あらすじ
国民をテレビの前に集合させた男たち
視聴率五〇%を超えた「全員集合」はどのようにして生まれたのか。ザ・ドリフターズを気鋭の論者が舞台・演劇の視点から読み解く。
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作者が偶然この本について語っているのをみてから読んだ不思議な出会いの本。この一文一文を書くのに裏付けを注意深く参照しながら凄く丁寧に書かれているのがよく分かりました。
戦前からの潮流、ドリフターズ、その後
大衆への眼差し
クレイジーキャッツ、コント55号、ひょうきん族
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ドリフターズだけでなく、お笑い史全体を眺めてみたいという目的から読んでみた。自分はドリフといえばヒゲダンスくらいしか知らない程度だったけど、四半世紀にわたって国民的芸能人として活躍する一方で、実は様々な人間ドラマがあることを知れた。新書なのに涙すら少しでた。
もうひとつ思ったことは、ネタには必ずその当時の時事が関連しているということ。当たり前かもしれないが、お笑い芸人ほど社会のあらゆるリアルを観察している人はいないんじゃないかなと読んでいて思った。
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面白すぎてすぐに読み終わってしまった。
ドリフは世代ではないし、メンバーについても志村けんくらいしかほぼ分からない状態だったのだが、
この一冊で1960年代後半からのお笑いの流れがわかった。
また、ドリフの笑いに対する原点や、完璧に作り込む姿勢に感銘を受けた。
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誰もが知るドリフターズの笑いは分かりやすか
ったですね。
当時は眉をひそめる大人もいましたが、今から
考えるとカワイイものでした。
これほど日本中を笑いの渦に巻き込んだドリフ
ですが、その歴史を振り返った本は少ないので
す。
著者はこの本では「ドリフの語りにくさ」を前
書きで語っています。
その理由は、初期の頃からマンネリを言われ、
子供相手に大いに受けた笑いは、わかりやすい
が故に、それ以上の解釈を必要とされなかった
からでは、と考察しています。
しかしドリフは今も連綿と続く「お笑いの歴史」
を作ってきたのです。
あのドタバタギャグの裏には、こんなに苦難に
満ちた歴史があったことに驚かされます。
これほどまでに多くの国民が共有した演劇は、
歴史上に他にはないと言われるドリフターズ。
その全てを知ることができる一冊です。
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僕が生まれる前に活躍したドリフターズというテレビ黄金期のタレントにフォーカスした本。今のYouTuberの行く末にも通ずるところがあり大変勉強になった。喜劇とは笑わせることだけではなく、哀愁も必要だということ。
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昭和を代表する国民的グループ、ザ・ドリフターズ。その結成から終焉まで「全員集合」を中心に描く。
自分にとって昭和のお笑いと言えば何より思い出すグループ。欽ちゃんともひょうきん族とも異なる笑いの世界。
実はもともとはクレイジーキャッツと同様のバンドグループ。確かに思い出してみると高木ブーや仲本工事、加藤茶が嬉々として楽器を演奏していた場面を思い出す。
いかりや長介のリーダーシップ、天才加藤茶。そして荒井注から志村けん。
ドリフのコントの特長は徹底的な稽古主義と生中継。木曜からひたすら稽古、直前まで台本を書き換え、土曜夜の公会堂での生中継に備える。本書は美術等のスタッフの証言も多く記録されている。
お化け番組の「8時だョ!全員集合」が続く中、いかりや長介と志村けんの確執。師匠の元を離れても結局はいかりや長介とそっくりの演出方法になるところがなんとも。メンバーの絶妙のバランスがあったから成り立った奇跡的な笑いの世界。
昭和の後半を過ごした、ドリフのリアルタイム世代の人なら何より楽しく読める内容だろう。
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芸能史・演劇史から見たドリフターズ。
そもそもこの様な著作自体が無かったし、小学生の頃に「全員集合」を見て育った世代なので、その成り立ちからの記述は興味深く面白かったし、新鮮に感じた。
ドリフはクレージーキャッツの流れを汲むのだろうけど、自分はクレージーの世代ではないし、ドリフ後に後を継ぐ者も居ないし、ドリフは唯一無二の存在。
