あらすじ
《君に会いたくて、二万光年を飛びこえたんだ。》
人間と宇宙人の、想像を超え、時空を越えた、一途でさわやかなSFラブストーリー。
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やさしい心を持つハナは、つき合って11年になるキョンミンに振り回されてばかり。
この夏休みだってハナを置いて、流星群を見にカナダへひとりで出かけてしまう。
そしてカナダで隕石落下事故が起こり音信不通に。
心配をよそに無事帰国したキョンミンだが、どうも様子がおかしい。
いつもとは違ってハナを思いやり、言葉づかいだってやさしい。
嫌いだったナスも食べている。
ついには……口から青いビームを出しはじめて……。
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もう二度とこれほど甘い話を書くことはできないと思います。
——チョン・セラン
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感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
宇宙規模の恋愛。ハナの恋人キョンミンは、少年ぽく、いつもハナをおいて好奇心のおもむくままにさっさと旅立ってしまう。それが、隕石落下事故があったカナダからの帰国後別人のようにハナを大切にして優しくなる。実は、カナダから帰ってきたのは二万光年離れた星から望遠鏡でのぞいて見えたハナに恋をしてやってきた宇宙人だった!本物のキョンミンは、自分についての情報と交換に宇宙フリーパスを手に入れて銀河系の外を探検中?!新しいキョンミンは、40パーセント位鉱物でできているらしい。最初は到底受け入れられないハナだったが、結局は宇宙規模の愛を与えてくれる新キョンミンと幸せな結婚生活を送る。そして、年をとり最期のときのどんでん返し。永遠の愛?楽しそうだ。
Posted by ブクログ
「互いへの信頼が築けない社会だ。上の世代がぶっ壊してしまったものを、僕たちの世代で元に戻せるだろうか」
ボロボロになっても、もうこれ以上続けることは出来ないと思えても、再生の可能性を諦めず、作り直していく。洋服も社会も地球も人との関係も。
優しくて爽やかで、そして終わりの淵まで行っても、作り直せる可能性はあるという力強さがある作品だった。
Posted by ブクログ
世界を放浪する癖のある恋人キョンミンが、カナダからハナのところへ帰ってきた。が、箸の持ち方が前より上手いし、嫌いだった茄子を食べる。極めつけはプラスチックかペットか見分けるために目からビームを出していた。これを見たハナはキョンミンが宇宙人ではないかと疑い始める。
SFファンタジー恋愛もの。
数万年前の内乱を逃れて地球の深海に隠れている宇宙人に内乱が終わったことを知らせに行く、とかエピソード一つ一つがユーモラスで、SFといってもガチガチではない。ストランディングしたクジラたちと交信するシーンは泣ける。
エコロジー(ハナの仕事自体が古い衣服を別のものに再生すること)やフェミニズムの視点が、心地よく、結婚式の準備は納得できるワクワクがあるし、何よりハナとキョンミンの愛情が伝わってくる。
しかし、本物のキョンミンより宇宙人のキョンミンとの方が大抵の女性は幸せになれそう。ということは、これはやはり痛烈なメッセージだと受けとるべきだろう。
「ときどき自分が地球人なのが恥ずかしいんだよね。いつまでも殺しあって壊し続けるのが」
「そんなに恥ずかしがることないよ。地球はいまでも平和とはほど遠いけど、偉大な魂が次々と生まれてくる素敵な星なんだから。ハナはアーシュラ・K・ル=グウィンと何年も同じ星に住んでたんでしょ。それは自慢していいことだから。最後までノーベル賞を与えなかったってどうかしてるよね」(P188)
ル=グウィンが出てくるあたり、ちゃーんと意図して書いていると思う。
韓国映画の実力なら映画化できると思うので、是非してほしい。