【感想・ネタバレ】ぼくらの戦争なんだぜのレビュー

あらすじ

教科書の戦争記述に国家の「声」を聞き、戦時下の太宰治が作品に込めた秘密のサインを読み解く。ぼくたちが仮に「戦場」に行ったとして、正気にとどまるには。「ぼくらの戦争」とは、どういうことか。膨大な小説や詩などの深い読みを通して、当事者としての戦争体験に限りなく近づく。著者の最良の1作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いい本に出合いました。
今テレビに映る映像、どうすればいいんだろうと戸惑ってしまう。
今流されていきます。
「大きな声」の方へ。
私はその中で「小さな声」に気づいているのでしょうか?
教科書・戦争小説・戦争詩を読む。
知らなかった(名前はよく知っていた。読んだこともある)作家の魂に気づかされました。
著者もまた探っていく過程だそうです。
世界中が戦争に向かっています。
遠いところではなく、その兆しを見逃さないようにしたいです。
今ここにあるそれを。

≪ 流されて 気づけば泥沼 立ち止まれ ≫

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2023年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雑多な本。
問いかけと投げ出しと思索の途中段階とが乱れている。
だが、考えようとするとごたまぜにならざるを得ない事柄があるので、むしろ誠実な作りだと感じた。

@ 以下コピペだが、【 】はメモを挿入。

◯戦場なんか知らなくても、ぼくたちはほんとうの「戦争」にふれられる。そう思って、この本を書いた。
◯教科書を読む。「戦争小説」を読む。戦争詩を読む。すると、考えたこともなかった景色が見えてくる。人びとを戦争に駆り立てることばの正体が見えてくる。
◯古いニッポンの教科書、世界の教科書を読み、戦争文学の極北『野火』、林芙美子の従軍記を読む。 太宰治が作品に埋めこんだ、秘密のサインを読む。戦意高揚のための国策詩集と、市井の兵士の手づくりの詩集、その超えられない断絶に橋をかける。「彼らの戦争」ではなく「ぼくらの戦争」にふれるために。

◯目次

まえがき【たのしい知識】

第1章 戦争の教科書

1・ニッポンの教科書
あたらしいこくご  教科書なんかつまらないとずっと思っていた 【鶴見俊輔】【本居宣長、賀茂真淵】   教科書の中にある、もうひとつのことば、戦争のことば【ルソー、ソクラテス、孔子】  ぼくたちの父や祖父は、子どもの頃、こんな教科書を読んでいた【山中恒】

2・ドイツの教科書、フランスの教科書  
人の心を萎えさせるような、断固とした「声」  歴史をためらいがちに語る「声」

3・その壁を越える日
植民地からの「声」【韓国】  ぼくたちがたどり着く場所

第2章 「大きなことば」と「小さなことば」  

戦争と記憶、庶民の戦争【母の「自伝」】  『この世界の片隅に』の語り方【こうの史代、片渕須直】   戦争なんか知らない【古市憲寿】  「大きなことば」と「小さなことば」  「大東亜」なことば【高村光太郎、安藤一郎、小野忠孝】  「ひとすぢのもの」 【長田恒雄、北園克衛、堀口大學】   「小松菜つむ指の露深き黒土に濡れ」【鈴木初江】  「こつこつと歩いて行く」【高村光太郎、瀧口修造】   ぼくたちは戦場へ行った  幻の詩集【山本和夫】   加藤さんのことば  西村さんのことば  長島さんのことば   佐川さんのことば    風木さんのことば  最後に、山本さんのことば

第3章 ほんとうの戦争の話をしよう  

1・正しい戦争の描き方
ほんとうの戦争の話をしよう【大岡昇平「野火」】  死の国にて

2・彼らの戦争なんだぜ
「遠い」ということ   統合失調症とされた作家たちのことば【宮本忠雄、カフカ「変身」】    すべてが「遠い」小説【猫田道子「うわさのベーコン」】   『野火』がたどり着いた場所

第4章 ぼくらの戦争なんだぜ  

その1・ごはんなんか食べてる場合じゃない【向田邦子】 
 
その2・女たちも戦争に行った
「平時」の思想【鶴見俊輔】   彼女は戦争に行った【林芙美子】

その3・ぼくたちが仮に「戦場」に行ったとして、最後まで「正常」でいるためには【古山高麗雄】
「私」は撃たない

その4・戦場から遠く離れて【後藤明生、金子光晴】
ふたつの「国」と「ことば」の間に生まれて   夢の世界をさまよって【藤原てい、谷川雁】

第5章 「戦争小説家」太宰治
加害の国の作家【ドミートリー・ブィコフ】   ずっと戦争だった   小さな二つの小説    「真の闇」の中を歩く【十二月八日】   文学のために死んでください【散華】    純情多感の一清国留学生「周さん」のこと【惜別、魯迅】

あとがき

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2023年08月12日

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