あらすじ
失恋の痛手もまだ癒えない知可子は27歳のOL。予定のない週末、偶然に会った同僚の有季から彼氏と紹介されたのは、知可子をふった張本人だった。レンタルビデオ店で出くわした男を仮の恋人に仕立てあげ、その場をしのいだ知可子だが、皮肉な恋の運命が回りはじめる…。知可子と、彼女を巡る女たちそれぞれの愛の選択、恋の行方は? 迷い悩みながら、ひたむきに恋する女たちの姿を描く長編。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
解説は角田光代。
角田光代の母の世代を説明している。
物語は,女性の20代後半の模様をうまく描いている。
27歳といえば,今ならたいした歳だとは思われない。
30年前は,結婚適齢期が24歳だったことを思い起こしながら読むといいかもしれない。
それぞれに,自分を考える著者の分身なのだろう。
人は一つの人生しか送れないが,作品の中では複数の人生を歩める。
どれが著者の実像で,どれが著者の虚像なのだろう。
Posted by ブクログ
主人公以外も色々な出来事を経て成長しているのがよかった。いろんなタイプの女性の、いろんな生き方を見ることができて飽きない。
後半、ハッピーエンドになるか気になりすぎて最後のページ先に見てしまった…!
文章は単純すぎず、ひねりすぎずとても心地よく読み進められました。
すごく楽しめました。他の著書も読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
主人公は27歳。
ちょうど、失恋したばかりのOLさんでした。
そろそろ自分の実年齢がそれに近づきつつないこともないんですが……。
全然、その実感はない(ぁ)。
恋愛はちょっと僕から遠い所に墜ちているのだけれど。
まぁ、それはさておき。(所詮僕は、永遠の中二病なので)
この人のこの、気怠い「倦んでる」感じの小説が大好きだったりします。
日常生活に不満があっても、それをうまく言葉にできなくて。
前向きに行動したくても、すぐ、足下にあることに足をすくわれてしまうような、不安定な感じの心情……。
僕には、そのおぼつかなさが、とてもよく理解出来る。
「夢」を語ることを忘れてしまって。
その夢を語れない自分を歯がゆく思う主人公の気持ちはよくわかる。
何かしたい、でも、何か出来ない。
いや、出来ないんじゃない、しないだけ! というじれったさ。
しかも、そこに恋愛が絡むとまた、一大事。
それによって、人は振り回され。
美しくもなったり、醜くもなったりもする。
人に寄って、それは状況によって、それぞれだけど。
それが、人間として自然な姿なんだなぁ、と思って、羨ましくなります。
この物語には、主人公も含めて5人くらいの女の人が、出て来て、皆、それぞれに傷ついて。
それぞれの選択をして。
それぞれ、何かを捨てて。
次のステップへ上がって行く。
でも、そのステップは、正しい方向に進んでるのか。
先に待っているのが幸せなのか、誰も分からない。
それが人生。
それを普通に描いてある、この人の小説はとても好きです。
ぐっと来る感じではないのですが。
じわじわ来るのが、とってもいいと思う。