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Posted by ブクログ
どの話も大分捻りがあって面白い。
「帰省」は、比較的王道?と思ったけど、読み返すと主人公の何も考えていない感じと、今起こっている事件がなんだかチグハグなような噛み合っているような、不思議な感じ。
「贖罪の地」も面白い。なんの話かふわっとしたまま読むと、最後になるほど、と。男の表現がユニーク。
「天使のレシート」も、途中までは甘酸っぱい初恋物語なのに、天使の一大決心が原因で、兄が妹のケガのトリガーかと思うと、最後はいたたまれない。
「あなたの本」は、今まで本に振り回さられ、クスリと笑える話だったのが最後の1文でズドンと落とされた。
「見守ることしかできなくて」は途中の違和感が、最後につながって、あ、そういうことか、と。
「最後の街」は、主人公の気持ちが、この世の果てに吸い込まれていく変化が面白い。その結果もよくできている。
「交番勤務の宇宙人」はとてもユーモラス。この短い中によくこんなエピソードを盛り込めたなあと。
でも、実は後半の短編の方が短くて密度が濃い。特に「買わなかったおとこ」「待っていた女」と「あの日、そして今日」はハッとさせられるというよりも、行間を考えさせられて面白い。
Posted by ブクログ
【収録作品】帰省/贖罪の地/天使のレシート/あなたの本/見守ることしかできなくて/最後の街/交番勤務の宇宙人/「新装版 特別収録掌編」買わなかった男/待っていた女/あの日、そして今日/お名前は?/選挙公約
表題作含む7編に、あらたに5つの作品を加えた新装版。
「帰省」 DV相手を死なせたのではと怯えつつ帰省する幹子は姉を疑い始める。
「贖罪の地」 SF的。原始的生活を送っているようだが、傍には文明の影が。
「天使のレシート」 超越的存在に対する皮肉。
「あなたの本」 自分の来し方が書かれている本を見つけ、運命はすでに決定しているかのように感じた男は、それに抗う。
「見守ることしかできなくて」 スケート選手として厳しい練習を重ねる少女に恋をした少年は、彼女を遠くから見守る。
「最後の街」 ミュージシャンが辿り着いた「この世の果て」とは。
「交番勤務の宇宙人」 ウルトラマンをモチーフにしたコメディタッチの物語。
「買わなかった男」と「待っていた女」はワンセット。特別なギターを巡る話。
「あの日、そして今日」 すれ違う男女の一コマ。朝日新聞社主宰「オーサー・ビジット」の講義での例題用掌編ということだが、流石だ。
「お名前は?」 サラリーマンの落とし穴。これも上記例題用とのこと。中高生対象だからか、ちょっと人生訓が入っている。
「選挙公約」 風刺コメディ。