【感想・ネタバレ】世の中への扉 弁当づくりで身につく力のレビュー

あらすじ

いま全国の小・中学校や高校にまで広がっている「弁当の日」を知っていますか?
親は手伝わず、子どもたちが自分でつくった弁当を持って登校する日のことで、2001年に香川県の滝宮小学校で始まり、いまでは全国47都道府県の約1000校で実践されています。
自分で献立を考え、材料の買い出しから調理、弁当箱詰め、後かたづけまで「ひとり」でこなしてつくる。
そんな弁当づくりの体験をつうじて、子どもたちは自己を肯定し、親への感謝の気持ちを持ち、食べ物と命の大切さに気づきはじめます--。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本当にいい話。本棚登録者が二桁なのが勿体無いと感じるほど良本。

香川県の滝宮小学校へ校長として赴任した著者。そこで学校給食会理事会に出席し、給食作りの大変さ、食育の大切さを感じ、2001年から「弁当の日」を始める。

対象は5・6年生。弁当は親に一切手伝ってもらうことなく自分で作る。料理をしたことがない子もいるので、一学期の家庭科で食材の選び方から、栄養バランス、簡単な調理を教える。

子どもたちは弁当作りを通して成長する。

最初は何が入っているかに注目していたが、次第にどこまで自分でやったか(買い物、片付けなど)に重きを置くようになり、最後にはのり巻きを作った子が称賛を浴びるなど、手間のかかる難しい料理をした子が尊敬された。

また、弁当の材料ひとつひとつから、生産者や運送業、電気やガスなど、様々な人に思いを馳せた男の子。

ピーマン嫌いな友達のために、2週間ピーマン入り炒飯を研究したにも関わらず、「ピーマン臭い。」と言われたときの辛い経験。しかし自分自身も、今まで母親に同じことをしていたと気づいた女の子。

単身赴任の父親と入院中の祖母にも弁当を作った女の子。それを食べた父親が、昼休みに涙を流して電話してきたこと。祖母も同様に喜んだこと。

学校一ワルの中学生男子が、きれいな卵焼きが入った弁当を作ってきたこと。教師はその子が父子家庭でいつも料理をしていたことを知り、生徒は「初めて学校で誉められた。」と言ったこと。

弁当作りから生まれた、ちょっと涙が出るようなエピソードが散りばめられている。「弁当の日」は、素晴らしい取り組みだと思った。

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2020年06月27日

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