あらすじ
縄文土器においてすでに、活力溢れる蛇の造形が数多く見られる。蛇に対する強烈な畏敬と物凄い嫌悪、この二元の緊張は注連縄(しめなわ)・鏡餅(かがみもち)・案山子(かかし)など数多くの蛇の象徴物を生んだ。日本各地の祭祀と伝承に鋭利なメスを入れ、洗練と象徴の中にその跡を隠し永続する蛇信仰の実態を大胆かつ明晰に検証する意欲的論考!
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Posted by ブクログ
本屋さんでタイトルに惹かれて購入。
「蛇 -日本の蛇信仰-」ってなんかグッと来ませんか!良いタイトル&テーマですよねー。
(本屋さん曰く”民俗学系の文庫でかなりオススメの本なんですが、POPも書かず、説明も特にしてないのに非常によく売れる”とのこと)
この本は、
古代日本の蛇への信仰が、今も残る習俗・言葉にどう残っているのか?
をまとめています。
人間が蛇を怖がるのは、
昔恐竜に追い回されていた記憶が残っているからだ、
なんて記述がドグラ・マグラにありますが、
確かに蛇に対して感じる不気味さ、怖さというのは、どこか本能的なもののような気がします。
蛇に関する伝承は、
古代日本やインカのように畏れ敬うか、
それともキリスト教のように嫌悪し排斥するか、
と真っ二つに別れるのは、
この本能的な怖さのせいかもしれません。
この本には、
鏡のヤマト読みの”かがみ”は、
”かが”(蛇の古語)+”め”(目)
が元々の意味であり、蛇の目を模したものである、や、
鏡餅はとぐろを巻く蛇の姿を模したものである、
など、今まで知らない説が書かれていて、
実に興味深く読みました。
記紀などの資料の引用から、結論を導いていくのですが、
なかなかその過程が楽しいです。
(ただ、現代語訳が書かれていない個所があるので、
ちょっと時々辛いものがありましたが。。)
また、なぜ現代に本来の意味が残っていないのか?
という類推、古代日本の人々の死生観と蛇への考察なども、
ボリュームがあって楽しめました。
いやー面白かった。