あらすじ
神社や森で突如感じる神々しさや畏怖の念。このような感覚に宿る生命中心主義、自然崇拝こそ神道の本質である。従来、弥生時代に起源を持つとされることが多かった神道。しかし本書は、縄文時代、さらにはそれ以前から人々に宿るアニミズムの感覚に遡る、より大きなスパンで神道を捉え直すことを提唱。その視点から神仏習合、吉田神道の登場、神仏分離令に至る、神道の歴史を読み解く。さらに、「日常に神道は生きているか?」という現在に直結する疑問に答える形で、ディープエコロジーにつながる神道の原像を明らかにしていく。そして、大いなる自然から贈られ続ける生命に驚き、感謝して生きる「かみのみち」こそが、環境破壊・宗教不信など多くの問題を乗り越え、新たな世界を開く、と説くに至る。宗教学者でありながら、神主、祭りの主催者、神道ソングライターとして伝承文化の見直しと調和ある共同社会の創造を実践する著者による、壮大なる神道文明論。
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Posted by ブクログ
神道を高校生にもわかるようにというコンセプトで書かれた本。
実際は大学生以上のほうがわかる気がする。
大半が神仏混合についての話になっている。
太平洋ネットワーク内の神道といった視点が面白く、
他にも、
神は来るもの、仏は往くもの
神は在るもの、仏は成るもの
神は立つもの、仏は座るもの
という考え方は目新しかった。
Posted by ブクログ
そういえば「神道」というのは、身近なようで何も知らないなぁ、と思い、神道入門に読んでみることにしました。
自然への畏怖と尊敬が根底にあるというのは非常に伝わってきました。また、神道の歴史をざっくりと説明していたため、(こんな経緯があったのか)と興味深く読み進めることができました。
ただ、本書に限らないそもそも論的な話になりそうですが、未だ宗教というものが掴めそうにありません。読む途中途中、(ほんまの真面目に?)と感じてしまう自分が悲しかったです。まだまだですね…。
本書は神道における道具や神々の解説本ではなく、本質的なものを語っているため、目的に合致していれば面白いのではないでしょうか。ぜひ。
Posted by ブクログ
自然に対する畏怖の感覚、仏教とお互いに両立している日本の神道、自分のなかで一番しっくりくるまとめ方であった。
Sense of wonderについてとても興味が湧いた
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
従来、弥生時代に起源を持つとされることが多かった神道。
しかし、本書で著者は、縄文時代、さらにはそれ以前から人々に宿るアニミズムの感覚に遡る、より大きなスパンで神道を捉え直すことを提唱。
その視点から神仏習合、吉田神道の登場、神仏分離令に至る、神道の歴史を読み解いていく。
大いなる自然から贈られ続ける生命に驚き、感謝して生きる「かみのみち」こそが、環境破壊・宗教不信など多くの問題を乗り越え、新たな世界を開くと説く、壮大なる神道文明論。
[ 目次 ]
第1章 神道の環太平洋ネットワーク
第2章 日常に宿る神道
第3章 神と仏はなぜ習合したか―神道の原像と展開
第4章 神仏分離令と民衆宗教―近現代の神道
第5章 神道を日常生活にいかす
第6章 これからの神道
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
古代から現代にいたるまでの神道の歴史のなかから重要な事項をピックアップして紹介するとともに、宮崎駿のアニメや松任谷由実の音楽にも言及しながら著者自身の考える神道の本質的特徴について論じている本です。
著者は、さまざまな地域や文化に見られるアニミズムや、レイチェル・カーソンの「センス・オヴ・ワンダー」にも通じる生命論的な発想が、神道の根幹をかたちづくっていると考えています。こうした著者の主張は、これまでもさまざまな著作のなかで述べられていたので、あまり目新しさは感じませんでした。
また、鈴木大拙の「日本的霊性」に対する批判もくり返されています。これについては以前にも述べたように、個人的にはかなり問題があると考えていますが、神と仏を対比して、「神は在るもの、仏は成るもの」「神は来るもの、仏は往くもの」「神は立つもの、仏は座るもの」と述べられているところにも、おなじ問題が現われているように思います。著者の生命論的な立場は、禅における「即非」の否定性をもたず、全体としての自然への直接的な帰入に陥ってしまう危険性をまぬかれていないのではないかという気がしてなりません。