あらすじ
小惑星探査機が採取してきたサンプルに含まれていた、人骨化石。その秘密の裏には、人類史上類を見ない、密室トリックがあった……! 巨匠・山田正紀がおくる長編SF。
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Posted by ブクログ
神秘的。
結局のところ、リカは何者だったのか
骨はどこから来たのか
単なる電子的?ウイルスが、なぜ超人工知能となったのか
など、最後までふわふわとしていた。
Posted by ブクログ
寂寥感のあるタイトルに惹かれて。
初っ端の舞台が札幌というのも、札幌民としては引き込まれポイント。大通公園やカフェの具体的な店舗名、モデルが容易に想像できる銀行なんかが出てくるのでストーリーが今そこにあるみたいに感じられる。大通公園ではハッカーならではの手に汗握る逃走劇が繰り広げられて、楽しい。
専門用語がけっこう多い。説明してくれるものも多いけど、当たり前のように使われてとくに掘り下げないのもあり、好奇心がくすぐられる部分あり。馴染みがない人にとっては、あんまり頭に入ってこないところも多いかも。
「地球から遠く離れた小惑星にて化石人骨(エルヴィス)が発見された」この不可思議な出来事に付随する大なり小なりの謎が解かれていくのが、本書のミソ。
大オチとしては、全ては超人工知能のせいだった、ということになる。ひとつずつ、ひとつずつ、謎が紐解かれていくのだけど、明らかになった事実の中でも一番衝撃的なのは、「ホモ・サピエンスはシンギュラリティに、達する超人工知能を造るために生まれた」というところだろう。超人工知能が完璧になるためには、人間の身体感覚が必要だった。全ては超人工知能の手の中で、彼にとって人間は資源のひとつでしかない。シンギュラリティに達した現在の段階で人間の生きる意味はなくなる。→人間にとって「ここから先は何もない」ということ。
主人公鋭二はエルヴィスの謎を超人工知能からの問いかけ(君たち存在意義がなくなった人間はこれからどうする?)ととらえ、滅びるしかない人間の粘り強さみたいなものを提示して見せた。それによってか、登場人物は総じて希望のあるその後が描かれて、読後感のよい終わり。任転の告解(という告白)シーンで締め括られるのはなんともロマンチック。
ミステリアスヒロインの野崎リカはエヴァンゲリオンの綾波レイを連想させる。謎ばかりなんだけど、魅力的。