あらすじ
東京新聞で連載中の人気子育てエッセイが、書き下ろしを加えて待望の書籍化。ひとり娘・なまこちゃん(愛称)の幼稚園卒園までを見守った6年間。娘と向き合うなかで初めて気づいた自分自身のことや、周りの人たちへの想いを綴った日々の記録。書き下ろしは、特殊な環境に育った子供時代の両親や自身についてはじめて語った「生い立ち」をはじめボリュームたっぷり。
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Posted by ブクログ
美雨さんの文章は、とても独特な感性に包まれていると思う。
何となく江國香織さんの文章に似ていると思った。
とても素直で本能的で、でも女性らしく繊細で。
そんな文章で綴られた育児日記。
ご本人もおっしゃっているように、育児というよりは徒然と日々のお子さんの様子を綴っているのだが、それが本当に読んでいて、心地よい。
自分もこんな風に、気楽に子育てをするべきだったのでは、という思いに駆られる。(決してご本人は気楽ではないのだろうけど)
今だから思うのかな、また子育てを1からやり直したい、もちろん娘たちの小さい頃に戻って。
Posted by ブクログ
坂本美雨さんの 愛情たっぷりの子育てエッセイ集。
冒頭で、「私は忘れてしまいたくない記憶まで、いつもすぐに忘れてしまう。だから、忘れないように書き留める。いつか娘に”こんなに愛されて大事に育てられたんだよ”と伝えられるように」みたいなことが書き綴られていて。
私も全く同じ考えで、”確かなこと”まで忘れてしまうことが怖くて、何でも書き残さないと済まない性分で一気に好感を持てた。
父が、坂本龍一さん、母が、矢野顕子さんという、世界的にも超ビッグアーティスト才能を受付いだ家系で、ご自身もアーティスト活動されているという特別な環境で育ちながらも、驕った部分が1ミリも感じられず、とても身近に感じられる存在。
でありながらも、それでいて自分軸がしっかりとあり、思考回路も柔軟で、ブレない自分の意志や考え方をしっかり持っている。
「こどもの命はこどものもの、それと同時に、母の人生も母のもの!」とか、とても美雨さんらしい。
複雑な家庭環境だったはずなのに、一体どんなふうに育ったら、こんなに愛情たっぷりの真っ直ぐな性格に成長するのだろう。
きっと40歳になるまでに、色んな苦難もあったのだろうなぁとは想像するのだけれど。
とにかく最初から最後まで母性120%ダダ漏れだった。
娘ちゃんから「洋服の力を借りるよりママが一緒にいることのほうがチカラがでる」と伝えられ、「なんてこったーい」と文字通り「とろけた」エピソードとか。
私もとろけた。
佐治先生との対談がとても印象的だった。
命の誕生について、「自分が子供をもつということは循環をしていくこと」だと。
「138億年前に一粒の光として生まれた宇宙は、急速に膨張して温度を下げ、その光のしずくが集まって最初のお星様が生まれました。そして星は光り輝く過程で命の材料を含む沢山の物質を作ります。やがて光るためのエネルギー源が枯渇すると、バランスを崩して大爆発という形で終焉を迎え、バラバラに飛び散った星の欠片が、再び集まって地球が出来、生命が誕生しました。
つまり、私達は星の欠片であって、星の終焉が無ければ、命が生まれることは無かったのです。
一つのものが終わったようで、実は始まっているんです。
全てが繋がっている。それが循環ですよね。
お子さんを持ったお母さんがそれを感じるというのはすごく大事なこと」
佐治先生がカナダの先住民の祈祷師の話にも触れ、
「子供というものは一時預かりの存在であり、親が子供を独占してはいけない」
母親の役割は『世の中はこんなにあたたかいだよ』と教えること。
父親の役割は『世の中はこんなに広いんだよ』と見せること。
『子供は私有物ではない』ということ。
私はもう46歳になってしまったけれど、若い歳で3回流産し、結局、子宝には恵まれなかった。
こんなふうに、子育てをしたかったなぁ。
こんなふうに、子育てをされたかったなぁと。
”心から溺愛する自分の子供がいる”っていいなぁ。って羨ましい気持ちでいっぱいになった。