残った。その書き方も素晴らしいと思った。
中学生の時、学校に違和感を感じ、早退を繰り返すようになったときの、父とのやりとり。
父が周りの人とうまくやっていくことが大切だと語ったとき、自分とは価値観が違うと思い、「お父さんのことも尊敬していない」と言ってしまう。
「稚拙なわたしは「社会で働くお父さん」を丸ごと、なぎ倒すように否定してしまった。本当のことを言えば、父のことは「尊敬」も「軽蔑」もしていなかった。そんなこと、考えたこともなかった。昔から、ただ、大事な父だったのだ。」(P38)
先日読んだ『ニワトリと、卵と息子の思春期』でも感じた、思春期の、一人の別の人間だと認めてもらいたい子どもの狂おしさ、やるせなさをここでも感じた。
息子さんとのことなども、心に沁みた。
Posted by ブクログ
ニット作家の三國万里子氏のエッセイ。
読みやすく人柄の現れた素敵な文章で彼女の思いが綴られている。
幼少期の経験、若いころの体験、子供との話など、編み物についてはあまり書かれていなくて、どちらかと言うと彼女がどのように形成されてきたかということが書かれている。
田舎ののんびりとした環境が穏やかさを、繊細な感受性は人に対する温かさや誠実さを彼女にもたらしたのだと思う。
彼女の性格はあまりよく知らないが、このエッセイや彼女の作る編み物作品に表れていると思う。
素敵な作品は、素敵な彼女から生まれていることに改めて納得した。
Posted by ブクログ
ニットデザイナーの三國万里子さん。
ニットのデザインも素敵だけど文章も素敵でした。言葉選びが良いです。でももっともっと編み物の話も聞きたかったです。
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なかしましほさんとの共著で知っていたけれど、ラジオ「飛ぶ教室」に出演されていて、ほっこりした雰囲気と高橋源一郎さんの感想から、興味を持って。
子どもの頃の記憶を、鮮やかに描いていて、著者はいろいろな時代にまだ住んでるかのようだった。
装丁のお人形さんは、ロシアの作家さん。この本にぴったりな装い!
Posted by ブクログ
1071年生まれ。3歳で祖母より編み物の手ほどきを受け、長じて多くの洋書から世界のニットの歴史とテクニックを学ぶ。「気仙沼ニッティング」および「Miknits」デザイナー。著書に「編みものワードローブ」「うれしいセーター」「ミクニッツ大物編、小物編」など多数。
本書が初のエッセイ集となる。
エッセイとの相性は、読む人ごとに違うだろう。
この本は新刊コーナーから選ぶ。
子供時代、人との付き合い方が苦手だった著者。
自分を出して話しすことが少なかったからこそ、内面に生み出したい言葉があったのであろう。
数少ないながらも親しい友人だけに向けた五年間のメールのやり取りから、友人らに勧められて初めてエッセイ集として世に出た。
身構えた文章ではなく、心の中にしまってあった、もしくは整理がつけられたお話の数々は、13歳年上の私にも何か懐かしく共感できる本だった。
少女時代も素敵なお話だが、働きはじめの不器用な時代も、心に残る。
Posted by ブクログ
ミクニッツなどニット作品は知っていたものの、文章がこんなに上手な方だとは知りませんでした。
日々の何気ない出来事をみずみずしい言葉で表現できる感性が羨ましい。
風来坊的な「ひろしおじ」に紹介された温泉宿で働くお話の中で、「いつかのための切り札」という言葉があって、あぁ私にもそういうのあるなぁ...とふとそのフレーズが心に残りました。
2024年初読書がこの本でよかった。