【感想・ネタバレ】クラシック偽作・疑作大全のレビュー

あらすじ

大作曲家が作曲したとされている作品のなかには、実は偽作と疑作が多数紛れ込んでいる。
ハイドンの『おもちゃの交響曲』「セレナード」、バッハの「メヌエット ト長調」、ヴィヴァルディの「忠実な羊飼い」、カッチーニの「アヴェ・マリア」、ベートーヴェンの『イエナ交響曲』……。

これらの楽曲は偽作あるいは疑作といわれている。偽作とは、その曲の作曲家とされている人物とは別に真の作曲家がいることが判明している作品、疑作は真の作曲家が別にいることが疑われている作品のことをいう。しかし、真作ではないから曲がつまらないというわけではない。先入観なしに耳を傾ければ、感動を覚えるような掘り出し物にきっと出合えるだろう。

これまでまとまった資料がなく、各作曲家の全作品事典や個人のウェブサイトなどに散在していた偽作・疑作の情報の断片をまとめ上げ、貴重な音源情報も網羅した初のガイドブック。クラシックファン必読!

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Posted by ブクログ

「カッチーニのアヴェマリア」からまでマーラーまで
別人の作品であることが明らかな偽作、当人の作品とは確信できない疑作を紹介する一冊。

大作曲家程、当人の名を騙る偽作・疑作は多いので本書でも多くの作品が扱われているのはバッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン

記載情報は既存音源、文献、ネットから集めたもので、
世の定説もあるが集めた情報から著者が導いた仮説もある。
音楽学者ではなくマニアな著者だからこそ集めた情報量としてはかなりのもので資料としては有用かも。
そして、これだけ情報を出されると真作ではないとはいえ、どんなもんだろうと聴いてみたくなる。

まあ私も自他共にバロック、バッハについてはマニアの領域だから、この項において未知の情報はなかった。

久保健著バロック編
『カッチーニのアヴェ・マリア』
ベネヴォリ『53声のミサ曲』
ヴィヴァルディ『忠実な羊飼い』
『アルビノーニのアダージョ』
ヘンデル『ヴァイオリン・ソナタ』
J.S.バッハ
 カンタータ、モテットとシェメッリ歌曲集、ルカ受難曲BWV246、
 ラテン語教会音楽、トッカータとフーガニ短調BWV565、
 AMB音楽帳のクラヴィーア曲、フルート・ソナタ他室内楽作品、
 管弦楽組曲第5番BWV1070
ペルゴレージの『コンチェルト・アルモニコ』
クライスラーの『○○の様式による□□』他

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

真の作曲者が別人と判明している「偽作」。
真の作曲者が他人かもしれない「疑作」。
現代になって明らかにされたそれらの作品とその後を解明する。
はじめに 近藤健児
第1章 カッチーニからペルゴレージまで 久保 健
第2章 ハイドン、高い人気、多い偽作  近藤健児
第3章 モーツァルト、早すぎる死、多すぎる疑作 近藤健児
第4章 ベートーヴェン以後 近藤健児
クラシックの楽曲における、偽作と疑作。
作曲者が匿名で作品を発表したことで、真の作曲者が不明。
師の作品や収集した手稿譜を弟子が筆写する過程での混乱。
後世の研究の際の誤認。
作曲者を詐称しての作品発表。
研究での見解の差異、真贋を巡る評価の変転等にも惑わされる。
バッハ、ハイドン、モーツァルトの偽作と疑作の多さに、驚き。
三大アヴェ・マリアの一つも、長らくハイドン作曲と信じられた
「おもちゃの交響曲」も、偽作の驚き。
更に、ベートーヴェンやシューベルト、ブラームス、
マーラーにも、偽作や疑作、贋作がある。
クライスラーやカサドシュの贋作騒動についても、記述。
だが、疑作であれども名曲はある。
真の作曲家の当時の佳曲が、偽作になっていたことも。それらの
CD、DVDやYoutube等の聴ける音源の情報があるのが、良い。
クラシック音楽については疎い私ですが、大いに楽しめました。
真作、偽作と疑作、贋作が解明されていく過程。
手稿譜発見で覆る、真作と偽作の立場。
手稿譜でも、他者の作品を写したものだったり、
いろいろ危ういことがあるんだなぁと、しみじみ思いました。

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2022年08月16日

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