あらすじ
本書は「大東亜戦争」を、日本史や日米関係史の視座、あるいはアメリカ政府の視座である「太平洋史観」から解放し、さらには戦前の日本が戦争の肯定を試みた「大東亜戦争史観」からも解放して、国際史の視点から再検討する試みである。例えば中西寛氏は1890年を20世紀の起点に置く歴史観を提唱し、大木毅氏は当初日本よりも中国との関係を重視していたドイツが日本と手を結んだ経緯を綴る。重層的な視点から「複合戦争」の全体像を俯瞰する。 ●細谷雄一[五一年戦争史観] ●中西寛[20世紀史のなかの第二次世界大戦] ●松浦正孝[日本にとって大東亜戦争とは] ●森山優[日米開戦という選択] ●村田晃嗣[ローズヴェルトの世界戦略] ●アントニー・ベスト[イギリスの対日観] ●家近亮子[蒋介石の外交戦略] ●大木毅[ドイツの「転換」] ●花田智之[スターリンの対日戦略] ●宮下雄一郎[ド・ゴールの闘い] ●加藤聖文[戦後の東アジア] ●小谷賢[日米英のインテリジェンス] ●リチャード・オヴァリー[民主主義の「勝利」と限界] ●板橋拓己[ファシズムの浸透と競合] ●森田吉彦[知識人たちの闘い]
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Posted by ブクログ
今の、ロシアウクライナ戦争を考える意味でも、よい示唆を与えてくれる好著。
”「先の大戦」の起点を、その戦争の侵略性を強調することで「1931年」(=満州事変)に設定するのではなく、むしろ世界史的な意義から「1890年」に設定することで、われわれは新しい視野を手に入れることができるだろう。”
となると、2022年2月24日を起点とするのではなく、2014年のクリミア併合か、いや、もっと前からその因果は含まれていた?
おそらく2001年9月11日あたりが、その始点となるのだろう。
いずれ、中台戦争、米中戦争となれば、日本も巻き込まれることになる。
「先の大戦」から学べる教訓があるなら活用して、なるべく多く思考訓練をして、その時に備えたい。