もう長さんだけでなく志村さんもいないのだな。。。
あぁ、昭和は遠くなりにけり。
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多くのバンドがめまぐるしくメンバーや名前を変えて活動していた時代。
ドリフターズという名を付けたバンドが日本にできたのは1956年。
坂本九や小野ヤスシもドリフのメンバーだったことがある。
いかりやが参加するのは1962年(31歳)。同じころに加藤も加入(19歳)。
1963年は、小野ヤスシ、いかりや、加藤、その他5名の8人構成で、木の実ナナも参加していた。
当時はクレイジーキャッツのようなコミックバンドが数多くあり、ドリフもその路線を継承することになる。
1964年に小野ヤスシら主力メンバー4人がドンキー・カルテットを結成して離脱する。
ドリフはバンド存続のためにメンバー探しに奔走し、64年に高木(31歳)、荒井(36歳)が加入する。
何人かメンバの入れ替えがあり、65年に仲本(23歳)が加入。
間もなく、いかりやをリーダーとするお馴染みの5人組で新生「ザ・ドリフターズ」が始動する。
1966年、ハナ肇が酔った勢いで芸名をつけた。
ベース 35歳 碇矢長一 → いかりや長介
ドラム&ボーカル 23歳 加藤英文 → 加藤茶
リードギター 33歳 高木友之助 → 高木ブー
キーボード 38歳 荒井安雄 → 荒井注
ギター&ボーカル 25歳 仲本興喜 → 仲本工事
当時は知らなかったが、メンバの年齢差が15もあるグループだった。
後に加入する志村は、いかりやと19もの年齢差がある。
そして、1969年10月に「8時だよ!全員集合」が始まる。
裏番組が、巨人戦の中継と人気絶頂のコント55号であり、視聴率を稼ぐには厳しい時間帯であった。
ちなみに、前後の番組は「お笑い頭の体操」と「キイハンター」。
1974年の荒井注の脱退に伴い、見習いだった志村けん(24歳)が正式メンバに昇格する。
キーボード奏者がいなくなり、コミックバンドとしての役割が終わった。
1985年に「全員集合」が終了し、その後は月に一度の「ドリフ大爆笑」がドリフの代表番組になる。
ドリフ大爆笑では、「威勢のいい風呂屋」とか「長介・工事 バカ兄弟」「長介・工事・ブー おなじみ雷様」が印象に残っている。
沢田研二と志村けんの「鏡」のコントも面白かった。
今でも「ドリフ大爆笑」スペシャルや、過去の再放送をやっているので時々観る。
いろんな笑いが生まれ、漫才ブームなどで言葉の笑いが中心になっているためか、ドタバタしたナンセンスコントには希少価値がある。
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前書きの通り、日本芸能、お笑い、TV史に燦然と輝くドリフターズなのに語られる本がほとんどなかった。
再現ドラマ等もいくつか出てきているので知っている話もあったけれど著者のドリフターズ愛が伝わってくる好著
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演劇史のなかに位置づけたドリフターズの評伝。リアルタイムで記憶にあるのが東村山音頭以降だったから、ドリフターズ結成前史や『全員集合』以前の物語は知らなかったことばかり。
志村けんについていかりや長介と比較して論じているところは読み応えありです。
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演劇研究者によるドリフターズの本格評伝。各メンバーの生い立ちから、結成過程、『全員集合』を経て、志村けんの死去までが綿密に綴られている。この際に、疎開、進駐軍とその撤退、集団就職、編集の進歩といったメンバーを取り巻く社会や技術が与えた影響に目配りされているのも特徴。そして本書全体を通じて、いかりや長介と志村がどのような喜劇思想を抱いていたのか、その舞台美術や観客との関係にはどのような特徴があるのか、これらは近代演劇史においてどう位置付けられるのかも、説得的に明らかにされている。
筆者が指摘するように、『全員集合』はあくまでも舞台の生中継であった。テレビ芸ではなく舞台演劇の歴史のなかでドリフターズを捉える本書の視点はとても効果的であり、それゆえにドリフターズのみならず「その時代」が熱気とともに描かれている。
