【感想・ネタバレ】日本移民日記のレビュー

あらすじ

韓国出身の移民として生きる経験に根ざし,日本語表現の新たな地平を切り開くラッパー,MOMENT JOON.日本のヒップホップ,「外人」であること,差別語,詩人・金時鐘との出会いなど,日々の経験と思索から見える日本社会の風景を,鋭く率直な言葉で綴る.硬直した社会にくさびを打ち込む,待望にして初の著作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ


日本語上手ですね
p19
実は、今まで「日本語上手ですね」を何回聞いたか正確に覚えてますが、二〇二〇年の一一月二日の時点で合計一二万五六二八回でした。知っていましたか? 日本に住む「外人」なら、みんな自分が「日本語上手ですね」と何回言われたかしっかり数えているんですよ。

p22
留学生たちの間には、「日本語上手と言われる段階でお前の日本語はダメ」という、冗談か警告かよく分からない言葉があります。

バッド・エンドへようこそ
p165
「ビリー・アイリッシュが温暖化だ何だ言うのも、全部ファッションじゃないの?」「カッコいいから鬱で商売しているんじゃない?」と言う人に、じゃ彼女のようにこんなトピックについて歌うアーティストが日本の大衆音楽にいないのは、日本の音楽業界は超オーセンティックでリアルだからですよね、と皮肉が言いたくなります。


挑発的。切れ味鋭い語り口。そして文章うま。
イリナ・グリゴレとかジュンパ・ラヒリ(は邦訳だけど)とか母国語ではない言語で書かれたエッセイに最近触れる機会が多いのだけれど、本作はそういったエッセイとはやや異なる受け取り方に。その外国語が私の母国語だから。最初はあるあるネタでいくのかと思いきや(モーメントもそう書いてた)論文の一部を挟んで、いろんなところに話が広がっていく。皮肉、シニカル、たまに暴力的でも語り口は非常に丁寧。自問自答がいつしか読者自身への問いに。それからラブレターに。Moment Joonの音楽を聴いたことのない人にもおすすめできる一冊。

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2025年11月18日

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