あらすじ
人と自然の関係が変わる!生態系を回復させ、温暖化まで止める「奇跡のカーボン・ファーミング」とは?
有効な温暖化対策「カーボン・ファーミング」としていま脚光を浴びるリジェネラティブ(環境再生型)農業。その第一人者による初のノンフィクション。
4年続いた凶作の苦難を乗り越え、著者が自然から学んだ「土の健康の5原則」。そこには、生態系の回復や カーボン・ファーミングのエッセンスが凝縮されている。地中の生態系のはたらきを阻害さえしなければ、あらゆる土が真に「生きた土」に変わる。さらに、やせた土地の回復は、農業の衰退、食料危機、環境破壊、気候変動問題などの対策にもつながるのだ。
21世紀のさまざまな課題解決の糸口となり、自然への見方が変わる、野心的な〈土壌のバイブル〉!
【目次】
日本版に寄せて/はじめに いちばんの師
第1部 道のはじまり/第1章 絶望からの出発/第2章 自然をよみがえらせる/第3章 リジェネラティブの目覚め/第4章 牛が牛でいられるように/第5章 次世代に引き継ぐ/第6章 “自然そだち”
第2部 理想の「土」を育てる/第7章 土の健康の5原則/第8章 カバークロップの偉大な力/第9章 土さえあればうまくいく/第10章 “収量”よりも“収益”を
おわりに 行動を起こす
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
リジェネラティブ農業により、栄養素が高くなる。またカバークロップによるCO2削減、水の効率的な利用(CO2削減)と言った現代のカーボンニュートラルを解決する農業になる
Posted by ブクログ
アメリカの環境再生型農業のパイオニア
ゲイブ・ブラウン
そのルーツは日本の農哲学者、福岡正信『自然農法 わら一本の革命』から影響を受けていると知り感激。
慣行農業の負の歴史から、リジェネラティブ(環境再生型)農業へと時代は変わっていく。いや、むしろ環境再生型農業が本来の食料生産の形であり、ありのままの自然なのだ。
ようやく世界が"気づき"始めてきた。アメリカという大国が農業というシステムを根本的に変えていけば世界も賛同していくはずだ。
福岡正信を生んだ日本は、相変わらず周回遅れどころか有機農業自体が圧倒的少数派であるという残念な状況。立ちはだかる壁は大きい。
自分たちだけじゃない。未来の世代の為にも"見方"を変えていくしかない。
Posted by ブクログ
農業で土の栄養が大事なこと、土の栄養は微生物がどれだけ生息しているかに直結する。
耕作や化学肥料は土壌の微生物を減らす方向に働き、土地がやせ細り、農作物の収穫量や栄養が減る。さらに、化学肥料を含んだ水分が川などに漏れだし、環境に影響がある可能性がある。
長い目で農業を持続可能とするためには、化学肥料を減らし、土壌の微生物を増やすようにする。その方法として、カバークロップを使うことを本書で上げている。
土壌の影響や農作物の収穫量、栄養などを科学的に分析出来ていれば、無駄に化学肥料や除草剤を使うことにならなかったのではないか?
そこのなぜ?の部分が解明出来ていなかったから、化学肥料に頼ることになってしまったのか?