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本書も、手にとっては戻し手を何度か繰り返し、その間に複数回の書評採択を目にするにつけ、最終的に読んでみたくなったものの一。結果、これは読んで良かった。破天荒を好まない家庭に育ったこともあり、幼少時にTVで見たのは、もっぱらドリフ系の番組。本書を読んで改めて感じたのは、ドリフの目線が全世代に向けられていたという事実。思春期以降の学生時代、コアな方向に気が向いて、ドリフからも興味が薄れていった訳だけど、たまたまか、ちょうどそれがドリフの凋落と軌を一にする。あくまでコミック・バンド、というのもなるほどって感じで、そういえば確かに、先だって読んだ”1989年~”でも、ドリフのことはあまり取り上げられていなかった。志村けんの訃報に触れた際、思いのほかうろたえている自分に驚いたんだけど、沁みついた記憶に基づく部分が大きかったんだな、きっと。そして、本書最終章に涙しそうになる。
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今は伝説となったコメディアン、ドリフターズの源流を辿る。
コミックバンドからの流れ、クレイジー、コント55号との切磋琢磨、その後の世代との対峙など漠然としか知らない日本のコメディ史を学び直すことができた。
各メンバーの生い立ち、出会いから描かれており、音楽的な要素、歌舞伎的な要素などドリフターズが何に影響を受けてきたのかという点がとても興味深かった。
これからのエンタメを見ていく中でも立ち返るべき示唆に富んでいる。
Posted by ブクログ
まず、この本を読んでいる最中に仲本工事さんが亡くなってしまった…本当に残念です。ご冥福をお祈り致します。
私は世代的に全員集合の記憶はほとんど無く、ドリフ大爆笑やカトケン、だいじょぶだぁ世代
とにかく、ドリフのコントが大好きでよく観ていました。そんな感じでドリフターズは大好きなコントグループなので、その歴史がまとめられた本作はとても興味深い内容でした
特に、ドリフターズの結成までの奇跡的な系譜、全員集合時代の出来事は凄まじさは知らないことだらけで驚きの連続でした
後半はそれぞれのソロ活動に関すること、その中でも志村けんさんといかりや長介さんの対立、和解、長介さんの死、志村さんの晩年、最後の喜劇王と言われる所以についてもわかりやすくまとめられていました
ドリフファン必読です
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なんで!この本読み終わった日に仲本工事が死んじゃうなんて!
…
と二日前に書いてから、感想書けなくなっていますが、本書を読んでビックリしたことをメモしておきます。ドリフターズの生みの親は桜井輝夫というバンドマンであり、いかりや長介はコミックの出来るバンドマンとして呼ばれたこと。桜井が狙っていたのはクレイジーのロカビリー版。しかし、コミックバンドとしての実績が出来るうちに、オーナー桜井、リーダーいやりや、という体制にシフトしていったこと。オーナーに対する責任感がいかりやを独裁的にしていったこと。ドリフのメンバーの芸名は渡辺プロの宴席で酔っぱらったハナ肇がノリで付けたこと。メンバーは不満だったこと。渡辺プロの戦略で「8時だョ!全員集合」がいったん終了しクレイジーの「8時だョ!出発進行」に変わったこと。これは子供心に覚えていて面白くなくなった感じを体感しています。ダメだ、もっとメモしたいこといっぱい。でもここまで書いてみて、クレージーキャッツは高度経済成長の太陽みたいな存在だとしたら、ドリフターズはポスト高度経済成長期の月みたいな存在だったのだろうな…と。
もうひとつだけ本書を読んで納得したこと。高木、仲本、加藤はずっとプレイヤーだったけど、志村は最後まで演奏出来なかったこと。志村のファンクに対する愛情がヒゲダンスや早口言葉を生んだのは知っていましたが、プレイするという職人体質じゃなくて、音をギャグの道具に出来たのは楽器を弾けなかったから、なのでは…と妄想しました。いやー語れる本です。ズンドコ節の仲本工事パートってめちゃセクシーだったものな…ギャグ成分無しでカッコよかった。合掌。
Posted by ブクログ
ドリフターズの誕生から現在までを、社会の流れと合わせて綴った内容は、壮大なドラマを感じさせて読み応え抜群。特にクレイジーキャッツと比して、ドリフが高度経済成長期の影の部分を背負っていたという指摘は目から鱗。だからこそドリフは今でも愛されるんだな。
Posted by ブクログ
著者の解釈の部分は別として、よく調べて書いている。ミュージシャンとしては、確かにドリフはヘタだった。志村のギターも演奏になっていなかった。荒井注に換わって出て来た時はあまりの頼りなさに「だめだ、コリャ」と思ったが、コメディアンとしては大成したのかな。ミュージシャンとしては高木ブーなのかな、ウクレレで。
Posted by ブクログ
面白い。確かにドリフの歴史を追っていけば、
そのまま日本の喜劇の歴史になります。
私はやっぱり
「いっちょめ、いっちょめ、わおー!」
が最高ですね笑