あらすじ
心にしみる、大人の恋の物語
困っている人を放っておけない奏(かなで)は、ある日の帰り道、行きつけの喫茶店のバイト大学生、琉生(るい)が冬の公園で凍えているのを見かける。そこから奏と琉生、そして奏の幼馴染の清晴(きよはる)との奇妙な関係がスタートした。それぞれがそれぞれの過去を抱えながら―。ベストセラー作家櫻いいよが真正面から描く、大人の恋の物語。
困っている人を放っておけない奏(かなで)は、ある日の帰り道、行きつけの喫茶店のバイト大学生、琉生(るい)が冬の公園で凍えているのを見かける。そこから奏と琉生、そして奏の幼馴染の清晴(きよはる)との奇妙な関係がスタートした。それぞれがそれぞれの過去を抱えながら―。ベストセラー作家櫻いいよが真正面から描く、大人の恋の物語。
1 手を伸ばした夢のはなし
2 交わらない愛のはなし
3 切り離された証のはなし
4 ここになかった恋のはなし
5 残された約束のはなし
櫻いいよ
2012年に『君が落とした青空』(スターツ出版)でデビューし、大ヒット作となる。ほかに『黒猫とさよならの旅』『きみと、もう一度』『飛びたがりのバタフライ』『交換ウソ日記』(スターツ出版文庫)、『図書室の神様たち』『海と月の喫茶店』(小学館文庫キャラブン! )、『ウラオモテ遺伝子』『世界は「」で満ちている』(PHP研究所)などがある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
わたしはなんだかんだ10年以上櫻いいよの作品を読み続けてるんだけど、そうか、あの秀作乳メスから10年経って、これを書いたのかと頭を殴られたような感覚。すんごいの書いてきたな!
大人の恋の話って、なかなか好みにハマるものがなくて、それは大人になっていろんなことを知ってしまったからなんだよな。恋愛の美しさも醜さも狡さも知ってしまっているからこそ、フィクションで語られる恋のなかに、心を動かされることが難しくなる。
美しさだけを語られたら眉を顰めたくなるし、醜さをリアルに描かれると今度は目を背けたくなる。
狡さと脆さを見せられたら、安心してしまう。
そんななかで、最新の櫻いいよが描く本作は、そりゃもう危うくて脆くて狡いし、決して美しくはないのになぜか穢れも感じない。
奏の弱さも流生の弱さもとても良い。人は強さよりも弱さに惹かれがちなんだよな。そして弱さで惹かれ合うとたいていこういう結末を迎えるんだよね。
欠けた小指に意味はないのかもしれないし、欠けたまま生きていくと決めるのも、それを埋めたくて必死になるのも、正しくもなければ間違いでもない。
この先奏が与えなくとも息ができるようにと願うばかり。
わたしは恋のない愛を肯定派なので、恋をせずとも愛を得た奏と彼に結婚祝いを贈りたいなとおもいます。
友よ、最新刊のコレが、いちばんすきだぞ。