【感想・ネタバレ】人種主義の歴史のレビュー

あらすじ

「人種」という根拠なき考えに基づいて,人を差別・排除する.人種主義(レイシズム)は,ナショナリズム,植民地主義,反ユダヤ主義等と結びつき,近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし,ヘイトスピーチや黒人差別など,現代にも深い影を落としている.大航海時代から今日まで,その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書.

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Posted by ブクログ

マイノリティや歴史的背景を鑑みて適用されるアファーマティブ・アクションなどの制度に対して、逆差別だという主張がなされることや、被支配者側でありながら、支配者や宗主国側の思想や論理を内面化してしまう者がいるということがこの問題の複雑さを明示しているように思った。
近代社会がまだまだ歴史の浅いことにも気付かされる。今では考えられない思想だとしても、それはほんの2、3世紀前なのだ。私たちが今、正しいと考えていることもほんの少し先の時代では全く正しくないとされていることだって不思議ではない。

いろんな国でポピュリズムが台頭していることも、この問題とは切り離して考えられないのではないだろうか。
常に物事を批判的に見つめ、さまざまなな問題が絡み合う人種という概念がこの先どのような解釈や理解をされていくのか、自らも願うのみではなく行動しながら、注意深く観察していきたい。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

「人種とは何か」ではなく、「なぜ人間は人種という考え方を作り出したのか」、「人種」という概念がいかに社会的に作られ、政治的に利用されてきたかを解き明かしています。
 
 私が理解できたことをまとめると;

① 「人種」という生物学的な実体は存在しない。歴史的に作られた概念。
人種が差別を生んだのではなく、「自分たちの支配や特権(奴隷制や植民地支配)を正当化するために、人種という概念が作られた。

② 啓蒙思想は平等を語りながら、不平等も生み出した
「人間はみんな平等」と唱えると、「ではなぜ黒人を奴隷にしているのか? なぜアジアを植民地にしているのか?」という矛盾が生じる。この矛盾を解決するために、「彼らは我々と同じ『理性ある人間』の段階に達していない。だから、例外として支配していい」という理屈を作った。

 乱暴かもしれないけれど、簡単に言うなら、人種主義とは、自己正当化のために生み出された構造。


■この本を読んで、一番ハッとさせられたこと。

例えば、「私は人種主義者じゃない。黒人の友だちをいるんだ」という発言は一見何ら問題がないと思われるような一言だけど、無意識のうちに人種主義に加担してしまうことがあるという指摘です。

国や肌の色で人を判断することはしない、と決めています。でも、この著者が指摘するように、無意識に加担してしまっていることがあるかもしれない。

「黒人の友だちがいる」という発言は、目の前の友人を「一人の個人」としてではなく、無意識に「黒人というグループの代表」として見ているということ。そこで、人種をカテゴライズしている。

こういう人種主義というシステムから全く自由であるためには、どうすればいいのか。多分答えはないと思うんです。生きていく中で試行錯誤しながら最適解をみつけていくしかないのだと。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

筆者は、本書が唯一のあるべき人種主義の歴史ではないと述べていて、やはりどの国の視点からどのような解釈をするかによって歴史や差別というものの捉えられ方は変わるのだなと思った。私自身まさか奴隷制度の被害者側である国の中にも奴隷制度があるなんて思いもしなかったし、中学生の歴史の授業では簡単に学んでいたものがとても複雑なものなのだと理解できた。

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2024年01月10日

Posted by ブクログ

昨日購入した岩波新書の『人種主義の歴史』(平野千菓子)という本を読み始めている。
冒頭あたりに「生物学的には人間の種は一つであり、複数の人種はないはずである」
という文言に出会います。
私が常日頃思っている考えにぴったりの合致するので大変頼もしく頁をめくっております。
私の教科書ともなっている更科功『絶滅の人類史』によりますと、
700万年前に様々な種類の人類がいた。ネアンデルタール人もいた。
しかし、ネアンデルタール人は4、5万年前に絶滅し、
最後に生き残ったのは学名ホモ・サピエンスとよばれる私たち人類だけなのである。
ホモ・サピエンスはアフリカを起点に各地に移動した。北欧、アメリカ大陸南端、
中東、アジア、オセアニアと地上をくまなく覆い尽くした。
それは細胞、遺伝子分析などによって生物学で完全に証明されている。
しかしながら肌色、頭髪、目の色、言語、風習など様々な違い種分け、区別、差別化され、
更に居住地区、政治、国籍、教育、宗教などによって洗脳され、優劣がほぼ制度化されている。
昔、黒人は普通の人間より劣っているという考えが欧米などで広く信じられていた。
しかし、あるニューヨーク市長が「アメリカは移民の国である」と断言されたように、
黒人で、弁護士、科学者などを大勢輩出し、更には大統領までなった人もいる。
日本人だけが偉いのではない、大部人だけが素晴らしいのでは無い。
世界に住む各地域の人びとの能力はそんなに差は無いのだと思う。
ただ、食事、住居、衣服など生活環境の違いによって、
食べる事にに汲々とし、教育が十分に行き届かない所が多いのは現実である。
人種主義、差別主義…、
こうした他の人を見下すことない社会はいつになったら実現するのだろうか?

※索引があればな~

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2022年08月09日

Posted by ブクログ

大きなテーマ以上に、有名な哲学者や学者の多くも時代の制約からは逃れられないというのがひしひし伝わり震えた。どれだけ先進的なことを言っていても、人種観はめちゃくちゃ差別的だったりする(それはある意味不可避でもあったと言える)
自分も、今の社会的には許容される(=誰かが誰にも気付かれずに傷ついている)発言を繰り返している可能性だってある。震えながら生きるしかない。

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

筆者がフランスを中心としたヨーロッパの植民地史の研究家であるために、本国と植民地の関係での人種の説明である。したがって、アフリカとヨーロッパという関係を強く説明している。残念ながら日本の中における人種、あるいはアメリカ、ヨーロッパ、オセアニアにおける日本人と欧米人の関係から来た人種問題、さらにもっとも大きな出来事であるアメリカにおける人種問題をあまり扱っていない。
 ヨーロッパの植民地史を人種問題とからめて知識を得たい人には役立つ本となるであろう。

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2022年07月24日

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