環境再生型農業と訳されるリジェネラティブ農業。その実践家で、第一人者の著作が待望の邦訳化。
この手の思想に精通した訳者により、非常に読みやすく翻訳されている。
著者がリジェネラティブ農業の道を歩むようになったエピソードをベースに、栽培技術、自営農家の経営や相続、慣行農法の課題など幅広く紹介されている。
リジェネラティブ農業とは一体何か、と思ったときに先ず読む本としてオススメできる。
Posted by ブクログ
農場経営者。気候変動対策として、いま世界で注目を集めるリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の第一人者。アメリカ、ノースダコタ州で2,000ヘクタールの農場・牧場を営む。妻と息子の家族3人でたび重なる危機を乗り越え、化学肥料・農薬を使わない不耕起栽培によって自然の生態系を回復させる新たな農業を確立した。その農場には国内外から毎年数千人の見学者が訪れるほか、講演やメディア出演も多数行い、世界中にメソッドを伝えている。米国不耕起栽培者賞、天然資源保護協議会から成長グリーン賞を受賞。
Posted by ブクログ
「小さな変化を生み出したいなら、やり方を変えればいい。大きな変化を生み出したいなら、見方を変えなくては」
この言葉が印象的でした。どんなことに置いても言えることだろうと思います。畑仕事はしないけれど、小さな植木鉢やプランターでも何かヒントにかるかもしれないと思いました。
Posted by ブクログ
生命がいかに土によって育まれているのかということ、それを未来永劫にわたって続けるためには、育まれている側も、土を育むという視点を持つことがいかに大事か、と考えさせられる。
持続可能な農業(経営)についての勉強になるだけでなく、まずは自分も庭で植物を育てながら土を育ててみたいな、という気持ちになれる、温かい読後感を抱く一冊でした。
Posted by ブクログ
ゼロ・ウェイスト・ホーム、ゼロ・プラスチック生活と服部さんの翻訳の本がとても良かったので、「土を育てる」も続けて読んでみました。
農業に携わったことのない私でも、
頑張って耕して、肥料入れて、消毒して、、、という農業のイメージと全く逆のアプローチはとても新鮮でした。
土の6原則
1.土を機械的、化学的になるべくかき乱さない
2.土を覆う
3.多様性を高める
4.土の中に生きた根を保つ
5.動物を組み込む
6.背景の原則
土の中に多くの有機物や水を溜め込める農地を作ることは、温暖化対策や洪水予防としても有効です。
Posted by ブクログ
面白い。ただのノウハウ本ではない。確かに御多分に洩れず成功者の話ではあるが、単に農に限らない学びがあります。環境問題や人生哲学など。
しかし成功者の話っていつも、失敗から学べ、が含まれている。でもそれは成功者の話なのだ。と思う。
Posted by ブクログ
著者が示す5つの原則は、化成肥料や除草剤など、近代のテクノロジーがなくてもできることばかりだ。
そうすると、こんな疑問が生じる。
著者が言っていることが事実なら、なぜ昔の人々は耕していたのだろうか? そして、なぜわざわざコストをかけて肥料や農薬を買うようになったのだろうか?
ただ単にバカだったから?
私は昔の人々はバカだとは思わない。莫大な労力をかけて耕起してきたのはそれなりの必要性があったからに違いない。
著者が嘘をついているとは思わない。しかし、上記の私の疑問に答えてくれる説明がなかったところが低評価だ。
昔の人には利用できなかった最新のテクノロジー(播種機とかソーラーパネルでゲートを操作するとかがそれにあたるのか?)があってこそ、この著者の方法が実現できたのであれば、納得できる。それならばそれを原則の中に記載すべきだ。
そういう説明もなく、昔の人でもできたはずのことをやるだけで農業の収益性がアップすると主張するのは、言い換えると、昔の人をバカにしていることになる。
福岡正信も参考にしたそうだが、いったい日本で福岡さんの農法が実践できている農家が存在するのだろうか。
Posted by ブクログ
「生態系を再生し、栄養価の高い食べ物を作り出す」
筆者がこのコンセプトに至った経緯、それを元に既存のやり方を脱却する際の試行錯誤、その結果が描かれた本です。
単に理論が書かれているのではなく、実際に農業に生活がかかっている筆者の活動の軌跡が綴られており、プロジェクトXのようなドキュメンタリーを観た気分でした。私は門外漢なので、どれだけ筆者が記載していることを信頼できるのか判断がつきませんが、
▪️「耕す」という労働の代名詞にもなっているような行為が実は土壌にマイナスの影響を及ぼしていること
▪️「多様性」というキーワードが様々な仕組みを考える上で重要であること
▪️無数の生物から成る、目に見えない土壌の状態が全てのベースであること
これらの説明は非常に面白く、農業以外にも応用可能な考え方に思えました。
実際に筆者がやっている農業をやると、とてつもない試行錯誤が必要なのでしょうが、単純にすごい楽しそうで、いつか小規模で良いのでこういう農業をやってみたいなと思える内容でした。