あらすじ
ヨットレースの最中、髪の毛一筋ほどのきわどさで目撃した落雷の恐怖と眩さ。海面下23メートルに広がる豪奢な水中天井桟敷。杭打ち機の何千トンという圧力を跳ね返すぼろぼろのされこうべ。ひとだまを捕獲する男。冷たい雨の夜に出会ったずぶ濡れの奇妙な男。かけ替えのない弟裕次郎の臨終の瞬間。作家の人生の中で鮮烈に輝いた恐ろしくも美しい一瞬を鮮やかに切り取った珠玉の掌編40編。(解説・福田和也)
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Posted by ブクログ
先般亡くなった石原慎太郎氏のショートエッセイ集。
さまざまなストーリーが語られるが背景がスキューバだったりスポーツカーの運転だったりするところでかなり浮世離れしていて石原慎太郎ならでは、と感じる。
全編通してあふれるのは氏の感性とそれを着実に写し取る表現力だ。
最後の一編、「虹」は実弟の石原裕次郎氏が亡くなる瞬間に立ち会ったことを描いている。
数千トンの重さの杭打機の衝撃を受け止めたしゃれこうべの話、幽霊屋敷の暗いクロゼットに浮かぶ目の話、などこんな経験が…というものばかり。
1989年刊で今は文庫版しか出ていないようだが何故か単行本が手元に残っていたのですこしずつゆっくり再読した。