【感想・ネタバレ】ペガサスの記憶のレビュー

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Posted by ブクログ

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今まで桐島洋子氏の本は読んだことがなかった。
ただ氏に関しては、世間の評判で漠然と、自由奔放に生きてきて、自身も著名な作家でありながら、恋を楽しみ、才能ある子どもたちを育ててきた、、、といった一般的な知識しか持ち合わせていなかった。
しかしこの本を読んで、、、どうだろう!なんと驚くべき行動力と自由な感性、そして恵まれた裕福な家の出身だったことか、ということに驚愕した。
しかも今年亡くなった私の母と同年齢とは、、、
そしてそれほどまでに色々な意味で活発で優れた女性が今はアルツハイマー病であるということに、途方もなく切ない気持ちになる。
ただ、作品は残る。
常に独自の感性で刻まれた数々の文章は、今後も読者を魅了し続けるのだろう。
私も他の作品も読んでみたいと思った。
独自の感性で育てられた子どもたち、(彼らは私と同年代だが)、彼らの人生もまた波瀾万丈であったはずだが、桐島氏を穏やかに見守るファミリーの力強い絆を感じた。

この本は私の中で今年一番の作品でした。

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2022年12月26日

Posted by ブクログ

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三菱財閥の一族の1人として育った筆者。舞台は上海、葉山、東京と次々移り変わる。勤務先の文藝春秋には仮病で2ヶ月の休暇をとってる間に第一子かれんを出産。第二子ノエルは世界一周旅行終盤の船上で出産。第三子はベトナム戦争従軍記者として日本を離れいる間に..。そして、3人すべてアメリカ海軍中佐との隠し子なのだから、筆者の人生そのものが小説より奇なり、の面白さ。至って真面目で、大胆不敵。聡明で驚くばかりの行動力。

この小説は前半は桐島洋子の回顧録、後半は筆者洋子の3人の子どもたち、かれん、ノエル、そしてローランドの3人の手記から成っている。子どもの立場から見た親の姿の描写が親である私として、大変面白い。

編集者、文筆家であり母親でもあった洋子の真実と、3人の子どもたちから見る真実。人間として母をリスペクトしそれぞれが母親を支える姿は、複雑でありながら美しいと思う。

常識に囚われて、べき論を掲げてしまう母親である自分に恥ずかしくなりながら、彼女の型破りな行動力と桐島家という血筋に羨ましくもなる一冊。

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

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「聡明な女は料理がうまい」という素敵なタイトルの著書があることくらいしか桐島洋子を知らないのだが、家族ぐるみで書いた最新刊が出たということで、内容も知らないまま読んでみた。
驚いた。
前半は完全に桐島洋子の自伝である。想像もつかないほどのお嬢様として育ち、戦後ありえないほどの没落を経験し、都立駒場高校から文藝春秋に入って活躍するも婚外子の極秘出産を重ねるため退社、世界一周の末帰国前夜の船上で第二子を出産……とても一人の人間のうえに起こった事実とは思えない経歴である。時代性もあったとはいえ、生粋のヒロイン体質といえるであろう。そのうえとにかく筆が立つので自分自身のことを面白おかしく書き作れるのであるから、なまじなドラマを観るよりも断然面白い。
ところが物語はその第二子誕生でブッツリと途切れてしまい、そこから先は3人の子供たちによるリレーで話が進むのである。それぞれに有名人な子女ではあるが、とても母のようなヒロイン気質でもなければカリスマ性もない。物語は淡々と進み、それなりの山や谷はあるもののカタルシスは特にないまま、現在へと至る桐島洋子とその家族の物語が語られていく。
これはいったい何?
キツネにつままれたような気持ちで「あとがき」にたどり着いた時、はじめて事情がわかった。桐島洋子はアルツハイマー型認知症となり、症状の進行により連載が続けられなくなったため、その続きを子供たちで書き継いだということなのだそう。
病気は不可逆であるからこういう形しかなかった、いや、こういう形ででも前半をそのまま読める形で世に出たのは良かったとは思うが、最後まで桐島洋子の筆で読みたかったというのが正直なところではある。ただその場合は、子どもたち、特に桐島かれんが書いていたような母への愛憎や葛藤はなかなか読み取れない内容になっただろうし、物議を醸した結婚相手との経緯もおそらく全く違った形で語られたであろう。子どもの立場からの客観的な描写を知った後だと、さらに、桐島洋子自身がこの時期をどう書いたかにとても興味が湧くのであるが、これは無い物ねだりかもしれない。
ちなみに、子どもたち3人の文章のうち、上ふたりはまあフツーの文章なのだが、末っ子長男ローランドの文章はなぜかメチャメチャ日本語のうまい外国人のしゃべり口を彷彿とさせた。ピーター・バラカンとかパトリック・ハーランとか。この部分だけ口述筆記だったのかなあ。どうでもいいことでした。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

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第一章 洋子の章
一緒に冒険しているような⁉︎
なんという、生き方。

第二章 それぞれ姉弟目線。

面白かったぁ。
ページを捲る速度の速いこと、そして、じっと見入るその時々の家族写真…。

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2023年07月25日

Posted by ブクログ

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子供を1年間も病院や知り合ったばかりのアメリカ人家庭に預けたりする。家庭のある人と恋愛し相手の家庭を平気で壊す。子供の居場所を無くすような男性と結婚し、子供に絶縁状を書かれる。それにも関わらず、子供3人がひとかどの大人になり、それぞれに活躍し、母を尊敬していることに驚きしかない。
世の中本当に不公平

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2023年03月17日

Posted by ブクログ

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たまたま財閥や著名な方などとお知り合いがいて、恋をすることが好きでロマンチストで優雅な人生を過ごされたんですね。
ジェンダーという言葉がない時代に男勝りに仕事をやり、シングルマザーで子育てし成功者と見ていましたが、姉弟3人のお話を聞くとメディアで言っていたこととは違ったようですね。

ノエルさんとローランドさんはもっとお母さんに甘えたかったんですね。
あと個人的にカレンさんのスクール水着は笑いました。
洋子さんよりもカレンさん、ノエルさん、ローランドさんのほうが波瀾万丈だったと伺えます。

洋子さんの影響なのか、リベラルなご家族だと感じました。
一度参院選に出馬したローランドさんは洋子お母さんの自己責任的な生き方を賞賛しているようですね。そうなると「世の中の人も自己責任的に生きれば良いのか」という疑問が残りました。
今の時代、仕事したくても仕事ができない障害のある人や、育ちの環境により、人とうまくコミュニケーションが取れない人や、社会とうまくやっていけない鬱になってしまった人などを、ストレスなくみんなが平等に生活ができるようにしたいと取り組んでいるZ世代など、若い人たちからすると温度差があった内容でした。

アーティスト、クリエイターやデザイナー、お金や時間にゆとりのある方なら、共感できる本だと思いました。

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2022年09月12日

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