あらすじ
――仔盗匣。
「これ何て読むと?」
「ことりばこって読むとたい」
――「もう一つの、匣」より
蟲毒を扱う一族の末裔。
彼らの家に祀られた禁忌の箱とは…?
視える人たちの生きる壮絶な世界。箱に纏わる奇怪な恐怖実話22!
静かに心揺さぶる、聞き書き実話怪談。
寡作ながら強烈な「引き」を持つ著者の待望の初単著。
組が所有する物件の地下に隠された「処理部屋」。誰もいないそこから赤子の声が…「業報」
漁村の稲荷神社で失踪した少女。発見された時に握りしめていたサイコロのような箱は…「最初の箱」
蟲毒を扱う呪い師の血を引く一族。本家に祀られた厳重な封を施された小箱の正体は…「もう一つの、匣」
煉瓦造りの正方形の家の真ん中に作られた謎の空洞。そこに納められた恐るべき呪い人形…「咒いの家」
友人の家の密室に安置された黒い漆塗りの箱。中には恐ろしいものが…「箱――次は」
職場の先輩の家で見せられた「うがみさまの箱」。代々選ばれた女性が中に入るというのだが…「うがみさま」
病気の少年と少女の姿を模して作った一対の球体関節人形。少年の死後、異変が…「初戀」
ほか、血と地の因縁がつなぐ空恐ろしき実話を収録。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
こっっっわ!!((((;゜Д゜)))
これ実話だよね……。
多くは『稲荷』と『匣』に魅入られた紗和の周りで起きた出来事。
父方の祖母が拝み屋である紗和。
幼少期から見えるはずのないものが視えていた。
まるで小説のよう……。
マジですか。
怖すぎるんですけど……(゚ロ゚;ノ)ノ
読んでいると、郷内心瞳さんの『拝み屋怪談シリーズ』と共通する所も多々あるので、事実だろうなぁ。
例えば、
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祓い屋は勝てないものに命を懸けない。勝てないものに出会ったら逃げる。それができない祓い屋は死ぬ。(本文より)
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これ、拝み屋怪談シリーズでも言ってた…。
命懸けだよ(༎ຶ⌑༎ຶ)
紗和のイメージはすっかり『ぼぎわんが来る。』の琴子ちゃん߹ㅁ߹)♡
どちらかと言うと、真琴の方かも。
【業報】
紗和の祖母の知人である和尚という住職の話。
若い頃ヤクザだった和尚は、現在寺に籠っている。
ヤクザの時分、処理を任されていた。
ある物件のひとつに、家族5人を閉じ込めた。
そうすると、娘以外が、いなくなった——。
うぅ…これは…想像のままだよね…。
印象深い……(-_-;)
色々な理由があると思うが、社会の裏側が1番怖い…。
【咒いの家】
和尚の弟子の清隆が亡くなった。
和尚は生前、清隆の事を気にしていた。
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「自分の能力を超えて我が身に危険の及ぶ依頼であっても、恐らく清隆は断らない。その危うさを二人は危惧していた。」(本文より)
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紗和と同じように「視える」明宏と共に、とうに死んでいる清隆が「呼ぶ」寺へ向かう2人。
寺は、とても手に負える状態ではなかった—。
明宏が祓う時の「エクスカリバー!!」という掛け声が良い(*´艸`)
それにしても、フキ婆さんが赴いた家が…めちゃめちゃヤバすぎる…。
人というものは、業が深いそうです…。
【箱――次は】
高校時代、友人の家へお邪魔することに。
友人が席を立った時、母親に手招きされる。
後をついて部屋へ行くと、そこには洋服ダンスを横に倒したくらいの大きさの、真っ黒な箱が置いてあった—。
こっっわ!!
無理です。こんなの怖すぎる(༎ຶ⌑༎ຶ)
実話ですよね?
紗和、おちおち友人の家へも行けない…。
【代償】
おっさまは山の中にある神社の神職。
「オリ様」と呼ばれる目の見えない老人。
フキの使いで訪れた紗和は、おっさまの若い頃の話を聞く。
彼は「自分が怪談の発生源になれるかどうか」を試すような、怖いもの知らずの若者だった—。
「和尚」と同様、色々あったようで…(-_-;)
若気の至りといえばそれまでだが、神職って、過去を背負ってらっしゃる方が多いのかな。
【初戀】
紗和の高校の先輩の姪が貰った人形に纏わる話。
体の弱い姪は、同じく身体の弱い隣家のお兄さんに、自分達とそっくりな人形を作ってもらった。
それ以来、部屋から誰かと会話している声が聞こえると言う…。
人形の話は怖い……が、この話は泣けます…(´;︵;`)
印象深い話がたくさんありすぎて、全部書いちゃいそう笑笑
話の空気感、とても良い味出してます。
紗和達のその後も気になる!!
怖い実話怪談読みたい方、おすすめします!
Posted by ブクログ
箱のはなし。
最後まで読んでサムイボたちまくりました!
ねこや堂さん、めちゃくちゃ好みです。
面白くて怖くて、ワタシの知らないものはまだまだたくさんあるんやな、ほんまに紗和さんとフキさんがいててお山で仕事してはるんやなってドキドキしています。
ねこや堂さんの書かれた他のものも読んでみたい。
封じ込める
京極夏彦の作品にもあるが、「匣」は蓋をぴったりと閉め、魑魅魍魎を封じ込める役割があるようだ。だから下手に開けると、その当人どころか一族郎党が災いに遭う。著者のやや古風な文章は、呪いの怖さを描くことに成功している。