あらすじ
桜子の名前にちなんでその屋敷は建てられた。千本通のすぐ近く、桜の古樹が佇む空き地の前に。
しかし、かつてこの地には人喰いの鬼がいたという。そんな伝説をなぞるように奇妙な男女が現れて、平穏で退屈な屋敷の日々は狂いだす——
心を蝕む欲望の恐ろしさを捉えた妖美な連作怪奇譚。
〈解説〉黒木あるじ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
鬼のすむ家と何代にも渡って続く因縁の話。
不気味な雰囲気でたくさん人が死ぬ話が好きな人は好きかも。
最後の方の話で同性愛者と異性装の人が出てきたところはよかった。
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妻・桜子のために京都千本通りを入り、目の前の空き地には桜の木があるところにルネッサンス風の洋館を吉二郎が建てたのは明治時代。その館には鬼が…。桜子から始まり六代目までをそれぞれ一話ずつ語られる。洋館、鬼、桜の木。ほぼその洋館での出来事で六話も続けば飽きそうなのに、最後まで飽きるどころかどう展開していくのかと読ませるのは著者の筆力。人の欲望を妖美に描いた連作怪奇譚です。
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花房観音『鬼の家』コスミック文庫。
プロローグに加え、全6話から成る連作怪奇譚集。
禁忌を侵したが故に欲望に絡め取られていく一族の運命と鬼が住み着いた家、官能と怪異の世界が描かれる。
余り怖さは無いが、妖しい雰囲気は味わえる。
親の因果が子に報い……
明治時代。桜子を見初めた吉二郎は二人で結婚生活を送るために京都の千本通に居を構える。千本通は平安時代に鬼が出たと言われる宴の松原という曰く付きの土地だった。
ある日、家の前で行き倒れていた李作と梅の夫婦を桜子が助けたことから物語が動き出す。
李作と梅は心に鬼を抱く夫婦で、吉二郎と桜子の家を乗っ取ろうと近付いたのだ。吉二郎を殺害した李作と梅だったが、李作が桜子を抱いたことから目論見が狂い出す。
時代は流れ、吉二郎と桜子の子孫と残された家に付きまとう鬼の影……
鬼が見つめる悲劇の連鎖……
本体価格630円
★★★