あらすじ
日本が目指すべき社会についてのインスピレーションを与えてくれる。
――山口周氏(独立研究者・著作家)
「人こそ資源」ってどういうこと? 世界一幸福な国には、学ぶべきヒントがいっぱいです。
――小島慶子氏(エッセイスト)
2018年から2022年にかけて、5年連続で「幸福度世界一」を達成。
首都ヘルシンキは2019年および2021年には「ワークライフバランス世界一」に輝き、国連調査の「移民が感じる幸福度」ランキングでも第1位(2018年)。
他にも「SDGs達成度ランキング」で世界一(2021年)、「ジェンダーギャップ指数」で第2位(2021年)など、数々の指標で高い評価を受けているフィンランド。
その背景にあるのは、“人こそが最大の資源で宝”という哲学です。
立場を問わず全ての国民が平等に、そして幸福に暮らすことを可能にする、驚くべき「仕組み」とはいかなるものなのでしょうか。
そして、日本はそこから何を学べるのでしょうか?
最新の情報もふんだんに盛り込んだ、驚きにあふれる一冊です。
【本書で紹介する「仕組み」の例】
・優秀な若者を積極的に抜擢し、ベテランは陰から支える文化
・男女平等への取り組みを企業や学校に求める「平等法」
・児童手当、親休暇、職場復帰を保証してくれる「在宅保育の休業制度」……子育て・共働き世帯を助ける様々な手当と休暇
・小学校から大学院博士課程まで学費無料、さらに大学以降は生活手当と住居手当まで支給!?
・もはや「学力向上」なんて時代遅れ! フィンランドの学校の最新事情
・誰でも無料で利用できる出産・子育ての専門医療施設「ネウボラ」
・新生児が誕生すると国から贈られる、赤ちゃん用品が一式詰まった「育児パッケージ」
・起業ブームの背景にある大学教育と、スタートアップ手当などの豊富な公的支援
・国民の声を政府に届けて、同性婚の合法化をもたらした「国民発案制度」
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Posted by ブクログ
”出産一時金50万へ引き上げ”、昨日岸田政権が打ち出した子育て世代への支援策。一方で2022年の出産人数は80万人を割りこむ予測、人口減少が続きます。雇用環境の安定しない非正規雇用も変わらず、実質賃金の長期低下、子供を産んで育てて社会に送り出すため、家庭の負担額は楽ではありません。日本社会が暮らしやすく、海外の方も含めて住みたい国にするには、どうしたらよいのでしょうか。
2019年末に最年少女性首相サンナ・マリン政権が誕生したフィンランド。幸福度ランキング世界一、移民が住みたい国世界一、スウェーデン、ノルウェーとともに北欧3国の一つ。2021年人口が550万人と日本の20分の一ですが、限られた財政、経済規模の中、人こそが資源と福祉への手厚い配分を実施しています。いろいろなメディアでも盛んにフィンランドメソッドが取り上げられていますが、本書は長くフィンランドの内側にいらっしゃった堀内さんが、レポートを試みています。
・自己肯定感が高く、社会の中でつながりを保ち、孤立させないシステム。
・様々な選択肢が可能であり、行きどまりの無い社会システムを整えたうえ、システムに硬直性がなくフレキシブルに変革、運用が可能な社会。
・子供のころからの教育社会体験を通じて、若い人たちが自ら社会を変えられるという感覚を持って、実行できる社会の受容度が高い。
北欧の小国、ソ連と国境を接し、軍事的危機も経験してきた国ですが、様々な社会システムを今も改善しています。行き詰まり、硬直度の高い日本と対比して読んでみると、良い点がどうしても目立ちますが、それでも出生率低下、高齢化、ポピュリズムの台頭など課題はあるようです。我々日本の将来を考えながら、もう少し深く学んでいきたいですね。
Posted by ブクログ
フィンランドが教育の世界で成功していることはかなり前から知られていた。北欧の小国がなぜこのようなことができるのか常に気になっていた。
本書によればフィンランドの幸福度が高いのは国民性や気質、さらには地勢的な影響など様々な要因がある。高福祉国家がなぜ成立するのか。それは支え合いの文化が根づいているからなのだろう。
かつての日本にも同様の考え方があったはずだ。いつのまにか利己的な国民になってしまっている。フィンランド人の生き方のすべてがいいとは決して言えないが大いに学ぶべきことがある。
Posted by ブクログ
精神的なふわっとした話なのかと思ったらもっと根本的制度的な話でおもしろく読んだ これも隣の芝生は青いけど壁はぼろぼろみたいなことだな いろいろなことへの寛容さと休息がいちばん大事で、足りてないことなんだろうなと思う
Posted by ブクログ
本書は、マリン首相の着位経緯から説明が始まる。女性の高ポスト進出が未だに低い日本人の1女性からしてみれば、何故彼女は首相になれたのか、どのような生い立ちがあるのかは非常に興味深いところだった。それは、フィンランドの長年築き上げてきた「男女問わず若者への希望が厚い」「政府と国民の信頼関係が深い」国民性によるものと知った。
各国が注目を集める、世界一幸福度の高い国として知られるフィンランドの様々な国政や情勢、課題を、フィンランド居住経験のある日本人著者が、日本のそれらと照らし合わせて紹介している。教育や子育て、若者の社会進出や就労支援など、意外どフッ軽゙なフィンランド人による「良いことなら、まずはやってみよう」という行動力には称賛に値する。我々日本人が大いに見習うべき姿勢が多く、とても勉強になった。
…ただ、食材資源の豊富な日本には生まれて良かったと、日頃心から思っている。
Posted by ブクログ
フィンランドでは、「地方議員は職業ではない」ため給料はないが、地方議員の制度は機能し、質も担保されている。言い換えると、議員の質は給料だけで決まらないと言えるのではないか。
「〇〇しろ」「✕✕はだめ」という方が、簡単で時間もかからない。でも、それは決して子どものtためにはならず、信頼関係は築けない。対話がどこに行くかわからなくとも、Yes/Noでないオープンな質問をして語らせることが大切。
フィンランドの授業は、基本的な説明は教科書に任せ、いかに子どもがその話題により興味を持ち、身近なこととリンクさせ、主体的に考えられるようになるかに力を注ぐ。
座りっぱなしを中断し、動かすなど、子どもに体を動かすことを勧めるスクールオンザムーブが流行。
ワークライフバランスが保てているからこそ、「学び直し」への意識が高く、実行できる。