あらすじ
被告人は無罪か、有罪か?
裁判員として公正であろうとした婚約者は何故姿を消したのか。
裁判員だった主人公がたどりつく、意外な真相とは――
読みながら、彼女の無事を願わずにはいられなかった。/織守きょうや
ごく普通の一般人である二宮智樹はある殺人事件の裁判員として裁判に参加することになる。その裁判では、美容師の男が若い姉妹を殺害した事件が裁かれることになっていた。智樹ら裁判員の多くが美容師の有罪へと意見が傾くなか、八木麻衣子と名乗る若い女性は美容の無罪の可能性を訴える。だが評決になって、麻衣子は一転して有罪へと意見を変え、美容師には死刑判決が下る。裁判から数か月後、智樹は麻衣子とつきあうようになり結婚を申しこむが、なぜか麻衣子はそれを拒む。折しも美容師の事件の控訴審が開かれ、麻衣子は再び美容師の冤罪の可能性に言及していた。その矢先、麻衣子は忽然と姿を消してしまう――。
横溝正史ミステリ大賞・優秀賞作家、渾身のリーガルミステリ!
金子幸代・装画
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
デビュー作『人間狩り』で心を鷲掴みされた犬塚理人さんの三作目となる本作も期待を裏切らない。
裁判員制度にミステリを絡めたテーマは新鮮。
リーダビリティ抜群の文章で頁を捲る手が止まらない。
サイコパスを匂わせる衝撃的なプロローグから裁判シーンへの切り替えは鮮やか。
人が人を裁く事の重責、裁判員の葛藤が伝わると共に、誰かの悪意によって冤罪が作られていく可能性に恐怖を感じる。
本作では人間の多面性も描かれ思い込みの危うさと本質を見極める事の大切さを改めて気付かせてくれる。
終盤に至っては緊張感がピーク。
まさかの黒幕に驚愕。
Posted by ブクログ
裁判員裁判に関わった男女の物語。
プロローグ
第一章 第一審
第二章 控訴審
第三章 失踪
第四章 接触
第五章 ナカタ
第六章 贖罪
エピローグ
姉妹殺人事件の裁判員を務めた智樹と麻衣子は、裁判後、付き合うようになり、智樹は婚約を申し込んだが、麻衣子は担当した裁判の控訴審が出るまでと保留したまま、姿を消してしまう。
一審判決で死刑を選択した裁判員たちだったが、えん罪ではないかとの疑惑を持ち、動き出していた麻衣子を、追う智樹。
次第に事件の真相が見えてくるにつれ、麻衣子の贖罪の気持ちが明らかになる。
とても読みやすく、伏線もわかりやすい。
でもいい意味で、裏切られた結末は心地よかった。
Posted by ブクログ
裁判員制度の裁判員を務めた麻衣子と智樹。
犯人を有罪と思う裁判員が殆どの中、麻衣子は無実を疑っていたが最終的に有罪だと思い、裁判員としての任務を終了し第一審は終わる。
2人はその後偶然の再会の後交際を始める。
しかし、控訴され第二審を傍聴しに行った麻衣子はそのまま行方不明になり、智樹は麻衣子を捜し出そうとして見えてくる事件の真相。
裁判員となり、自分が下した判断による葛藤、責任感、裁判員の難しさ。
この場に自分もいたら、有罪の判決をしていたと思う。
話しに引き込まれてあっという間に読み終わりました。
Posted by ブクログ
二宮智樹は姉妹を殺害した事件の裁判員として裁判に参加する。
被告人である五十嵐を有罪とする意見が多いなか、八木麻衣子だけは無実の可能性もあるのではないかと言っていたが、最後の評決になって有罪へと意見を変え、五十嵐には死刑判決が下る。
裁判後に二宮と麻衣子は付き合うようになるが、五十嵐の控訴審が開かれたあと、麻衣子は忽然と姿を消す。
五十嵐が犯人ではなかったのか⁇
麻衣子は真相を調べるために動き、行方不明になったのか?
麻衣子の行動を辿ろうとするべく奔走する二宮が、真相を追う。
読み始めると気になって、ページを捲る手が止まらなくなった。
裁判員になったとき、法の素人である自分が果たして感情を交えずに裁きを行うことができるのか…と思うと難しいと感じた。
ひとりの人間を自分の判断によって、その後の人生を左右することになることの重責に耐えられるのかと想像するだけでこわくなるのだが、冷静で公平な目で判断するしかないのだろうと…。
Posted by ブクログ
怪しいと思っていたひとは全然犯人じゃなかった(^_^;)
っていうか、最後の20ページくらいまで誰が犯人かまったく分からなかった。
裁判員裁判の制度にクローズアップした作品でおもしろかったです。
Posted by ブクログ
犬塚理人さんによる裁判員裁判をテーマとしたリーガルミステリー。マンションの一室で姉妹を惨殺したとして、殺人事件の罪に問われた被告は、裁判員裁判にかけられる。有罪に慎重だった裁判員の麻衣子が突然意見を翻して、結局は犯人は有罪となるのだが、その後冤罪ではないかと疑いだした麻衣子が失踪してしまう… 同じく裁判員だった男性が麻衣子を追い、真相へと近づいていくのだが… 被告は犯人なのか冤罪なのか最後までわからず。冤罪と裁判員裁判といった重いテーマながら、エンタメ的に仕上がっている面白い作品だった。
Posted by ブクログ
裁判員裁判が題材に描かれていますが、内容的に難しいことはなく、テンポよく物語が進んでいきます。
人間味が溢れる描写もありとても読みやすい作品でした。
ただ、性暴力の事件であるが故に、犯人の残虐性も際立つと思うのですが、読む人を選んでしまう可能性もあるような気がします。
Posted by ブクログ
04月-07。3.0点。
同居している姉妹二人を殺害した被告の裁判員裁判、被告は死刑になるが、当初より「はめられた」と無実を主張。
裁判員で出会った女性と交際し、結婚を申し込むが、答えを保留され。。。
うーん、ありがちなストーリーかな。あっけなく冤罪だったという感じだが、二人も殺害されているので、もっと綿密に捜査するんじゃないかな。
Posted by ブクログ
❇︎
選任された裁判員が裁判官と共に
審理に参加する裁判員制度。
裁判と向き合う裁判員の心の葛藤と
関係者の思惑が絡み合った事件の真実に
迫る物語。
ーーー
以下、あらすじ。
姉妹二人が殺害された事件の裁判で裁判員に
なった二宮は、裁判後同じ裁判員だった
八木麻衣子と偶然再会し付き合うことになる。
麻衣子は裁判中一貫して被告人よりだったが、
判決を確定する最後の場で判断を無罪から
有罪に変化させていた。
二宮は麻衣子の様子に当時から違和感を持って
いたが、二人の関係が悪くなるのを恐れて
理由を問うことは出来なかった。
裁判の最中から被告人は無実ではないかと
疑念を抱いていた麻衣子。
第二審の控訴審傍聴に行った後から様子が
おかしくなり、突然行方不明になってしまう。
麻衣子の失踪が裁判に関係すると考えた二宮は、
足取りを辿って事件の関係者へ話を聞いて回る。
裁判中には分からなかった被害者の別の顔が
次々に現れて新たな事実が明らかになる。
なぜ麻衣子は姿を消したのか。
裁判で有罪と考えた判断は正しかったのか。
事件の本当の犯人は誰か。
裁判と二つの事件が交錯する物語。