あらすじ
台北の女子高に入学した「私」は、先輩の小游と惹かれ合い付き合うが、小游には元恋人・小莫がいた。台湾大学に合格した小游と小莫はアパートで同居を始め、一年後、「私」も台湾大学に合格するが、二人とは距離を取る。卒業後、小游と小莫は渡米し大学院へ。数年後、小莫から「心臓の手術をするため帰国する」と台北で働く「私」に連絡が……今を生きる少女たちの揺れ動く青春の日々を、繊細かつ誠実に描き出した傑作。
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Posted by ブクログ
終わり方まで須く好みだった 文章自体もさらりと重すぎず植物のようだ 女子校時代に抱いた感覚を呼び起こさせる 小旻の最後のエピソードが胸に刺さる 彼女が殆どのキャンディをかつての同士たちに渡す気持ちが痛いほどわかる なぜならセクシャリティの変化は以前のコミュニティに属せなくなる可能性を秘めているからだ 特にレズビアンであるというセクシャリティで強く繋がった絆の中では
キャラクターが濃い作品ではない 皆密やかに生きている 木のテーブルの丸い跡をありありと想像できる 木蓮の香りや窓を開けた際の風にそよぐその葉のさまも ジワジワと心に沁みる作品だった
この小説が書かれた時には台湾ではまだ同性婚が許されていなかった 今はもう特注でなくてもウェディングケーキに飾るボイタチの新婦の人形は手に入るのだろうか これを読んで同性婚が家族の在り方の根本に関わるなんて言えないはずだ だって彼らはずっといるのだから
また翻訳者である李琴峰氏の解説も非常に興味深い 台湾のレズビアン文学と日本のものとの対比とある種の批判が書かれている 社会へのコミットの仕方の違いだ これはレズビアン文学に限らず現在も日本という国が共通に持つ課題であろう 権利を勝ち取った国と与えられた国の対比なのかもしれない
Posted by ブクログ
あの年代の気持ちの動きが泣きたいほど鮮やかに描かれていてよかった。同性の集団での気持ちとまわりとの距離とか、女子高の感じとか。違う国なのにね。
Posted by ブクログ
台湾の百合小説を李琴峰さんの翻訳で読める、という。
これは読まないわけにはいかない。
1982年生まれの私の学生生活、憧れの先輩、恋と別れ。
繊細な筆致によって、恋愛だけではなく高校生という少女から大人になるときの脆さや危うさを描いた作品。
好きな人の名前を呼ぶ、出会う、その一瞬の特別な、何もかもが新鮮で瑞々しさに溢れていたとき。読んでいて涙が出そうになりました。恋をするってこういうことだったな。
たぶん原文の味をちゃんと残していると思われる、李さんの翻訳も素晴らしいと感じました。ところどころ、日本語っぽくない語順になっているのが面白い。
#向日性植物 #NetGalleyJP